クレーンの点検内容は?検査対象となるクレーンや行うタイミングについて解説!

クレーンは、重い荷物でも簡単に運搬できて便利な一方、少しの不具合や故障が大きな事故につながるリスクがあります。
事業者は、法令が定める要件に従って自主点検を行い、トラブルの未然防止に努めることが重要です。

今回は、義務化されたクレーンの点検内容や対象となるクレーンの種類、検査の実施時期などについて解説します。
点検の記録をサポートするITツールもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

クレーンの点検とは?

物流倉庫などでクレーンを使用している場合、事業者には定期的な自主点検が義務づけられています。
こちらでは、クレーンの点検の概要や対象となるクレーンの種類、点検後に行う作業について解説します。

義務化されたクレーンの点検

クレーンの点検は、定期自主検査と呼ばれ、「労働安全衛生法」に基づく「クレーン等安全規則」で義務化されています。
クレーンの点検を怠った場合、法令違反として罰則の対象になる可能性があります。
事故の未然防止やクレーンの性能維持のために重要なプロセスです。事業者は、点検でクレーンに異常が見つかった場合、即座に補修を行う必要があります。

クレーンの点検の実施には、特別な資格は必要ありません。ただし、定期自主検査者には、日本クレーン協会が実施する「定期自主検査安全教育」の受講が推奨されています。

【出典】「クレーン等安全規則(昭和四十七年労働省令第三十四号)」(e-Gov法令検索)

点検の対象となるクレーン

点検の対象となるクレーンは多岐にわたります。基本的には、つり上げ荷重0.5トン(500kg)以上のすべてのクレーンや移動式クレーンが対象です。
0.5トン未満のクレーンは適用除外となっています。
そのほかには、クレーン等安全規則の適用を受けるデリック・エレベーター・建設用リフト・簡易リフトなども定期的な自主点検が必要とされています。

また、つり上げ荷重3トン以上のクレーンや移動式クレーンは、性能検査も実施しなければなりません。
具体的には、荷重試験でクレーンがつり上げられる最大荷重の荷物を持ち上げ、動作に問題がないかをチェックします。
検査に合格するとクレーン検査証が交付されます。クレーン検査証の有効期間は2年間です。

点検後の作業

クレーンの点検後は、自主検査の結果を記録します。年次自主検査表や月例自主検査表などを作成し、点検の実施ごとに結果を記載するのが一般的です。
クレーン等安全規則第38条により、記録した結果は3年間の保存が義務づけられています。
また、定期自主検査安全教育の修了者が点検を行った場合は、自主検査の実施ステッカーを購入して貼付することが可能です。
ステッカーの貼付は義務づけられていませんが、厚生労働省が定めた指針に沿って点検が行われたことを証明できます。

クレーンを点検する時期は?

クレーンの点検は、実施する時期に応じて検査項目が変わる場合があります。こちらでは、クレーンを点検する時期について、検査内容と併せてご紹介します。

年次点検

年次点検は、年に1回実施する検査です。1年以内ごとに1回、所定の項目について自主検査を行います。定期自主検査のなかでも規模が大きく、外部の点検事業者に依頼するケースも少なくありません。

検査内容としては、構造部分・機械部分・電気部分・ワイヤーロープ・つり具・基礎の異常の有無をチェックします。また、荷重試験ではクレーンで定格荷重に相当する荷重の荷をつり上げた状態で、つり上げ・走行・旋回・トロリの横行などの定格速度による作動の試験を行います。

月次点検

月次点検は、月に1回実施する検査です。1カ月以内ごとに1回、所定の項目について自主検査を行います。
検査内容としては、クレーンの機能や装置の異常・損傷のチェックが中心です。具体的には、以下の6つに分類できます。

  • 巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキおよびクラッチの異常の有無
  • ワイヤーロープ・つりチェーンの損傷の有無
  • フックやクラブバケット等のつり具の損傷の有無
  • 配線・集電装置・配電盤・開閉器・コントローラーの異常の有無
  • ケーブルクレーンのメインロープ・レールロープ・ガイロープを緊結している部分の異常の有無
  • ウインチの据え付けの状態の確認

作業開始前点検

1日の作業開始前に実施するのが、作業開始前点検です。つり上げ荷重0.5トン以上のクレーンは、作業を開始する前に点検を行わなければなりません。
過巻防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能、ランウェイ(軌道)の上やトロリが横行するレールの状態、ワイヤーロープが通っている箇所の状態を点検します。

なお、作業開始前点検については、前述した点検記録の保存が法的には義務づけられていません。
ただし、次回の点検時に参照したり、万が一事故が発生した場合の資料として活用したりできるため、一定期間保存しておくのがおすすめです。

暴風雨などの点検

クレーン等安全規則では、暴風や地震が発生した後の点検も義務づけられています。
屋外に設置されているクレーンが対象で、瞬間風速が毎秒30メートルを超える風が吹いた場合と、震度4以上の地震が起こった場合に点検が必要です。

過巻防止装置・ブレーキ・クラッチおよびコントローラーなどの状態、ランウェイの上およびトロリが走るレールの状態とワイヤーロープが通っている箇所の状態を点検します。検査を通じてクレーンが正常に作動することを確認してから、通常の業務に移りましょう。

倉庫で使われる天井クレーンの点検とは

物流倉庫で使われる天井クレーンも点検の必要があります。続いては、天井クレーンの概要と点検内容について解説します。

天井クレーンとは

天井クレーンとは、物流倉庫で使われることが多いクレーンです。
ランウェイを走行するクレーンを指し、クラブトロリ式やホイスト式などの種類があります。人力で運ぶことが難しい、重い荷物の運搬に使用されます。

天井クレーンの点検

天井クレーンも通常のクレーンと同様、年次と月次の自主検査や作業開始前の点検が必要です。年次と月次の自主検査については、点検の記録を必ず3年間保管しましょう。ただし、天井クレーンは屋内に設置されているケースが多いため、暴風や地震が発生した後の点検は基本的に必要ありません。

クレーンの点検記録の管理には「i-Reporter」の導入がおすすめ!

本記事では、クレーンの点検の必要性や対象となるクレーンの種類、時期ごとの点検内容についてお伝えしました。
クレーンの点検は、作業員が安全に荷物を運搬するために欠かせない業務です。適切なタイミングごとに検査を実施し、安全で快適な職場環境を実現しましょう。

クレーンの点検を実施する際は、その内容や結果を記録する必要があります。ただし、点検記録を紙で管理している場合、保管スペースや印刷コストの問題が発生します。
また、紙媒体は検索性が悪く、必要な書類に必要なタイミングでアクセスしにくい点も課題です。

現場帳票の管理システムである「i-Reporter」を導入すると、紙やエクセルベースの点検表を、そのままのレイアウトで電子化できます。
使い勝手を大きく変えることなく、保管スペースや印刷コスト、書類の検索性に関する問題を解決でき、業務効率化につながります。
作業員の入力を補助する機能も多く搭載されており、入力作業におけるミスの削減にも役立つでしょう。
クレーンの点検記録の管理にお困りの場合は、「i-Reporter」の導入をご検討ください。

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