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製造工程における作業ミスが頻発している場合は、製造指示書を用意するのがおすすめです。
製造指示書によって作業の手順や注意点をわかりやすく伝えることで、新人スタッフでも安心して作業に取り組みやすくなります。
そこで今回は、製造指示書の役割や記載項目の例、作成時のポイント、注意点について解説します。
作成した製造指示書の管理を効率化するITツールもご紹介しますので、企業のご担当者様はぜひ参考にしてください。
製造指示書の役割
製造指示書は、製造業はもちろん、組み立て作業などを行う物流業や倉庫業でも使用する機会の多い書類です。現場によって呼び名が異なるケースもあるため、同じ意味で使用される言葉とその意味を正確に理解しておく必要があります。こちらでは、製造指示書の概要と主な役割を解説します。
製造指示書とは
製造指示書とは、製造作業の手順や工程を詳細に指示する文書のことです。製品の種類や製造の段階によって指示内容や形式は変わるものの、基本的には何を、どのように、どの順序で製造するかが記述されます。作業内容のほかには、現場の責任者や担当者なども記載します。
製造指示書は、現場ごとに呼び名が異なるのが特徴です。工程指示書や作業手順書、作業指示書など、さまざまな名称で呼ばれますが、基本的な役割は製造指示書と変わりません。
製造指示書の役割
ミスの発生を防止できる
製造指示書は、製造の作業を的確に行い、ミスをなるべく少なくするために用いられるのが一般的です。製造工程をわかりやすく表記することで作業員の混乱を減らし、経験の浅い担当者が作業をする場合や新しい工程に取り組む場合でも、ミスの発生を防止しやすくなります。
業務効率を改善できる
製造指示書には、ムダな作業を削減し、業務の効率化を図る役割もあります。製造指示書がない場合、新入社員や複雑な作業を任されたスタッフは、上司に質問をするために何度も席を離れる必要があり、業務の効率が落ちるリスクが増えます。一方で、製造指示書が用意され、製造プロセスが詳細に記載されていれば、作業者はその指示に従って業務を遂行でき、作業遅延を防ぐことが可能です。
教育コストを削減できる
わかりやすい製造指示書には、教育コストを削減する効果もあります。製造指示書によって作業の基本的な流れや注意点などを伝達できれば、大規模な研修が不要になるためです。具体的には、研修会社への委託費や会場費、人件費などの節約につながります。個別の研修やOJTによって業務と並行しながら教育を行うことができ、新人スタッフの早期戦力化も期待できます。
情報を正確に共有できる
製造指示書は、スムーズな情報共有の実現にも役立つツールです。製造の現場では、多くの作業を複数の作業員で交代しながら担当しています。交代時には作業の進捗状況やトラブルの有無など、さまざまな情報を次の担当者へ共有する必要があるものの、項目が多く、すべてを口頭で伝えるのは現実的ではありません。製造指示書を用意していれば、必要な情報を正確に共有することができ、伝達漏れを防ぎやすくなります。
製造指示書の記載項目とテンプレート
製造指示書には決まったフォーマットはないものの、内容をわかりやすく整理するためにいくつかの決まった項目を用意しておくのがおすすめです。
こちらでは、製造指示書の記載項目の例をご紹介します。また、無料でダウンロードできる製造指示書のテンプレートもご用意しましたので、ぜひご活用ください。
製造指示書の記載項目の例
製品名(タイトル)
製品名は、製造指示書がどの製品に関するものなのかを一目で理解するために重要な項目です。製品の名称だけでなく、型番や製造ロット番号など、製造内容がわかるものも併せて記載しましょう。これにより、製造指示書の目的が明確になり、誤ってほかの製品の製造指示書と混同するのを防ぐことが可能になります。なお、作業現場によっては組み立てや検品、分解など、作業内容の名称を製造指示書のタイトルに設定するケースもあります。
発行日や製造指示書の番号
製造指示書には通常、発行日やその指示書固有の番号が記載されます。これにより、過去の製造指示書を時系列で管理できるようになり、日付から該当する製造指示書を特定しやすくなります。現場でトラブルが発生した場合など、過去の製造指示書を参照したい場合にも便利です。
ただし、製造指示書を紙ベースで管理している場合、日付がわかっていても探し出すのは容易ではありません。
生産管理システムや帳票の電子化システムなど、システム上で製造指示書の作成や管理、検索が可能なツールを導入するのがおすすめです。
宛先となる製造者名
製造者名の欄には、今回の製造の担当を明示します。具体的には、実際に製造を行う担当部署や担当者の名前を記載するのが基本です。これによって、製造指示書の宛先や誰がどの工程を担当するのかが明確になります。
なお、製造指示書には製造者名のほかに、依頼先となる会社や担当者の名前を記載する場合もあります。
作業の完了時に連絡が必要なケースなど、顧客ごとに記載の有無を検討しましょう。
責任者
責任者は、今回の製造における責任者を明示する項目です。万が一トラブルが発生した際の連絡先や疑問点の問い合わせ先などを共有する目的で記載します。また、作業の責任者を明示することで、製造工程全体の責任の所在が明確になるメリットもあります。緊急時に連絡が取れるよう、電話番号やメールアドレスなどの情報を載せておくと良いでしょう。
製造期間、製造日時、納期
製造指示書には、製造期間や製造日時、納期などの情報も記載します。製造にかかる時間や終了日時などのスケジュールを明確にし、計画的な製造を実現するために重要な項目です。勘違いや伝達ミスが発生しないように、「○○年○○月○○日」とわかりやすく明記する必要があります。
製造指示内容
製造指示内容は、作業手順を詳細に記載する項目です。指示書を読んだ担当者がスムーズに作業を行えるよう、製造する商品や部品の情報、使用する設備や材料、工程ごとの作業手順、安全対策などを具体的に記載します。今回の作業に必要な情報をできる限り網羅することで、担当者からの問い合わせを減らすのが目的です。また、工程手順は文字だけでなく、写真や図で補足する場合も多くあります。
製造指示書のテンプレート
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製造指示書の作成時のポイント
製造指示書は、新人の作業員からベテランのスタッフまで、多くの現場の作業員が使用する書類です。
そのため、製造指示書を作成する際は、誰にとっても理解しやすい内容となるよう工夫する必要があります。こちらでは、製造指示書を作成するうえでのポイントを3つ解説します。
製造手順に漏れがないように作成する
製造指示書は、製造手順に漏れがないように作成しましょう。細かな作業でも、漏れがあるとミスや誤った手順になってしまう可能性があるためです。また、ベテラン作業員のAさんにとっては記載がなくても把握できる内容でも、新人のBさんには具体的な指示が必要なケースもあります。そのため、製造指示書を作成した後はWチェックを行うなど、記載内容に漏れや誤りがないか入念に確認することが大切です。製造指示書の運用開始後には、現場から適宜フィードバックを受け、不備がある場合はすぐに修正しましょう。
製造過程の内容をわかりやすく記載する
製造指示書は、製造過程の内容をわかりやすく記載することも重要です。作業過程がわかりにくいと、上司や担当者に問い合わせなければならず、ムダな作業時間が発生しやすくなります。製造指示書を確認するだけで、新人からベテランまで誰でも作業ができるように記載するのが理想です。具体的には、わかりにくい部分は箇条書きでシンプルに表現したり、作業手順ごとに写真や図表を活用したりすると良いでしょう。
作業機器の扱い方も記載する
製造指示書には、作業機器や工具の扱い方も記載しましょう。作業機器を正しく扱えないと、作業効率の低下や重大な事故につながる可能性があります。製造指示書を通じて使い方やメンテナンスの方法を指導することで、作業効率のアップや事故の防止につながります。また、作業機器を正しく扱える作業員が増えると、品質のばらつきが起こりにくくなる点もメリットです。新たな設備や工具を導入するたびに項目を追加し、常に最新の情報を提供しましょう。
製造指示書を導入するうえでの注意点
業務効率化やコスト削減を目的として、初めて製造指示書を取り入れる場合、想定していない部分でトラブルが発生する可能性があります。そこで続いては、製造指示書を導入する際の注意点を解説します。
製造指示書の作成に時間が取られやすい
製造指示書の作成には一定の時間が必要です。特に、内容をわかりやすくするために図や写真を挿入する場合、時間がかかりやすい傾向にあります。図や写真の作成、トリミングが必要になるためです。また、製造指示書の完成が遅れると、現場が作業に取り掛かれなくなってしまう可能性があります。そのため、まずは製造指示書を速やかに完成させたうえで、作業員からのフィードバックを基に適宜修正するのが良いでしょう。
製造過程の内容が変更されると対応に時間がかかりやすい
新しい設備の導入や工程の見直し、品質管理の改善などにより製造プロセスに変更が生じると、製造指示書の内容の見直しをしなければなりません。場合によっては指示書を最初から作り直すケースもあり、修正を反映するまでに手間と時間がかかりやすい傾向にあります。ただし、製造指示書の更新を怠ると、作業の安全性や製品の品質に影響を与える可能性があるため、速やかな対応が求められます。
海外向けに作成した製造指示書では伝達ミスが起こりやすい
海外の拠点に向けた製造指示書を作成する場合、伝達ミスに注意が必要です。英語などの慣れない言語を使用した結果、細かな指示がうまく伝わらないケースがあります。また、地域によっては用語や計測の単位などに関する認識が異なる場合もあります。伝達がうまくいかないと、作業ミスやトラブルにつながる可能性があるため、必要に応じて翻訳者や現地の専門家と協力して製造指示書の作成を進める必要があるでしょう。
製造指示書の管理を効率化するなら「i-Reporter」
製造指示書は、取り扱う製品や作業工程が増えるたびに作成する必要があるため、事業所によっては膨大な量の書類を管理するケースがあります。製造指示書の効率的な管理を実現するには、帳票の電子化システムである「i-Reporter」を導入するのがおすすめです。こちらでは、「i-Reporter」の概要と導入事例をご紹介します。
i-Reporterとは
「i-Reporter」は、製造指示書や在庫管理表など、業務で使用するさまざまな書類を電子化して管理できるITツールです。紙ベースやエクセルで作成した帳票を、電子データとしてシステム上に取り込むことで、レイアウトを変えずにペーパーレス化を実現できます。製造業や物流業、倉庫業におけるDX施策の一環としても多くの企業に導入されています。
「i-Reporter」には、書類を管理するだけでなく、作業員の入力を補助する機能も豊富に用意されているのが特徴です。例えば、作業ミスが多い現場では、製造指示書にチェックボックスを作成し、作業が完了するタイミングでチェックをしてもらうなどの対策ができます。従来の製造指示書の見た目や使い勝手を損ねることなく、より便利な形にアップグレードできるのが「i-Reporter」の魅力です。
「i-Reporter」にはクラウドプランと自社サーバープランの2種類があります。プランによって機能に違いがありますので、興味がある場合は下記のページよりお気軽にお問い合わせください。
製造指示書を整備して業務品質の改善を実現しよう
本記事では、製造指示書の主な役割や記載項目、作成時のポイント、注意点についてお伝えしました。製造指示書は、製造プロセス全体を可視化し、作業ミスの軽減や業務効率の改善を実現するための重要なツールです。製造指示書を用意することで、これまで作業員に任せていた手順や注意点が明文化され、業務の標準化にもつながります。必要な項目を確認したうえで、すべての作業員にとってわかりやすい指示書を作成しましょう。製造指示書の管理にお困りの場合は、ペーパーレス化ソリューションの「i-Reporter」の導入をご検討ください。
現場帳票研究所の編集部です!
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