製造業をはじめとした幅広い業界や業種において、トレーサビリティの重要性がますます高まっています。トレーサビリティとは、製品や食品などがどのような経緯をたどって消費者の手に届くかを追跡できる仕組みです。
企業にとって、トレーサビリティを確立することは、製品の品質向上や生産性向上だけではなく、消費者の信頼獲得にもつなげられます。
ここでは、トレーサビリティの基礎知識やメリット・デメリットから、トレーサビリティを向上させるポイントや導入時の改善例まで、わかりやすく解説します。
トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、追跡という言葉の「トレース」と能力という言葉の「アビリティ」を組み合わせた造語です。
日本語では、「追跡可能性」と訳されます。
業界によって多少異なりますが、製造業では「原材料・部品の調達から加工、組立、流通、販売の各工程で製造者・仕入先・販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にしておくこと」と定義されています。企業はトレーサビリティを確立することによって、安心・安全な製品を消費者へ提供しています。
トレーサビリティの種類
トレーサビリティには、次に挙げる2つの種類があります。ここでは、トレーサビリティの種類について説明します。
チェーントレーサビリティ
チェーントレーサビリティとは、製品がどのような流通過程を経由して消費者まで届いたのかを把握することです。
把握する必要があるのは、原材料から加工・組立、卸売・小売といった一連の流通過程の情報です。製品に問題が発生した場合、この流通過程を遡って調査を行います。チェーントレーサビリティは、自社だけでは成立せず、関係する全ての企業の協力が必要です。
関係する企業が1つでもトレーサビリティを怠ると、製品のトレーサビリティ全体に影響が及びます。そのためサプライチェーンの必要条件として、製品のトレーサビリティ管理体制が確立していることが重要になります。
内部トレーサビリティ
内部トレーサビリティとは、工場や倉庫ごとに記録する情報のことです。部品をいつどこから入荷し、いつ生産して検品結果がどうだったか、などを記録します。
内部トレーサビリティは、流通工程において重要な情報となります。また内部トレーサビリティを構築することで、品質向上や作業効率向上を図ることも可能です。
トレーサビリティのメリット
トレーサビリティを構築することで、様々なメリットがあります。
迅速に問題を追及できる
トレーサビリティを構築することで、製品に問題があった場合、迅速に対応することができます。
問題が発生した場合、まずはどこの工程の何が原因であったかを特定しますよね。
トレーサビリティを構築していれば、問題の特定が速やかに行えます。問題の特定が速やかに行えるということは、問題に対応する時間や手間などのコストを抑えることにつながります。
また、問題発生時の対応に必要なコストを削減できます。
製品の品質を向上できる
トレーサビリティは、製造工程だけに限らず、製品が消費者に届くまでの全ての流通過程を網羅する必要があります。そのため、問題が発生した時は責任の所在や原因の特定が明確になるため、対策を速やかに行えます。
自社の工程で問題を発生させないために、品質に関する意識が高まり、品質向上が図れるでしょう。
品質改善に必要な課題が明確になり、対応手段の確立と意識の改善が可能です。
顧客満足度を向上できる
自社製品を何度も購入する顧客は、製品自体に満足度を感じると同時に、製品がどのような流通経路で手元に届いたかを重視する人も多くいます。
似たような製品の場合、流通経路が明確な製品と、不明確な製品とではどちらを選ぶでしょうか。もちろん流通経路が明確な製品でしょう。トレーサビリティの構築は顧客満足度を高めることにもつながりますよ。
製造経路が明確になり、顧客満足度が向上します。
自社に対する信頼度が向上
たくさんの顧客が満足する製品を提供することは、企業の信頼度向上に必要不可欠ですよね。
そこで、顧客に対してどこで製造しているのか、どのような原材料を使用しているのかを開示することで、自社製品が安心・安全であることを証明できます。
トレーサビリティを確立することで、より企業の信頼度が上がることでしょう。外部から求められるトレーサビリティに対応することで、他社との差別化も図れます。
トレーサビリティのデメリット
さまざまなメリットのあるトレーサビリティですが、もちろん少なからずデメリットもあります。トレーサビリティを実現するためには、デメリットも理解しておきましょう。
コストがかかる
トレーサビリティシステムの導入と運用には、コストがかかります。
トレーサビリティシステムを導入するには、専用のソフトウェアやハードウェアの購入、システムの設備や機器の設置、データ管理のための人員などが必要となるため、初期費用が大きくなることがほとんどです。また、運用コストもかかり、管理システムの定期的なメンテナンスやアップデート、データの保存・管理にもコストがかかります。
コストをかけてトレーサビリティを導入しても、売上が増加するとは限りません。しかし、トレーサビリティを実施することで、消費者や取引先の製品に対する信頼性や透明性が向上し、その結果として売上の増加が期待できるでしょう。
従業員に負担がかかる
トレーサビリティシステムの運用には、新しい技術や手順を習得する必要があります。
新しい業務に慣れるまでの間、精神的に従業員へ負担がかかる場合があるでしょう。また、トレーサビリティのためのデータ入力や管理作業などが増えることで、日常業務における負担も増加する可能性があります。
作業工数が増える
トレーサビリティで管理を厳密に行うためには、製造リードタイムが増える可能性があります。たとえば、製造品の部材や中間品をシリアルナンバーで管理したり、2次元コードのラベルやタグを貼付してハンディターミナルで読み取りしたりする必要があるからです。
作業工数が増え、業務プロセスが複雑化することで、全体の業務効率や作業効率が低下する可能性もあります。従業員への負担なども考え、製造現場の規模にあわせて無理のない範囲からトレーサビリティに取り組むことが大切です。
トレーサビリティを向上させるには
最後に、トレーサビリティを向上させる方法について説明します。
各工程を正しく記録する
トレーサビリティを向上させるには、後からでも「どのように製品がつくられたか」「どのような流通経路でどのような取り扱いがされたか」を、正しく追跡できるようにすることです。
そのためには、各工程を正しく記録する必要があります。しかし、各工程を正確に記録することは容易ではありません。手っ取り早く記録しようとすると、作業者がチェックリストに記録するという方法がありますが、人が行うことであるため忘れや間違いが伴います。
トレーサビリティが必要となるのは、自工程を過ぎてから、後工程で問題が発生した時です。その時、問題が発生した製品の情報を振り返ろうとした時に、「記録していなかった…」「記録を間違っていた…」などの問題が起きてしまっては、トレーサビリティとして意味がありません。
記録を自動化する
作業者が記録を行うと忘れや間違いが伴うため、記録を自動化することがトレーサビリティの向上につながります。やむを得ず作業者が記録する場合でも、直接記入するような方法は行わず、カメラやバーコードリーダー等で記録しましょう。
また記録したデータは、デジタルデータでトレーサビリティシステムに登録するようにします。システムに登録することで、データの管理を行うことができると共に、データが欠落していないかチェックすることができます。
万が一、記録作業を忘れていたとしてもデータが欠落しているため、直ちに作業者に記録をするように警告を出すことができます。
トラブル発生時に情報共有をする
トレーサビリティの目的は、製品を安心・安全に提供するため、問題があった場合に迅速に原因を特定して改善することで、製品の品質向上を図ることです。
そのため、単に記録をすれば良いということではありません。トラブルが発生した時に記録したデータを速やかに確認できなければ、トレーサビリティを有効に活用しているとは言えません。速やかにデータを確認するためには、システム化して記録したデータのデータベースを構築します。
データベースについては、内部トレーサビリティの場合は自社だけでシステムを構築することができますが、チェーントレーサビリティの場合は、サプライチェーン全体で連携することが重要です。
まずはチェーントレーサビリティを意識して内部トレーサビリティを構築し、その後チェーントレーサビリティと連携することで、更なるトレーサビリティの向上を図ります。
トレーサビリティの導入時の改善例
トレーサビリティについてくわしく解説してきましたが、どのように取り組めばいいのかイメージしにくい人も多いため、2つのトレーサビリティ導入時の改善例をご紹介します。
製造業に限らず、多くの業種や業態が適用できる活用事例ですので、ぜひ参考にしてください。
例1:シリアルナンバーの印字
シリアルナンバーの印字とは、製品ごとに固有の番号を付与する方法です。製品ごとにレーザーでシリアルナンバーを刻印することで、製品を一個ずつ識別でき、製品の履歴を詳細に追跡することが可能になります。
ある食品製造業者では、製造日や賞味期限とあわせて、識別番号としてロット番号のみを刻印していました。しかし、同一ロット内での生産順がわからないため、個々の製品を識別することができませんでした。
そこで、レーザーマーカーを使用し、各製品にシリアルナンバーを印字するように変更したのです。シリアルナンバーの印字というトレーサビリティを導入したことで、製品ごとの履歴管理が可能となり、不良品が発生したときの原因究明が素早く行えるようになりました。
例2:検査画像データと検査結果の紐づけ
検査画像データと検査結果の紐づけとは、製品の検査工程で撮影された画像データとその検査結果を、関連付けて管理する方法です。2つの情報を紐づけることで、検査の精度や信頼性を高め、問題発生時の原因究明を行いやすくなります。
ある企業では、検査工程で撮影された画像データを単に保存するだけでなく、データベース化して検査結果と紐づけるシステムを導入しました。検査結果と検査時の画像を紐づけて長期保存するというトレーサビリティを実施したことで、後から振り返った際に、検査結果の妥当性を判断しやすくなったのです。
特定の製品の検査結果を確認する際に、対応する画像データをすぐに参照できるようになるため、品質管理の精度向上にもつなげられました。
トレーサビリティに関するよくある質問
トレーサビリティのよくある質問をご紹介します。
Q1.トレーサビリティを取るとはどういう意味?
トレーサビリティを取るとは、製造過程における各段階の情報を集めて記録し、追跡可能にするという意味です。具体的には、原料の仕入れや製品の出荷から、流通や販売までの各段階での情報を詳細に記録し、問題が発生した際に原因を迅速に特定できるようにすることです。
製品やサービスの生産過程や流通過程などの各段階の情報を収集・記録することで、品質管理が強化され、製品の安全性が確保されます。また、食品業界の「食品トレーサビリティ」や、医薬品業界の「医薬品トレーサビリティ」など、業界・業種や分野に特化したトレーサビリティの種類がいくつかあります。
Q2.トレーサビリティを向上させるには?
トレーサビリティを向上させるには、各工程を正確に記録し、記録を自動化することが欠かせません。手作業ではミスが生じやすいため、カメラやバーコードリーダー、電子タグのRFIDタグを読み込むRFIDなどを使い、デジタルデータとして記録すれば、データの抜けや漏れのチェックもできます。
また、システム化して記録したデータのデータベースを構築し、トラブル発生時に情報共有できるようにすることも重要です。
Q3.トレーサビリティとトレーサビリティーはどちらが正しい?
「トレーサビリティ」と「トレーサビリティー」の意味は同じですが、一般的には「トレーサビリティ」と表記されることが多いです。どちらを使用しても意味は通じますが、表記を統一することで、文書やコミュニケーションの一貫性を保てます。
現場帳票システム「i-Reporter」でトレーサビリティを実現しよう!
トレーサビリティは、消費者の安全・安心に関わる製品や商品において欠かせないものです。製造工程や流通過程に問題があると、回収やリコールだけではなく、法律で処罰を受ける恐れがあるため、適切な製造工程・流通過程であることを証明しなければなりません。
「i-Reporter」は、トレーサビリティの導入に役立ちます。紙の帳票をデジタル化し、カメラやバーコードリーダーでデータを自動収集することで、記入漏れや記録ミスを防ぎます。また、データはクラウドで一元管理されるため、迅速な情報共有が可能です。
帳票の管理はもちろん、生産管理システムやERPなどの他システムとの連携など、「i-Reporter」があれば自社に合ったトレーサビリティを実施できるのでおすすめです。
ほかにも、生産ラインや製造ラインの効率化、生産管理やリスク管理の可視化、注目のDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoTの推進にも「i-Reporter」が役立ちます。「i-Reporter」の公式サイトでは、業種別の導入事例もご紹介しておりますので、ぜひ一度チェックしてみてください。
現場帳票システム「i-Reporter」製品サイトはこちら
よくある質問(FAQ)
トレーサビリティとは何ですか?
トレーサビリティとは、原材料の調達から加工・組立・流通・販売の各工程で製造者や仕入先・販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にしておくことです。「追跡」を意味するトレースと「能力」を意味するアビリティを組み合わせた造語で、日本語では「追跡可能性」と訳されます。
チェーントレーサビリティと内部トレーサビリティの違いは何ですか?
チェーントレーサビリティは、原材料から加工・卸売・小売までの流通過程全体を把握する仕組みで、サプライチェーンに関わる全企業の協力が必要です。内部トレーサビリティは、工場や倉庫ごとに入荷・生産・検品の記録を管理する仕組みで、自社内で構築できます。まず内部トレーサビリティを整備し、その後チェーントレーサビリティと連携するのが一般的です。
トレーサビリティを導入するメリットは何ですか?
主に4つのメリットがあります。①問題の迅速な特定:原因特定が速まり対応コストを削減できます。②品質向上:責任の所在が明確になり品質意識が高まります。③顧客満足度向上:流通経路が明確な製品は消費者から選ばれやすくなります。④企業信頼度向上:製造・原材料情報の開示により安心・安全を証明でき、他社との差別化につながります。
トレーサビリティのデメリットは何ですか?
主に3つのデメリットがあります。①コストの増大:システム導入・運用・メンテナンスに初期費用とランニングコストがかかります。②従業員への負担:新技術や手順の習得が必要で、データ入力・管理作業も増加します。③作業工数の増加:シリアルナンバー管理やバーコード読み取りなどで製造リードタイムが増え、業務が複雑化する可能性があります。
トレーサビリティを向上させる方法は何ですか?
3つの方法が有効です。①各工程の正確な記録:後から追跡できるよう、全工程の情報を漏れなく記録します。②記録の自動化:カメラやバーコードリーダーでデジタルデータとして記録することで、人的ミスや記録漏れを防ぎます。③トラブル時の情報共有:記録データをデータベース化し、問題発生時に速やかに確認・共有できる体制を整備します。

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ただし、製造指示書を紙ベースで管理している場合、日付がわかっていても探し出すのは容易ではありません。生産管理システムや帳票の電子化システムなど、システム上で製造指示書の作成や管理、検索が可能なツールを導入するのがおすすめです。 宛先となる製造者名 製造者名の欄には、今回の製造の担当を明示します。具体的には、実際に製造を行う担当部署や担当者の名前を記載するのが基本です。これによって、製造指示書の宛先や誰がどの工程を担当するのかが明確になります。 なお、製造指示書には製造者名のほかに、依頼先となる会社や担当者の名前を記載する場合もあります。作業の完了時に連絡が必要なケースなど、顧客ごとに記載の有無を検討しましょう。 責任者 責任者は、今回の製造における責任者を明示する項目です。万が一トラブルが発生した際の連絡先や疑問点の問い合わせ先などを共有する目的で記載します。また、作業の責任者を明示することで、製造工程全体の責任の所在が明確になるメリットもあります。緊急時に連絡が取れるよう、電話番号やメールアドレスなどの情報を載せておくと良いでしょう。 製造期間、製造日時、納期 製造指示書には、製造期間や製造日時、納期などの情報も記載します。製造にかかる時間や終了日時などのスケジュールを明確にし、計画的な製造を実現するために重要な項目です。勘違いや伝達ミスが発生しないように、「○○年○○月○○日」とわかりやすく明記する必要があります。 製造指示内容 製造指示内容は、作業手順を詳細に記載する項目です。指示書を読んだ担当者がスムーズに作業を行えるよう、製造する商品や部品の情報、使用する設備や材料、工程ごとの作業手順、安全対策などを具体的に記載します。今回の作業に必要な情報をできる限り網羅することで、担当者からの問い合わせを減らすのが目的です。また、工程手順は文字だけでなく、写真や図で補足する場合も多くあります。 製造指示書のテンプレート 製造指示書のテンプレート 無料ダウンロードはこちら 製造指示書の作成時のポイント 製造指示書は、新人の作業員からベテランのスタッフまで、多くの現場の作業員が使用する書類です。そのため、製造指示書を作成する際は、誰にとっても理解しやすい内容となるよう工夫する必要があります。こちらでは、製造指示書を作成するうえでのポイントを3つ解説します。 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製造業の現場DXのルールを変えるのは、大変?はじめに “「現場帳票研究所」”に寄稿させていただくことになりました株式会社K-crew代表取締役の北川といいます。 この連載は、現場DXに取り組むチームリーダー、またはITツールを活用した改善提案に携わる方に向けたものです。 著者の北川が経験してきた生産現場の業務改善事例や現場のお困りごとをもとに、DX推進の気づき・ヒントをお届けして参ります。 この記事を読むと以下のメリットがあります。 1.現場改善の基本となる考え方がわかる2.ITツールに飛びつかない現場改善手法がわかる3.業務目的の本質を見抜くことの重要性がわかる 「現場改善は、課題の本質に気づく能力にかかっている」 第一回は、「現場改善は課題の本質に気づく能力にかかっている」というテーマで話をします。 現場課題に気づける人間が1人いたとしても、その課題と解決案を現場担当者に伝えるだけでは中々、会社全体の改善活動には繋がらないことがほとんどです。 どうすれば部署単位や会社全体を巻き込んだムーブメントになるのか?ルールを変えるのは、「大変」? 便利なITツールを使っても使わなくても、業務改善による効率化を図るのは可能です。業務改善とは業務が「善い方向」に「改め」られれば良いわけですが、現場のみなさんは結構悩まれています。“業務の品質を落とさず、短い時間で同じこと(或いは品質を上げる)”を実行すれば良いだけなのですが、いろんなことを考えすぎてしまう様です。 これはお客さんの所で経験した事例なんですが、どこの会社でも同じ様な事が起こっているのではないでしょうか?業務を簡単に説明しますので、どこが問題でどう解決してきたかを一緒に考えていきましょう。 【生産情報の伝達】① 生産管理課のAさんが今月生産する計画を立てて、工程表を作成しそれぞれの現場に配布する。② 工程表を受取った製造課のB係長は計画通りに生産できるかを確認する。そして問題なければ製造事務所(休憩所も併設しているので所属する部下との情報共有スペース)のホワイトボードの工程表に生産計画を記入し、係内の生産計画を共有する。③ 係に所属するC作業長は管理室の工程表を見て、自分の担当する製品の工程を確認する。 ④ 作業長C(ヒエラルキーの上位から、課長―係長B―作業長C―作業者モブです)は現場作業者や作業補助の人達にも情報を共有してもらうために、管理室の工程表をメモして、現場作業場の近くにあるホワイトボードに工程を書き込む。⑤ これで当日或いは今週の生産品目を皆と共有出来るようになったので、生産や生産品目の切り替えがスムーズになります。というような風景が普通にあります(日本の製造現場は超真面目なのです)。20年くらい遡れば、この様な状況が本当に普通の風景でした。 さて、ここで問題です。 i-Reporterのような便利なITツールがない時代に、末端の作業者まで生産計画周知徹底する方法を考えてみてください(20年くらい前ならどんな改善をするかです)。昔から普通に使っているコピー機やFAXなどは使っても良いです。 【一つの答え】改善の方法はいろいろあるので、これが正解というわけではありません。 登場人物は、工程表を作成したAさん、工程表を受け取ったB係長、B係長からの情報を生産現場と共有しようとするC作業長、あとその他大勢の現場作業者です。それぞれの担当者は、“受け取った情報”は伝達すべき情報なので、どんどん次工程に渡していくという作業を繰り返していきます。この作業は、受け取った情報(の一部)の形を変えて伝達しているだけです(昔はこの方法が主流でした)。この作業の目的は、製造課全体に重要な情報を共有し周知徹底することです。 “前工程で受取った自分は、その情報を次工程に渡す“という前後工程だけを忠実に実行すれば目的は達成できます。でもこのような伝言ゲームで本当に良いのか?もっと良いやり方があるのでは?と考えます。ちゃんとした情報を愚直に伝達することはゲームとしては全然面白くありませんが、この伝言ゲームを最速にするためには、どうすれば良いか? 答えは簡単です!最初の人が最後の人に答(情報)を伝えれば最速に情報を伝えることが出来ます。“伝言ゲーム“としては、全然面白くありませんがね。 では、工程表の問題に置き変えればどうなるかというと以下の様になります。最初に貰う“工程表”は通常A4とかA3のサイズになるでしょうが、A0に拡大コピーしたものを2枚もらって、管理室と現場の作業場に貼れば済むことです。現在であれば、そのエクセルファイルを現場の大型モニターに写せばよいだけですけど、今回は制約で使えません。 ここで重要なのは、“伝言ゲーム”をやっていた人達が自らこの“無駄”に気付いて改善しないといけないと思うことです。便利な道具で解決手段を簡単に与えるのではなく、“本当の課題”に皆が気付いて現場だけでなくいろんな部署から改善の声が上げるような組織にするという事が非常に重要なことです。この様な“課題解決の声を上げる”の場が作れれば8割くらい改善は成功したようなものです。 いろんなやり方があると思いますが、みなさん(の会社)はどの様に、この様な課題を解決していきますか? 次回は、それでも簡単に変えられない“しがらみ“の様なものについて話したいと思います。
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【無料テンプレ付き】 不具合報告書とは?書き方と記載項目例をご紹介製造業の現場では、人為的なミスや設備の不良、システムのバグなどさまざまな原因でトラブルが発生することがあります。そのような場合に作成するのが不具合報告書です。今回は、不具合報告書の意味や作成の目的、作り方について解説します。無料でご利用いただけるテンプレートや報告書の作成や管理をサポートするITシステムもご紹介しますので、製造業の経営者や現場のご担当者様はぜひ参考にしてください。 \実際の事例を元に、現場でできる対策を解説/ 不具合報告書とは? まずは、不具合報告書の概要と作成の目的を解説します。クオリティの高い不具合報告書を作成するには、その目的を理解しておくことが重要です。 不具合報告書の意味 不具合報告書とは、発生した不具合の原因と対策について記載した文書です。障害報告書や経緯報告書、経過報告書、対策書など業界や業種によって呼び名が異なる場合もありますが、基本的な役割はどれも変わりません。社内の関係者への共有はもちろん、取引先に提出することもあるため、正確かつわかりやすく記載する必要があります。なお、不具合やトラブルが解消された後に作成する文書を顛末書と呼びます。 不具合報告書を作成する主な目的 関係者への障害内容の迅速な伝達 不具合報告書を作成する最大の目的は、不具合が発生した事実とその内容を社内外の関係者へ正確かつ迅速に伝達することにあります。不具合報告書を作成することで、関係者は問題の解決に向けて協力し、適切な対処方法を検討しやすくなります。不具合報告書の作成が遅れると、関係者が正確な情報を把握できなくなり、思わぬトラブルやクレームにつながる可能性があるため注意が必要です。 再発防止策の策定 不具合報告書には、不具合の原因と再発防止策が記載されます。これにより、今後同様の問題が発生しないように改善策を検討し、実行することが可能です。また、今後担当者が変更になった場合でも、今回策定した内容を基に取り組みを継続すれば、作業品質の向上が期待できます。 顧客の信頼回復 自社の製品に不具合が発生した場合、顧客からの信頼は一時的に低下しています。不具合報告書で顧客が求める情報を開示し、真摯な対応を行うことで、失った信頼の回復につながります。そのため、不具合報告書を作成する際は、状況を整理したうえで読み手が求める情報を的確に記述し、読みやすくわかりやすい構成に仕上げることが重要です。 社内の品質管理体制の向上 不具合報告書の作成には、企業の製品やサービスの品質を向上させる目的もあります。不具合報告書の作成を通して、社内の品質管理体制を見直す機会になるためです。また、社内で問題が発生した際に過去の報告書を参照することで、問題への対処方法や改善策を迅速に見つけやすくなります 不具合報告書の書き方 5W1Hで作成する 不具合報告書を作成する際は、以下のポイントを意識して書きましょう。 What(何が):具体的な不具合内容 When(いつ):発生日時と頻度 Where(どこで):不具合が発生した場所と影響範囲 Who(誰が):関係者や担当者 Why(なぜ):発生した原因の分析 How(どのように):解決方法、再発防止策 これらを明確に記載することで、よりわかりやすい報告書が作成できます。 不具合の要因を詳細に記載する 不具合の要因は、直接的な原因を特定し、根本的な発生原因を分析し記載することが重要です。また、不具合が発生した環境条件(温度や湿度、使用された材料のロット番号など)を詳しく記述し、再現手順を明確に示します。最後に、この不具合が他の作業や製品に影響を与えるか、その影響範囲を特定して記載しましょう。 どんな人でも理解できる文章を書く 不具合報告書は、社内だけでなく社外の方が確認する場合があります。そのため、シンプルな言葉で説明し、一文を短くし、要点を明確にするよう意識して記載しましょう。 また、具体例を追加したり、文章の順序を整理したりなど、読み手が自然に内容を追えるよう工夫することも重要です。難しい内容は図やイラストを使って補足するのも効果があります。 事実に基づく内容を正確に記載する 不具合報告書では、事実を正確に描くことが重要です。推測や感情的な表現は避け、データや観察結果をもとに具体的な事実を基に記載しましょう。また、第三者が確認できるように、情報源を明示してください。最後に、事実を順序立てて整理し、読み手が理解しやすいよう工夫しておくことで、確認作業が効率化されるでしょう。 音読してわかりやすい内容かチェックする 文章を声に出して読んでみて、つまずいたり、意味が伝わりにくい部分がないか確認することも重要です。 文が長すぎる場合は、短く区切って簡潔にしましょう。専門用語や難しい表現がある場合は、わかりやすい表現に置き換えます。最後に、読み手の立場になって、内容が一度で理解できるかを意識して確認しましょう。 不具合報告書の記載項目 質の高い不具合報告書を作成するには、単に事実のみを並べるだけでは不十分です。一定の書式に沿って作成するのが望ましいでしょう。こちらでは、不具合報告書の作り方や記載項目をご紹介します。 不具合報告書の作り方 不具合報告書の作成が必要になったら、まずはフォーマットを決定します。自社独自の雛形がある場合は、それを利用しましょう。ただし、取引先に提出するケースでは、先方が希望するフォーマットを使用するよう求められる場合もあるため事前に確認すると安心です。 フォーマットが決まったら、5W1Hの形式で不具合の概要や発生状況、原因、対策などを記述します。5W1Hとは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの要素のことです。5W1Hを意識することで、内容が読み手に伝わりやすくなり、質の高い報告書に仕上がります。 また、不具合報告書を作成する際は、発生した事象を時系列で並べましょう。社内の関係者や取引先が、問題の発生から解決までの流れをスムーズに確認しやすくなるためです。 不具合報告書を作成するためには、現場帳票システム「i-Reporter」がおすすめです。 報告書を電子保存して一括管理 Excelでダウンロード可能 アラート通知で不良要因の発生を関係者に連絡 報告書をリアルタイムで共有可能 あなたもi-Reporterを使ってみませんか? →資料ダウンロードURLはこちら 不具合報告書の記載項目 タイトル タイトルは、不具合報告書の内容を一目で理解できるように簡潔に設定するのがポイントです。不具合報告書をメールで送付する場合は、件名に報告書のタイトルを記載します。長すぎず短すぎず、報告書の内容がわかる程度に記載するのが望ましいでしょう。 例えば、「製品Aの不具合による納期遅延に関する報告書」は良いタイトルといえます。タイトルを確認するだけで、「製品Aに不具合が発生し、納期遅延が生じている」という事実が明確に伝わります。一方、「自社商品の不具合報告書」は不適切なタイトルの例です。このタイトルでは内容が曖昧であり、不具合による具体的な影響が伝わりにくくなっています。 発生日時 発生日時の部分には、障害が発生した日時を記録します。一定期間にわたって障害が発生していた場合は、「○○年○○月○○日〜○○年○○月○○日」のような形式で記載するケースもあります。また、すでに不具合が解消されている場合は、発生日と復旧日を分けて記載しましょう。 宛先 宛先の項目には、部署名を記入するのが基本です。提出先が社外の場合は、相手方の会社名や部署名を記載し、担当者の個人名を載せないように注意しましょう。 差出人 差出人の欄には、報告者とその人が所属する部署の名前を記述します。提出先が社外の場合は、自社の名称も省略せずに記載します。 障害内容と原因 障害内容については、具体的かつわかりやすく説明するのがポイントです。言葉での説明が難しい場合は図や写真を活用しましょう。読み手が専門知識を有していないケースも多いため、難しい用語の使用は避けるのが無難です。また、不具合の内容を説明する際は、原因と併せて記載します。不具合について詳細な調査を行い、特定できた原因をできる限り明確に示しましょう。「設備の操作ミス」といった表面的な原因だけでなく、「なぜ操作ミスが発生したのか」という根本的な原因まで追求することで、読み手に信頼してもらえる報告書になります。 対策 対策の項目には、実施した措置や具体的な再発防止策を記載します。現場の担当者や専門家の知見を参考にしたうえで、実現可能な対策を講じる必要があります。 不具合報告書の例とテンプレート 不具合報告書は、トラブルの発生後できる限り早く提出するよう求められるケースが多いため、テンプレートを使用すると効率的です。そこで、以下にさまざまなシーンで活用できるシンプルな不具合報告書のテンプレートをご用意しました。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。 【社内向け】不具合報告書の例とテンプレート 【社内向け不具合報告書のテンプレートのダウンロードはこちら】 テンプレートのダウンロードはこちら:https://application.i-reporter.jp/download.excel_template07 不具合報告書のテンプレート作成方法 不具合報告書をテンプレートを用いて作成することは、作成時間と管理工数の削減に有効な手段です。今回は、Excel、Word、PowerPointなど形式別でご紹介します。 Excel/Googleスプレッドシートで作成する場合 まずは記載する項目を整理しましょう。その後、Excelにてタイトルと項目を設定します。例えば、A列には「報告書番号」、B列には「不具合発生日」といった形で設定しましょう。項目名が入力されたセルを太字にしたり、背景色を変更したりすることで視認性を向上させるのがおすすめです。 その後、項目名の右隣に、実際に入力するためのセルを設けます。その際に、ドロップダウンリストなどを設定しておくと、より使いやすくなるのでしょう。 Word/Googleドキュメントで作成する場合 Wordでテンプレートを作成する際も、Excelで作成する際と同様に記載する項目を整理しましょう。その後、タイトルと記載項目を見出しとして設定します。例えば、「1. 不具合発生日」「2.…
PLCとは?特徴やメリット、国内シェア状態を紹介製造現場の生産性を向上させるキーワードとして、DXやIoTなどの活用が注目を集めています。しかし、「何をすれば良いのか」や「コストが高く手間が掛かりそう」という理由で、具体的なアクションに踏み出せない企業も多いのではないのでしょうか。 生産性を向上させ…