目次
出荷前の商品を保管する倉庫は、品質管理において重要な役割を果たします。
とくに低温管理が必要な商品の場合、保管方法に不備があれば大きなトラブルにつながりかねません。
今回は、低温倉庫とその他の倉庫のちがいや、低温倉庫を利用するメリット・デメリット、利用時のポイントを解説します。
低温倉庫の利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
低温倉庫とは
倉庫の基礎知識
倉庫には自家用倉庫と営業用倉庫があります。
自家用倉庫=主に所有者の荷物を管理・保管するもの 営業用倉庫=外部の荷物を預かって管理する倉庫業を目的として使用するもの。倉庫業法に基づく登録が必要
種類による特徴
営業用倉庫は、保管する温度に応じて4つの種類に分類されます。
①常温倉庫:温度や湿度の管理は行っていません。季節によって倉庫内の環境は変化します。
②低温倉庫(定温倉庫):保管する商品に応じて温度を一定に保ちます。一般的には倉庫内の温度を10~20℃で管理するケースが多いため、低温倉庫と呼ばれています。
③冷蔵倉庫:倉庫内の温度を10℃以下で管理している倉庫を指します。専門的な分類としては、冷蔵倉庫は7つの等級に分かれており、次に紹介する冷凍倉庫もその一部にあたります。
④冷凍倉庫:倉庫内の温度を-20℃以下で管理している倉庫を指します。
上記のうち、温度管理が必要となる低温・冷蔵・冷凍倉庫の具体的な特徴は以下のとおりです。
低温倉庫(定温倉庫)
低温倉庫(定温倉庫)では、温度変化に弱い商品を一定温度で保管することにより、長期間の保存や商品の出荷時期調整を行います。
活用例としては、ワインの保管があります。ワインは温度変化に弱いため、比較的低い一定の温度による保管が必要です。
低温倉庫で保管することで、ワインの品質を損なわずに長期間保存ができます。
その他の活用例として、野菜や種子の保管が挙げられます。
野菜や種子なども、低温倉庫に保管することで長期間の保存や発芽時期のコントロール、出荷時期の調整が可能となるのです。食品以外では、精密機器や医療機器、美術品なども保管されることがあります。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫は低温倉庫よりも低い温度で管理されており、品質が劣化しやすい海産物や精肉などの保管に利用されています。
また、低温倉庫では長期保存が難しい乳製品などの保管も冷蔵倉庫で行います。
保管する商品によって、きめ細かな温度管理ができるのが特徴です。
冷凍倉庫
冷蔵倉庫の等級の中で、-20℃以下で温度管理しているのが冷凍倉庫です。
冷凍倉庫では、氷菓子や魚介類、冷凍食品などの保管に利用されています。
冷凍倉庫で商品を凍らせたまま保存することで、鮮度を損なわずに長期保存が可能となります。
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低温倉庫のメリット・デメリット
メリット
低温倉庫を利用するメリットは、以下の2つです。
品質・鮮度を維持できる
低温倉庫を利用することで、商品のきめ細かな品質管理が行えます。
低温倉庫がない時代では、多くの生鮮食料品は長期間鮮度を保って保存することができませんでした。
戦後、家庭には冷蔵庫が普及し、保管ができるようになりました。一方、流通工程における低温管理は不十分なままであり、品質低下は避けられなかったのです。
低温倉庫が普及したことで、流通過程における品質低下を防止するだけでなく、旬の時期以外でも品質を損なうことなく商品を提供できるようになりました。
廃棄ロスを削減できる
温度管理のない倉庫で長期保存をすると、生鮮食料品などは品質が劣化し、出荷できなくなります。
出荷できなくなった商品は廃棄処分となり、企業の収益を圧迫するでしょう。
低温倉庫で温度や湿度をコントロールすることで、廃棄ロスを減らし、ムダなコストを削減できます。
デメリット
低温倉庫を利用するデメリットは、以下の2つです。
温度管理にコストがかかる
常に倉庫内を一定の温度に保つため、コストがかかります。
温度を保つための稼働コストだけでなく、倉庫自体の環境を整備するための設備投資も必要です。
そのため、倉庫を建築する際の初期投資も常温倉庫より大きな金額になるでしょう。
そして、倉庫機能を維持管理するためのランニングコストもかかります。
倉庫内作業者に負担がかかる
低温環境では、作業者に身体的な負担がかかります。
管理温度が低いほど、作業者にかかる負担は大きくなるため注意が必要です。
冷凍倉庫などでは温度が氷点下であるため、長時間作業することはできません。
作業者の負担に加え、頻繁に出入りすれば倉庫内の温度が上がるという点にも注意が必要です。
温度が上昇すれば、再度冷却する必要があるため余計なコストが発生します。
一部の作業は倉庫外から行えるよう設備投資を行うことも、解決策の1つとして考えられます。
効果的に利用するには
外部の低温倉庫を効果的に利用するためには、注目すべきポイントがあります。
立地条件とサービス内容に分けて説明します。
立地条件
理想的な立地条件としては、調達元や配送先に近い拠点が挙げられます。
たとえば、海産物を扱うのであれば水揚げされる漁港の近く、農産物を扱うのであれば収穫地の近くといったイメージです。
採れたての生鮮食品を、低温技術によって長期間新鮮に保管できるでしょう。
サービス内容
取り扱う商品によって、保管温度は異なります。
さまざまな商品を扱う予定であれば、それぞれに適した温度管理に対応できる倉庫を選びましょう。
また、1つの倉庫全体を自社で利用する場合であれば最適な温度に設定できますが、複数の会社で共同利用する場合は、調整が必要になるため注意が必要です。
さらに、管理体制が整っているかを精査することも重要です。
低温倉庫では、少しの間でも温度管理に不備があれば大きな問題になります。
冷凍機の故障などがあれば、保管していた商品は廃棄するしかなくなるでしょう。
24時間365日、確実に温度が保たれるよう万全の管理体制が求められます。
設備故障や停電など、トラブルが起きた際のバックアップ体制についても確認が必要です。
また、複数拠点を持つ倉庫業者であれば、トラブルからすぐに復旧できない場合でも一時的に近くの拠点に移送することが可能でしょう。
まとめ
低温倉庫を活用することで、生鮮食料品やワイン、精密機械など一定の温度管理が必要な商品の保管が可能となります。
品質劣化による顧客満足度の低下やクレームの発生、廃棄ロスなどのリスクを低減できるため、事業活動に欠かせない設備だといえるでしょう。一方で、温度管理にかかるコストや作業者の負担には注意が必要です。
低温倉庫を効果的に利用するためには、立地条件やサービス内容に注目して倉庫を選ぶ必要があります。
自社の商品が最適な環境で安全に保管されるよう、倉庫サービスを見極めましょう。
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