12条点検とは?必要な資格や点検項目を解説

この記事の要点

  • 12条点検とは、建築基準法第12条で定められた建物の定期点検・報告義務である
  • 床面積200㎡超の特殊建築物(病院・ホテル・百貨店など)が対象となる
  • 点検は一級・二級建築士など有資格者が実施し、専門業者に依頼するケースが多い
  • 点検周期は項目により異なり、6カ月〜3年ごとに実施・行政への報告が必要となる
  • 点検結果のデータ化・デジタル化により、記録管理や報告書作成の効率化が期待できる

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12条点検をご存知でしょうか?

12条点検とは、建築基準法第12条で定められている建物の点検・報告を指します。
建物の所有者や維持管理責任者は、安全性確保のため12条点検について理解を深めておく必要があります。
今回は12条点検の目的や対象の建物、効率化する方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

12条点検の目的と必要性

12条点検は、建築基準法第6条第1項第1号に掲げる建築物の所有者または管理者に対して
安全・防火・衛生面における定期的な点検の実施を義務付けています。

対象の建物において火災や設備故障などが発生すれば
多くの人たちが被害に遭ったり、利便性を損なったりする可能性があります。
安全に建物が利用できるよう、定期的な点検や行政への報告を義務付けているのが建築基準法第12条です。

対象となる建物は?

12条点検の対象になるのは、以下の用途に供する
「特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」とされています。

・劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの
・病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの
・学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの
・百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの
・倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの
・自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの

12条点検の対象となる建物には、不特定の人々を多数収容するという共通点があります。
万が一建物内で事故に遭った場合、建物の構造などを理解していない人たちはどこに逃げれば良いか迷うでしょう。

建物で火災や事故を発生させないことはもちろん、万が一の場合であっても利用者の安全を確保しなければなりません。
12条点検を行うことによって、人々が安心して建物を利用できるよう管理が求められているのです。

12条点検に必要な資格は?

12条点検を実施できるのは、一級建築士・二級建築士・建築物調査員資格者証の交付を受けている者など
建築基準に関する専門的な知識を持つ人物です。

さらに、エレベーターの昇降機については
昇降機等検査員資格者証の交付を受けた者による点検が必要となります。

一般的に12条点検を実施する場合は、点検を請け負う専門業者に依頼して行うケースが多いです。
依頼を受けた業者は、有資格者を派遣して対象の建物を点検します。

12条点検を効率化する方法

12条点検の効率的な実施方法を紹介する前に、点検周期と点検内容について改めて説明します。

点検周期

12条点検を行う周期は項目によって異なり
最長で3年ごと、残りの項目の多くは6カ月から1年ごとと設定されています。
報告時期については自治体ごとに決まっているため、居住する地域の自治体に確認しましょう。

点検内容

点検内容には、主に次に挙げる4つの種別があります。

特定建築物

特定建築物の点検項目としては
敷地・地盤・建物外部・屋上・屋根・建物内部・避難施設・非常用進入口などが挙げられます。

点検の方法としては、目視・設計図の確認・巻尺による測定・テストハンマーによる打診などを行います。
中でもテストハンマーによる打診は、熟練した作業者にしか実施できない点検作業です。

建築設備

建築設備の点検項目としては
給排水設備・換気設備・非常照明設備・排煙設備などがあります。
主に建物内の設備についての点検です。

点検方法としては、目視や触診に加え、巻尺や温度計を用いた測定,
設計図の確認、機器類の動作チェックなどが挙げられます。
非常照明設備や排煙設備は平時には稼働していないため、点検では非常時に正常に作動するかを確認します。

防火設備

防火設備の点検項目としては
防火扉や防火シャッター、耐火クロススクリーンのほか、ドレンチャーなど水幕を形成する防火設備が挙げられます。

点検方法としては、目視や触診に加え、ストップウォッチや巻尺を用いた測定、
設計図の確認、煙感知器・熱感知器といった機器類の動作チェックなどが挙げられます。

防火設備についても、火災等が発生しない限り作動することはありません。
火災が発生した場合に正常に作動するか、点検時にチェックしておくことが大切です。
防火扉や防火シャッターの前に障害物がないかといった点も、普段から点検しておく必要があるでしょう。

昇降機

昇降機とは、エレベーターやエスカレーターなどの設備を指します。
12条点検の対象建物には設置されている場合が多いです。

点検の方法としては、目視・触診・聴診・寸法測定・機器の動作確認などを行います。
昇降機がなければ移動が困難な建物も多いでしょう。
とくに病院などにおいては、昇降機は欠かせない設備です。

昇降機の点検時には、消耗品を交換するかどうかという判断が必要になります。
ブレーキやワイヤーなど消耗する備品については、12条点検を含めて日頃から適切に管理しなければなりません。

デジタル化の推進がカギ

6ヵ月から1年という周期で行う12条点検について、効率的に実施したいと考える企業は多いでしょう。
しかし、建物の安全な利用に欠かせない重要な点検であるため、点検自体の質が下がっては意味がありません。

また、大規模商業施設などの建築によって点検の対象となる建物が増えています。
点検を行うには資格が必要であり、テストハンマーによる打診確認など作業者が限定されるケースもあります。

点検作業を効率的に行うためには、過去の点検結果をデータ化することが大切です。
点検結果のデータ化により、過去の履歴を簡単に検索でき、点検すべき内容を事前に把握できます。

過去の点検結果は、行政に提出するため紙で保管されるのが一般的ですが、
点検のたびに紙の結果を見直すのは大変です。

また、数値で管理する項目はどのように変化してきているのかなど経年的な管理も必要です。
点検結果をデータ化すれば、数値による判断が容易になります。

建築基準法を管轄する国土交通省は
2021年に『インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)施策』を公表しました。
この中では、インフラ分野のDX化としてロボットやAI、データを活用した業務プロセス・働き方の変革が提唱されています。

具体的な方策として、行政手続きのデジタル化・スマート化による
社会経済活動の生産性の飛躍的向上
を目指しています。

これまで12条点検については、点検後の報告書作成に多くの時間を要していました。
行政手続きのデジタル化が進めば、12条点検の報告も効率化されることが期待できます。

既に一部の行政サービスはデジタル化が進んでいるため
12条点検についても実現する可能性は十分あるでしょう。

まとめ

建築基準法の12条点検は、建物の安全・安心な利用のために実施されています。
法令を遵守するには、多様な項目のチェックや行政への報告などが求められます。

点検作業以上に報告書作成に多くの時間を費やしているという現場も多いでしょう。
紙で管理し、提出資料をまとめるには相当な時間を要します

行政もDX化を推進しているため
これまで当たり前だと思っていた業務プロセスを一度見直してみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

12条点検とは何ですか?

12条点検とは、建築基準法第12条に基づき、特定の建物の所有者・管理者に義務付けられた定期的な点検・報告制度です。火災や設備故障などの事故を防ぎ、不特定多数の人々が安全に建物を利用できるよう、安全・防火・衛生面の点検と行政への報告が求められます。

12条点検の対象となる建物はどのようなものですか?

用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超える特殊建築物が対象です。具体的には、病院・ホテル・旅館・共同住宅・学校・体育館・百貨店・マーケット・倉庫・自動車車庫・劇場・映画館・集会場などが該当します。不特定多数の人々が利用する建物が対象となっています。

12条点検はどのくらいの頻度で行う必要がありますか?

点検周期は項目によって異なり、多くの項目は6カ月から1年ごと、一部の項目は最長3年ごとに実施します。報告時期は自治体ごとに定められているため、所在地の自治体に確認が必要です。特定建築物・建築設備・防火設備・昇降機の4種別ごとに点検内容が定められています。

12条点検を実施するには資格が必要ですか?

はい、必要です。12条点検は一級建築士・二級建築士・建築物調査員資格者証の交付を受けた者のみが実施できます。エレベーターなどの昇降機については、昇降機等検査員資格者証を持つ者による点検が別途必要です。一般的には専門業者に依頼し、有資格者を派遣してもらうケースが多いです。

12条点検を効率化する方法はありますか?

点検結果のデータ化・デジタル化が効率化の鍵です。過去の点検履歴をデータで管理することで、次回の点検内容の事前把握や経年変化の数値管理が容易になります。国土交通省もインフラ分野のDX推進を掲げており、行政手続きのデジタル化が進めば、12条点検の報告業務も大幅に効率化されることが期待されています。

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