倉庫管理主任者とは?役割や業務内容、要件を解説

倉庫の運営においては、国土交通省が管轄する倉庫業法によって倉庫管理主任者の配置が求められています

倉庫管理主任者となる人物は、一定の実務経験を持つか指定の講習を受講している必要があります。
そのうえで倉庫業法で定められた業務を遂行し、倉庫の適正な運営や火災・労働災害の防止に努めなければなりません。

今回の記事では、倉庫管理主任者の要件や業務内容に加え、効率的な倉庫運営のポイントを解説します。
倉庫業関係者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

倉庫管理主任者とは?

倉庫管理主任者の選任については、倉庫業法第十一条で以下のように定められています。

倉庫業者は、倉庫ごとに、管理すべき倉庫の規模その他の国土交通省令で定める基準に従って、倉庫の適切な管理に必要な知識及び能力を有するものとして国土交通省令で定める要件を備える倉庫管理主任者を選任して、倉庫における火災の防止その他の国土交通省令で定める倉庫の管理に関する業務を行わせなければならない。(出典:倉庫業法

つまり、各倉庫において一定の基準を満たす管理者を配置し、倉庫が適切に運営されるようその人物に管理させることが求められているのです。

以下では、倉庫管理主任者の具体的な役割や業務内容、配置基準について解説します。

役割

倉庫管理主任者の役割は、倉庫全体が安全かつ適切に運営されるよう管理することです。

倉庫では多くの従業員が働いており、さまざまな物品を取り扱います。
また、業務内容も入庫・保管・加工・ピッキング・梱包・出庫と多岐にわたります。
そのため、常に災害や事故の発生リスクを抱えているのです。

倉庫管理主任者は、そのような事態が発生しないよう日頃から倉庫全体の管理を行ないます。
具体的には、倉庫業法施行規則において以下のとおり業務内容が定義されています。

  • 倉庫における火災の防止その他倉庫の施設の管理に関すること
  • 倉庫管理業務の適正な運営の確保に関すること
  • 労働災害の防止に関すること
  • 現場従業員の研修に関すること
    (出典:倉庫業法施行規則

以下では、上記4つのポイントに基づく実際の業務内容を紹介します。

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業務内容

倉庫管理主任者の主な業務内容は以下のとおりです。

倉庫における火災の防止

倉庫管理主任者の重要な業務として、倉庫における火災の防止が挙げられます。倉庫には紙や段ボールなど燃えやすい資材が多いほか、可燃性の材料を使った製品を取り扱う場合もあります。倉庫内で火災が発生すれば、それらの可燃性の資材・在庫に引火し、一気に火災が広がる可能性が高いです。その結果、保管している物品の損失や従業員の負傷、さらに倉庫や設備の損害につながることもあります。そのため、倉庫管理主任者には倉庫内で火災が発生しないよう徹底した管理が求められます。

倉庫の施設管理

倉庫内には、作業や保管に使うスペースに加え、事務所や休憩所、トイレといったさまざまな設備があります。大きな倉庫であれば、従業員のために食事を調理・提供する食堂もあるでしょう。健全に倉庫を運営するためには、施設内のすべての設備について、安全上・衛生上の問題がないか管理を徹底する必要があります。また施設管理においては、倉庫内だけでなく敷地全体が対象です。街灯が切れていないか、フェンスが破損していないかなど、定期的に敷地内を巡回して確認する必要があります。

倉庫管理業務の適正な運営

倉庫管理業務を適正に運営することも、倉庫管理主任者の業務です。倉庫管理業務においては、例えば以下のようなポイントを確認する必要があります。

・保管している物品が気温や湿度、虫などによるダメージから適切に保護されているか
・入庫、出庫時の数量管理が適切に記録されているか
・業務上知り得た情報は適切に管理されているか

倉庫管理が適正に行なわれるよう、管理体制も整備しておく必要があります。

労働災害の防止

倉庫内では、多くの従業員がさまざまな作業を行ないます。人手による重い荷物の運搬やフォークリフトの使用など、作業は安全上のリスクを伴います。労働災害が起きないよう、安全管理を行うことも倉庫管理主任者の大事な役割です。例えば、フォークリフトなどの荷役運搬車両については、移動範囲を限定することで歩行中の従業員との接触事故を防ぐといった対応が考えられます。従業員の安全が守られるよう倉庫内での作業ルールを決め、労働災害を防止することが大切です。

現場従業員の研修実施

さらに、火災や労働災害、倉庫業務の適正な運営を行なため、従業員の教育も倉庫管理主任者の重要な業務です。倉庫管理を適切に行なうためには、所属する従業員の意識向上が欠かせません。安全で効率のよい倉庫業務が行なわれるよう、研修を設計・実施する必要があります。

配置基準

倉庫業法施行規則においては、倉庫ごとに1人の倉庫管理主任者を選任する必要があると規定されています。
ただし、同一施設内に設けられている倉庫や、機能上一体の倉庫とみなされる複数の倉庫の場合は、同一の者を選任することが可能です。

また、同一の営業所が直接管理または監督している複数の倉庫についても、同一都道府県の区域内にあり、有効面積の合計が国土交通大臣の定める値以下である場合、同一の者を選任することが可能とされています。

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倉庫管理主任者になるための要件

倉庫管理主任者の要件としては、倉庫業法施行規則にて「実務経験」または「講習の受講」のいずれかが必要とされています。

実務経験

倉庫管理業務の実務経験としては、以下のいずれかが求められます。

  • 倉庫の管理の業務に関して二年以上の指導監督的実務経験を有する者
  • 倉庫の管理の業務に関して三年以上の実務経験を有する者

また、上記に該当する場合でも、以下に当てはまる者の選任は不可とされています。

  • 一年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わりまたは執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
  • 法第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者

講習の受講

実務経験がない場合でも、以下のいずれかを満たす人物であれば選任が可能です。

  • 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
  • 国土交通大臣が前号までに掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者

倉庫管理主任者の講習については、一般社団法人日本倉庫協会が全国の会場で定期的に開催しています。
受講資格は特になく、受講後の試験もないため、受講さえすれば基本的に倉庫管理主任者の要件を満たせると考えてよいでしょう。

効率的な倉庫管理のポイント

倉庫の運営においては、倉庫管理主任者の配置が義務づけられています。
複数の倉庫を運営する事業者であれば、できれば同一人物を複数拠点の倉庫管理主任者として選任したいと考えるでしょう。

しかし、多岐にわたる管理業務を複数の倉庫で実施するのは簡単ではありません。
1人の人物に複数倉庫の管理を任せるには、管理システムを導入するなど、業務の効率化が不可欠です。

単一の倉庫を管理する場合でも、システムによる効率化は業務負担の軽減や作業コストの削減につながります。
効率的な倉庫管理を実現したい場合は、システム導入を検討してみる価値はあるでしょう。

まとめ

本記事では、倉庫業を営むうえで欠かせない「倉庫管理主任者」の役割や業務内容、要件について解説しました。
倉庫管理の適正な運営や火災・労働災害の防止において、倉庫管理主任者は大きな役割を果たします。

管理業務の効率化や、複数倉庫での倉庫管理主任者の兼任を実現するには、倉庫業務の効率化が欠かせません
手作業で行なっていたデータ入力などをシステム化すれば、倉庫管理主任者としての業務も効率化・簡略化できるでしょう。

効率的な倉庫運営を目指すなら、倉庫へのシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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