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今回は、物流における作業ミス防止方法について説明します。
物流は現代の生活において欠かせないものです。今や物流は国内だけに限らず、海外からのものも重要となっています。2020年から世界的に感染が広がっている新型コロナウイルスの影響で、その重要性があらためて確認されました。新型コロナウイルスの影響によって、港で船から荷物を速やかに下ろせなくなり、物流が滞ってしまいました。
また、2021年に発生した地中海と紅海を結ぶスエズ運河でタンカーが座礁したニュースは、記憶に新しいのではないでしょうか。このニュースは連日報道され、世界中の注目を集めました。物流では、一度にたくさんの荷物を扱います。形や大きさもまちまちで送り先も違います。事故によって物流が滞ることはもちろん、仕分け作業のミスによる遅延についても防がなければなりません。
バンニング、デバンニング業務とは?
まずは、コンテナの貨物積み降ろしで使われる専門用語と手順について説明します。
バンニング
「バンニング(Vanning)」=コンテナへ貨物を積み込む作業
この時、分類作業を間違えると荷物がとんでもないところに運ばれてしまいますので、絶対にミスは許されません。荷物を分類した後は、コンテナへ積み込みますが、荷物の大きさが全て同じとは限りません。
様々な形の荷物をコンテナに積み込むのですが、詰め込み方が悪いと一度にたくさんの荷物を運べません。コンテナ輸送のメリットは、輸送コストを削減できることです。そのため、コンテナへの収納効率を高めることは、輸送コストを安くすることになります。
しかし、ただやみくもに積み込めばよいというものではありません。バンニング作業で大切なのは、
・輸送中に荷物を壊したり傷つけたりしないように積み込むこと
・さらに重量のバランスを取ることも注意すること
また、この後説明する荷下ろしの順番も考慮しなければいけません。海外へ輸出するコンテナであれば、税関検査があるためコンテナの中身を確認できるスペースを確保する必要があります。
万が一積み方を間違えた場合は、途中でコンテナの中身を全て出さなければならないこともあります。
当然ですが、コンテナの中身と荷物の明細書に間違いがあってもいけません。
デバンニング
「デバンニング(Devanning)」=バンニングの逆でコンテナから貨物を取り出す作業。 「デバン」とも略されることがある。
そのためにも、荷物を下ろす時には明細書をチェックして荷物の行き先を確認する必要があるのです。明細書と中身が一致しているかのチェックも必要です。もし明細書と中身が違う場合は、コンテナを運んできたルートをさかのぼって調査が必要となります。そしてバンニングと同様に、荷物を壊したり傷つけたりしないように注意して取り扱います。
バンニングとデバンニングは連携して行わないと、せっかく物流コストを削減するために行ったコンテナ輸送が逆にコストを上げる結果となってしまいます。
バンニング、デバンニング業務の問題点・よくあるミス
バンニングおよびデバンニング業務は主に作業者が行います。自動運転技術を活用して、無人フォークリフトの開発が行われてはいますが、まだまだ課題が多い状況です。ここからは、バンニング、デバンニング業務の問題点とよくあるミスについて説明します。
作業に時間がかかる
バンニングの場合、仕分け、積み込み、記録、発送報告を作業者が行います。デバンニングの場合は、荷の確認、積み下ろし、仕分け、受理報告を作業者が行います。
全ての作業に間違いが無いか、作業者がチェックシートでチェックを行うため、時間がかかります。また、作業者が行う作業にはミスが起きる可能性があります。
ミスを防ぐためには
・入念なチェック
・作業者以外のダブルチェック
が必要となり時間がかかります。
荷物の行き先に間違いがあると輸送コストを負担して荷物を引き戻し、再度輸送しなければなりません。
労働環境が過酷
バンニングやデバンニング業務は、過酷な労働環境となることは少なくありません。荷物を取り扱う作業のため、手作業も多く厳しい肉体作業となります。
また作業環境も気温が50度を超えることもあれば、氷点下になる場合もあります。人材を確保することも難しい場合があり、一人あたりの作業負担が大きくなる傾向もあります。
商品破損のリスクを伴う
厳しい労働環境での作業では、ミスも発生しやすくなります。手作業で荷物を運ぶ時についうっかり荷物を落として破損させてしまうこともあるでしょう。
仮に荷物が破損していなくても梱包に傷が見つかった場合は、手作業が原因ではないかと疑われてしまいます。作業ミスを発生させないだけではなく、取り扱いについても問題が無いことを証明できるようにしておかなければいけないのです。
業務の課題を解決するには
バンニングとデバンニング業務には様々な課題があります。国内外の物流網が発達し、毎日多くの荷物が流通しているため、物流業務の改善は急務と言えるでしょう。次からは物流業務の課題解決について説明します。
作業環境を整える
将来的には、現在作業者が行っている、過酷な環境下での作業はロボット等が行うことになるでしょう。実際に一部の作業については、自動化が行われ始めています。
しかし、まだ自動化できる業務は限定的なため、作業者による作業は無くなっていません。作業者への肉体的な負担はあるものの、精神的な負担だけでも減らしてはどうでしょうか。
作業者のチェックを行う負担は、バーコードなどを利用すれば減らすことができるでしょう。
バーコードの使い方も、単に荷物の識別だけでなく、仕分け先の情報もデジタル化して、荷物と仕分け先を照合することで仕分け作業のミスを防ぐことができます。
万が一ミスをしたとしても照合した時点で間違いが分かるため、間違っていることをその場で作業者に伝えることができます。
作業記録を残す
荷物を問題なく運んだことを証明するために作業記録を残します。作業記録は後で荷物に異常があった場合、バンニングとデバンニング業務で問題が無かったことを証明します。
作業記録を、いつどこで、だれがどのような作業を行ったかをタブレット等のカメラで撮影すれば、瞬時に記録できます。デジタルデータであれば、撮影した画像情報と一緒に、時間や場所を同時に記録することができるのです。
そして、荷物を撮影した時にバーコードも一緒に撮影することで、荷物の認識を画像から行うこともできるでしょう。
まとめ
電子商取引による商品販売が当たり前のようになった現代では、クリックするだけで商品を購入することができます。世界的に流通網が発達して、地球の裏側からでも商品が届く時代となりました。
しかし、その流通網を支えている人たちがいることを忘れてはいけません。物流業界は人手不足の問題に直面しており、それらの課題解決に取り組んでいます。その解決策の1つとして業務のデジタル化が進められています。
今後デジタル技術の活用によって、物流業務のやり方も変わっていくことが流通業界の発展に大きく影響するでしょう。
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