ダブルトランザクションとは?具体的なレイアウトや導入時の注意点を解説

倉庫スペースを有効活用する方法として、ダブルトランザクションという管理手法があります。

倉庫スペースの活用においては、保管効率と作業効率がトレードオフの関係にあります。
保管効率を優先すれば作業効率が悪化し、作業効率を優先すれば保管効率が悪化してしまいます。
そのなかで、保管効率と作業効率の双方を重視し、最適なバランスを見出す方法として生まれたのがダブルトランザクションです。

今回は、倉庫スペースの有効活用に役立つ「ダブルトランザクション」について、概要や具体的なレイアウト、実践するうえでの注意点を紹介します。
倉庫業務の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

ダブルトランザクションとは

ここでは、ダブルトランザクションの概要と目的、固定ロケーションやフリーロケーションとの違いについて解説します。

概要

ダブルトランザクション(Double Transaction)=商品を集荷する「ピッキングエリア」と商品を保管する「ストックエリア」を分けることで、倉庫スペースを有効活用する管理手法

在庫を保管しているストックエリアから、適切なタイミングでピッキングエリアへと商品を運搬することで、倉庫内のスペースを無駄なく有効に使うことが可能となります。

目的

ダブルトランザクションの目的は、倉庫スペースの有効活用です。

より多くの在庫を保管するためには、通路を狭くし、保管スペースを広く取る必要があります。
一方で、作業効率向上のためには、広い作業スペースが必要です。

倉庫内の作業効率と保管効率にはトレードオフの関係があります。
一方を重視すればもう一方が非効率になるため、最適なバランスを見出すのは簡単ではありません。
そこで、エリアを分けることでそれぞれの効率を高める方法として生まれたのが、ダブルトランザクションです。

ダブルトランザクションによって各スペースの目的を整理することで、エリア別に作業効率と保管効率のどちらを優先すべきかが明確になります。
その結果、倉庫内のスペース活用において全体最適が達成されるのです。

固定ロケーションやフリーロケーションとの違い

倉庫レイアウトを決める方式としては、ダブルトランザクションのほかに固定ロケーションやフリーロケーションが挙げられます。

固定ロケーションとは、その名のとおり商品の保管場所を固定する管理手法です。
品目ごとに保管場所が決まっているため、ピッキング効率がよい点がメリットです。
しかし、一定期間扱わない商品がある場合など、当該商品のスペースをムダにしてしまいます。

一方フリーロケーションとは、都度空いているスペースに商品を保管する管理手法です。
保管場所が頻繁に変わるためピッキング作業は非効率になりますが、空いているスペースを最大限有効利用できます。

ダブルトランザクションは、固定ロケーションに類似した管理手法だとされることがあります。
しかし、ストックエリアでの商品の管理方法は固定ロケーション・フリーロケーションのどちらも利用可能です。

ダブルトランザクションによって倉庫スペースをピッキングエリアとストックエリアに分けたうえで、ストックエリアでの保管方法は固定ロケーションとフリーロケーションのうち自社に適したほうを選ぶとよいでしょう。
扱う商品の品目数やサイズ、出荷頻度に応じて最適な管理方法を選ぶことが大切です。

ダブルトランザクションのレイアウト

ダブルトランザクションのレイアウトとしては、縦配置と横配置という2種類の方式があります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。

縦配置

縦配置=ピッキングエリアの上に棚を配置し、ストックエリアとする方法

立体的なレイアウトによって、スペースを有効活用できるのが特徴です。作業スペースを確保したうえで、その上にラックなどを配置して商品を保管します。

縦配置の注意点としては、扱う商品の重量が大きい場合、作業の負担が大きくなったり、落下による事故のリスクが高くなったりする点が挙げられます。

また、高い位置に置かれた商品を取り出すための設備・ツールなども必要になるでしょう。商品をピッキングエリアに下ろすのに手間がかかる点もデメリットといえます。

横配置

横配置=ピッキングエリアとストックエリアを平面上で並列に配置する方法

高さは必要ないため、縦配置のように背の高いラックや荷物を下ろすための設備が必要になることはありません。重量の大きい荷物でも、高所に保管するわけではないため作業効率を悪化させたり事故のリスクが上がったりする可能性は低いでしょう。

しかし、高さを有効活用できる縦配置と異なり、横配置ではピッキングエリアとストックエリアにそれぞれスペースが必要となります。床面積にある程度余裕のある倉庫でなければ、採用は難しいでしょう。

ダブルトランザクションの注意点

ダブルトランザクションは、倉庫のスペースを有効活用し、作業効率や保管効率を高めるために利用されています。
しかし、扱う商品の重量や出荷頻度など、倉庫の使用状況によっては効率が悪化することもあります。

ここでは、ダブルトランザクション導入における注意点を解説します。

【注意点①】大型商品には適さない

大型商品を扱う場合、ダブルトランザクションは管理手法として適していません。

ダブルトランザクションでは、ストックエリアからピッキングエリアへの商品の移動が発生します。
大型の商品を出荷のたびに移動するのは大きな手間となります。

特に、縦配置によって高所から荷物を下ろす作業が必要になる場合、大型商品では非常に作業の負荷が大きくなるでしょう。ダブルトランザクションは、商品のサイズがあまり大きくなく、出荷頻度が高いといったケースに適した管理手法です。

【注意点②】 スケジュール調整が大切

ダブルトランザクションを採用するにあたり、重要なのがスケジュールの調整です。

ピッキングエリアでの作業を円滑に行なうためには、常に必要な量の商品がストックエリアから運搬されている必要があります。ストックエリアから必要な商品が到着していなければ、作業を開始できないからです。

対策としては、ストックエリアからピッキングエリアへの商品の移動スケジュールをある程度固定してしまうのが効果的です。例えば午前中にストックエリアからの移動を済ませるようにすれば、午後はピッキングエリアでの作業に集中できます。

作業工程に合わせ、ムダな時間が発生しないようスケジュールを組むことが大切です。

まとめ

ダブルトランザクションは、トレードオフの関係にある保管効率と作業効率を最適化する手段として、さまざまな倉庫で採用されています。

本記事では、縦配置・横配置といったレイアウトの選択に加え、ストックエリアからピッキングエリアに商品を移すスケジュールの検討など、ダブルトランザクションを実践するうえでのポイントを解説しました。

ダブルトランザクションは倉庫スペースの有効活用に大きなメリットをもたらす管理手法ですが、自社の倉庫に適しているかどうかは慎重に見極める必要があります。重量やサイズが大きかったり、出荷頻度があまり高くなかったりする場合、ダブルトランザクションの採用がかえって効率の悪化につながる可能性もあるからです。

本記事で紹介したダブルトランザクション採用時の注意点を踏まえ、ぜひ倉庫業務の効率化に活かしてみてください。

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