マテハン機器とは?設備の種類と導入のポイント

工場や物流の現場では、作業を正確かつ効率的に行うためマテハン機器と呼ばれる設備が利用されています。
すべての作業を人手で行うのは非効率であるため、各工程に特化したマテハン機器が大きな役割を果たしているのです。

今回はマテハン機器の概要や具体的な種類、導入時のポイントについて説明します。

マテハン機器とは

マテハン機器の概要や具体的な種類について紹介します。

マテハンとは

マテハンとは、マテリアルハンドリング(Material Handling)の略です。マテリアルは「材料」や「原料」、ハンドリングは「取り扱う」という意味をそれぞれ持つため、マテハンは「材料や原料を取り扱う」ことを意味します。

マテハン機器とは、物流現場で荷物を運んだり積み上げたりする機器のことを指します。

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マテハン機器の種類

マテハン機器には、用途によってさまざまな種類があります。代表的なマテハン機器について紹介します。

フォークリフト

車両の前にフォークと呼ばれる鉄製のツメを備えた荷役運搬車両です。
フォークを荷物の下のパレットに差し込んで、パレットごと荷物を持ち上げて運びます。
フォークは上下に移動するだけでなく、水平方向への移動や回転が可能なものもあります。

フォークはマストと呼ばれるレールに取り付けられており、マストが伸び縮みすることで荷物を上下させます。
一般的なフォークリフトでは、地上から3mくらいの高さまで荷物を持ち上げることが可能です。

昇降可能な荷物の重量は、0.5トン程度から数十トンと車両によってさまざまです。
小回りが効くため、倉庫の中など限られたスペースでの作業に役立ちます。

電動けん引車

トラックから降ろした荷物を運搬するマテハン機器として、電動けん引車があります。
電動けん引車は、パレットを載せた複数台の台車をけん引して倉庫内を移動します。

台車はピンで連結されているため、ピンを抜き差しすることで、倉庫内にパレット単位で荷物を仕分けることが可能です。

パレタイザ

物流現場では、荷物をまとめて移動できるようパレットに積み上げます。パレットへの積み上げ作業に使用するのが、パレタイザと呼ばれるマテハン機器です。

パレタイザには主に機械式ロボット式の2種類があります。

機械式のパレタイザ

比較的取り扱う荷物が限定されますが、重量の大きな荷物を扱うことが可能です。
また、可搬速度の変更にも対応しています。

ロボット式のパレタイザ

可搬重量や可搬速度は機械式に劣りますが
コンパクトの為、小さいスペースで使える点や、設定を変えると多くの種類の荷物を扱える点がメリットです。

コンベア

荷物をベルトに載せて移動させるのがコンベアです。
コンベアには、ベルト式やチェーン式などさまざまな駆動方式があります。

昔のコンベアは単に荷物を運ぶだけでしたが
近年ではコンベア上で荷物を仕分けしたり、梱包をしたりと作業の効率化にも役立っています。
コンベアの多くは床に固定されているため、設置後には容易に移設できない点はデメリットです。

無人搬送車(AGV)

その名のとおり、無人で荷物を運ぶ車両が無人搬送車です。
AGV(Automatic Guided Vehicle)とも呼ばれています。
AGVは床に設置した磁気テープに沿って走行するため、搬送レイアウトを比較的自由に変更できるのが特徴です。

基本的にAGVは事前に設置した磁気テープに沿って走行します。
しかし、近年ではAIを搭載したAGVも登場し、磁気テープがなくても指定した経路を運搬することが可能になっています。

自動倉庫

倉庫の中の限られたスペースを有効活用するため、登場したのが自動倉庫です。自動倉庫はたくさんの棚を備えており、搬送装置によって、決められた棚に自動で収納したり、取り出したりします。商品情報と連携しているため、効率的な作業・管理が可能です。

移動式ラック

移動式ラックは、床に設置したレール上をラック(棚)が移動する設備です。
モーターなどによる駆動方式と、手動方式の2つがあります。
重いラックをレールの上に乗せることで、少ない力で動かすことが可能になります。

デジタルピッキングシステム

デジタルピッキングシステムは、出荷する荷物を保管場所から取り出すための設備です。
さまざまな商品を取り扱っている場合、保管場所をそれぞれ確認するのは非効率です。

出荷する商品がどの棚に収納されているか、作業者に伝達することで作業の効率・精度の向上に貢献します。
デジタルピッキングシステムでは棚ごとにランプが設置されており
該当する棚のランプが光ることで作業者をサポートするのです。

最近では、レーザー光線やプロジェクターを利用することで、棚へのランプ設置が不要となるタイプも登場しています。

ハンディーターミナル

出荷する荷物を効率的に確認する機器として、ハンディーターミナルがあります。
ハンディーターミナルでバーコードやQRコードなどの商品コードを読み取ることで
出荷指示との一致をリアルタイムで確認することが可能です。

バーコードリーダーのような専用機器もありますが、現在はタブレットのカメラを利用し
バーコードやQRコード、テキストを読み取る方法も取り入れられています。

マテハンのメリット・デメリット

さまざまな物流現場で活躍しているマテハン機器ですが、利用時にはメリットとデメリットが存在します。

メリット

マテハン機器を利用することで、作業効率の改善とそれに伴うコスト削減が図れます。
また、仕分け作業に求められる正確性も担保できるでしょう。

荷物の重さや大きさは、常に一定とは限りません。
柔軟性の高いマテハン機器を利用すれば、さまざまなタイプの荷物を効率よく扱うことが可能です。

デメリット

マテハン機器は機械設備であるため、トラブルや消耗が一定程度発生します。
作業の効率化に必要なマテハン機器が故障してしまえば、出荷業務に支障をきたすでしょう。
場合によっては、納期遅れや誤出荷などにより顧客に被害を与える可能性もあります。

また、マテハン機器は高額なものが多いため、計画的に導入しなければ、かえってコストを圧迫することになります。

マテハン機器導入のポイント

物流作業で活躍するマテハン機器ですが、やみくもに導入しても大きな効果は得られません。
ここでは、マテハン機器の導入事例や導入時のポイントを説明します。

導入事例

経済産業省の「ロボットの導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018」から、2つのマテハン導入事例を紹介します。

【事例1】作業者を10人→8人に減らすことに成功

あるレトルト食品製造工場では、商品が梱包された6~12kgの箱をパレットに積み込む作業を人手で行っていました。
そこで、ロボット式のパレタイザを導入して作業者の負担を軽減することで
作業者を10人から8人に減らすことが可能となりました。

【事例2】作業者を18人→11人に減らすことに成功

また別の倉庫業を営む企業では、ピッキングシステムと自走式ロボットを導入しました。
作業の効率化・自動化に成功した結果、作業者を18人から11人へと大幅に削減できたのです。

導入時のポイント

マテハン機器を導入することで、大きな成果を上げている企業は数多く存在します。
しかし、ただ導入すれば効果が出るというわけではありません。

マテハン機器の維持管理にもコストがかかるため、導入に際しては明確な目的を決めましょう
作業の効率や精度を向上させた結果、どれほどのコストメリットが生まれるのか試算することが重要です。

既にマテハン機器を導入している企業においても、老朽化による更新が必要になります。
更新時に新たな課題の解決につながる仕様を盛り込むことで、さらなる改善を図りましょう。

マテハン機器の導入については、さまざまな補助金や減税措置が用意されています。
政府や自治体による説明会などが実施されているため、積極的に情報収集を行いましょう。

まとめ

今回は、物流作業の効率・精度を向上させるマテハン機器について説明しました。
初期投資・維持費のかかるマテハン機器ですが、導入すればさまざまな課題や問題の解決につながるでしょう。

マテハン機器のほかにも、システムの導入など物流業務の効率化にはさまざまな手段があります。
今一度、物流業務全体を見直すことで作業の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

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