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世の中は次第にデジタル化されており、生産性の高いハイテク工場のDXの導入率は非常に高くなっています。
一方で中小企業の工程管理でよく耳にすることが、
・「デジタル化をしたいけど、どうすればよいのかわからない…」
・「デジタル化を推進しても、これまでのアナログ的な工程管理に慣れている従業員が使いこなせるか心配」
という声です。
そこでこの記事では、製造業の工程管理をデジタル化する目的や効率化する方法について説明していきます。
工程管理とは
工程管理は、簡単に言うとモノの製造を管理する工程です。
工場で製品を製造する際には、いくつもの工程を並列して行っています。
しかし、工程が一つでも停止すると全体の流れが止まってしまいます。
停止の理由は様々で、人員の欠員、機械の故障、原料の欠損、単純な操作ミスなどが考えられますが、多くの場合は工作機器のメンテナンス不足や数量の管理ミス、人員のトレーニング不足など些細なことが原因です。
そこで工程管理を行い、工作機械のメンテナンスや消耗品の交換、機械の使用、必要人員の確保、必要な原料の数量の確認などを通して、製造ラインの停止を避けると共に、最も効率的に稼働させるための工程管理表を作成します。
実際、一つ一つの工程を管理することはルーチンワークでそれほど難しくありません。しかし多数の工程がある製造工程全体となると非常に複雑になり、管理することは容易ではなくなるでしょう。
特に自動車やパソコンなど複雑な製品を作る場合には、工程がより複雑に。
工程管理を楽に、また正確に行うためには、デジタル化が必須になります。
工程管理のやり方
工程管理は「PDCAサイクル」というサイクルに従って行われます。
P:Planで計画
D:Doで実行
C:Checkで評価
A:Actionで改善
という意味で、それぞれの単語の頭文字を取っています。
なぜこのようなサイクルが必要かと言いますと、ある程度複雑な工程管理をアナログで組んだ場合、どんなに頭のいい人やベテランであってもミスは発生してしまうからです。
実際に工程表を作る際、自分は間違いないと思っていてもどこかに抜けがあったり、量が足りなかったりした経験がある方は多いのではないでしょうか。
工程管理を間違うと、その時点で生産が止まってしまいます。しかし、人間なので誰しもミスをすることはあります。ミスをしたことを責めるのではなく、ミスをした部分を見つけ出して改善することが必要です。
このため、工程管理表を作成(P)した後、実際に工程管理表通りに生産(D)してみて、一つ一つの生産工程を評価(C)し、直すべき点を改善(A)して次回の工程管理に活かす、というサイクルを行うことが生産性改善には非常に重要です。
特に最後の改善(A)は、一番大事なポイントでしょう。
もし人員に負荷がかかってしまっている工程があれば、大事故につながるリスクが存在していることになるので、このような工程を洗い出し改善することが事故防止のために欠かせません。
手書き、紙媒体での工程管理でおきがちなミス
ここからは、手書き、紙媒体での工程管理でおきがちなミスについて紹介していきます。
伝達ミス
工程管理はツールの変遷により変わっていきました。
古くはホワイトボードや黒板に工程を書き、どうするか指示を書き出していました。しかしこのホワイトボードなどを使用して工程管理をしていた昭和時代には、伝達ミスが連発していました。
それもそのはずで、手書きで文字を書く上に、くねくね曲がった線を引くので誤字脱字、読み違え、曖昧な線などミスを誘発する要因が多くありました。また工程管理者より口頭で説明を受けるので、製造には以心伝心で伝わる様な熟練工が必要であった時代です。
さらに、工程を確認する時にはノートにメモをするかホワイトボードまで行き来するので、余計な工数が発生してしまいます。
その後、パソコンやコピーの普及で手書きは次第になくなり、代わりにパソコン画面や紙上に綺麗に印刷された工程管理表が登場するようになりました。
これにより、手書きの時に起こっていたような誤字脱字による伝達ミスはタイプミスを除いてなくなりました。しかしこの状況でも、依然として伝達ミスは起こり得ました。
書き換え・変換のミス
エクセルが登場し機能がアップデートされると、やがて工程管理にも使用できるように。
セルごとに色分けなどの工夫をすることで、視覚的に間違うことはほとんどなくなりました。
さらに、社内サーバーでエクセルファイルを管理でき、大勢が一つのファイルを共有することで情報を一元化することも可能になりました。
エクセルは、マクロを組むと複雑で高度な工程管理ができる強力なツールなので、工程管理にエクセルを使用している会社は多いことでしょう。
しかし、多くの人がファイルにアクセスできるので、誰かがエクセルの内容を誤って書き換えるミスが起こることも。また内容の確認のために、パソコンの前に行きエクセルを開く時間も発生するため、手間がかかります。
そもそもエクセルは汎用的なアプリケーションなので、製造工程に特化したツールではありません。
そのため、リアルタイムで確認できないなどの限界もあり、複雑な製造工程があるメーカーの多くは、
工程管理専用のソフトウェアを使用しています。
円滑に工程管理を進める方法
DX化を行いデジタルな工程管理に成功した工場と、従来のアナログ的な工程管理を行う工場では、
同じ製品を作っても必要工数の低下のみならず、ミスの低下により歩留まりも高くなります。
それも当然で、デジタル化により紙を使用する量が減り、電子帳票を使用することで、大事な情報を整理・管理することが容易に。原料の仕入れから出荷までを一つのソフトウェアで管理できるので、全体把握も行いやすくなります。
また、工程管理に使用するソフトは、デジタルが苦手な従業員でも使いこなせるよう、直感的に操作できるように工夫がされています。しっかりとトレーニングを行うことで大半は使いこなせるようになるでしょう。
これらの理由から、効率的な工程管理を行うためには進捗管理をデジタル化することが合理的です。工程管理専用のソフトウェアを導入する際には工場に応じて各種の設定をする必要がありますが、一度設定を行えば済みます。
また、デジタル化とは工程管理専用のソフトウェアを導入するのみではなく、従業員たちが工程管理表や必要な指示を容易に確認できるためのタッチパネルなどの端末の導入も併せて行うと、より効率的になります。
まとめ
仕掛品を常に確認したい、工場担当者に電話しないと確認が取れないことが多く時間がかかるなど、工程管理をよりスムーズにしたいと考える方は多いでしょう。
このような場合は、デジタル化を行い工程管理専用のソフトウェアを導入するのがおすすめです。
工程管理アプリ内のフォルダを開くだけで仕掛品の状況が確認でき、工程をリアルタイムに監視することも可能です。電子帳票により工程が進むと自動的に帳票も移動するので、仕分工数がなくなるなどのメリットが生まれます。
合理化、システム化により工数が減らせる分、生産コストも低下します。
工程管理のデジタル化は、DX時代に欠かせないものとなるでしょう。
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