PLCとは?特徴やメリット、国内シェア状態を紹介

製造現場の生産性を向上させるキーワードとして、DXやIoTなどの活用が注目を集めています。

しかし、実際には「何をすれば良いのか」「コストが高く手間が掛かりそう」という理由で、具体的なアクションに踏み出せない企業も多いのではないのでしょうか。

生産性を向上させるためのデータは現場にあります。
そこで今回は、製造現場の設備を制御するPLCから現場の情報を収集し、生産性を向上させる方法について説明します。

PLCとは

製造現場には、様々な設備があります。それら設備を制御しているのがPLCと呼ばれているものです

PLC=(Programmable Logic Controller)
制御専用に開発されたコンピュータのこと

PLCで、圧倒的な国内シェアを持っているのが三菱電機です。三菱電機のPLCは「シーケンサ」という商品名で販売しています。三菱電機に次いでシェアを持つのはオムロンです。

オムロンのPLCについては、各種国際規格にあわせた製品となっているため、互換性トラブルも少ないでしょう。

PLCの特徴

PLCは、制御用として使用することを前提に開発・設計されています。PLCの主な特徴は以下の通りです。

性能・信頼性

PLCは常時連続稼働の保証 / 長期製品サポート が行われます

PLCに使われるCPUは、パソコンのように最新のCPUが搭載されることはありません。どちらかと言うと、何世代も前の古いCPUが搭載されているのが一般的です。

PLCは主に生産設備で使われるため、24時間365日連続して動作する必要があります。
パソコンのように、使用中にフリーズすることがないように設計されています。

そのため、製品化する場合は厳しい性能評価をクリアしなければなりません。
性能評価には時間が掛かるため、次々と新しいCPUを搭載していくということができないのです。

また補給品についても、長期間製品をサポートしなければならないため、製品のライフサイクルは数十年単位となっています。

インターフェース

PLCのインターフェースは、一般的にはデジタル信号かアナログ信号になります。

パソコンのようにキーボードやモニタなどのインターフェースはありません。

PLCの内部状態を確認するためには、専用のソフトウェアが必要です。専用のソフトウェア上で内部状態を確認します。専用のソフトウェア以外で内部状態を確認する方法は、デジタル信号を利用して、ランプを点灯させたり、ブザーを鳴らしたりすることで、内部状態を知らせます。

設備にタッチパネルがあり、PLCの内部状態を表示している場合がありますが、タッチパネルはPLCとデータ通信してPLCの状態を表示しているため、PLC本体とは異なる機器となります。

電源

PLCの電源は設備から供給するケースが一般的です。
※設備の電源と一緒になっているため、設備の電源を切ると、PLCの電源も切れます。

パソコンで同じようなことをしたらどうなるでしょうか。パソコンで同じような電源の切り方を何度も行うと、本体故障の原因となるでしょう。PLCでは、いきなり電源を落としても本体故障が起きないように設計されています。

メモリのデータについても、内部に電池を持っているため、電源が切られた後もメモリのデータが保持されます。

メモリ

一般的にPLCのメモリ容量は、パソコンと比べて非常に少ないです。

PLCメーカーによっては、多くのメモリを搭載したモデルもありますが、高額になるため特別な理由がない限り採用するケースは少ないでしょう。

記憶装置

一般的にPLC本体には、ハードディスクのような大容量の記憶装置は搭載されていません。

PLC自体は、制御用として使われることを目的として設計されているため、大容量の記憶装置は搭載しません。

外部記憶装置としては、SDカードが使えるものが多いです。10年以上前は、SDカードの容量も少なく高価でしたが、年々大容量で安価なSDカードが販売されるようになったため、PLCで使われる機会が多くなりました。

ネットワーク

PLCには、古くからネットワークの機能があります。
※使用できるネットワークの種類は、制御用ネットワークと呼ばれているもの

汎用的なネットワークであるイーサネットも利用できましたが、拡張機能として提供されていたため、別途専用の機器が必要でした。現在多くのPLCでは、本体にイーサネットポートが搭載されています。

PLCメーカーは、このイーサネットを利用したデータ収集用ソフトウェアを提供しています。データ収集用ソフトウェアは、Excelなどのパソコンソフトと連携することができ、PLC内の情報をExcel上に表示します。

元々とは制御用機器として誕生したPLCですが、デジタル技術の発展と共に高機能化されてきました。そのためPLCには、単なる制御機器からIoTのエッジコンピュータとして活用されるようになりました。

PLC情報を効率よく日報に記入する方法

制御用に開発されたPLCですが、一般的なPLCの機能を活用して、製造現場の生産性を向上させる方法について説明します。

操業前の確認・点検

製造現場において、操業開始前に確認や点検しなければならないことがたくさんあります。

  • 原料の量
  • 原料の温度
  • 空気圧
  • 冷却水温度

など、様々な確認や点検を行わないと、操業中に異常が発生してしまいます。

これまでは、各設備の前まで作業者が行って、それぞれの点検項目を確認して点検表に記録をしていました。点検する項目の多くがアナログの値です。このアナログ値をPLCにアナログ入力ユニットを取り付けて、PLCにデジタルデータに変換して収集します。

収集したデータは、イーサネットを利用して社内ネットワークから取得します。
こうすることで、これまで多くの作業者が行っていた操業開始前点検作業を1人で行えることはもちろんですが、取得したデータをサーバー上に自動で記録することもできます。

操業中の情報収集

PLCを活用した情報収集の仕組みによって、リアルタイムに設備の情報が把握できます。

操業中に温度低下や圧力低下が発生した場合も、その場で設備異常を出すだけでなく、遠隔監視している作業者にも同時に異常を知らせることができるでしょう。

遠隔監視している作業者に知らせることで、異常に素早く対応することも可能です。さらに多くのデータを蓄積することで、異常が発生する兆候も分かるでしょう。

操業後の確認・点検

操業後には、稼働実績作業日報を作成します。その時も、設備で生産した数量や発生した異常内容などを記録していれば、日報作成が効率的に行えます。

日報に記載する情報は、操業中に収集できているため、転記などの作業が不要です。

また、作業者による入力作業が省略できるため、入力間違いを防止できます。
作業者にしか入力できない情報のみを追加することで、日報を完成させることができます。

まとめ

今回は、PLCを活用した生産性向上について説明しました。

PLCは古くから制御機器として利用されていましたが、搭載されているCPUの能力が低くて高度な処理を行うと、肝心の制御処理が遅れたり、プログラムが膨大となったりして本体メモリに保存しきれないということがありました。

現在ではCPUの能力も向上され、上位システムと簡単に通信できるようになりました。

製造現場の情報は現場にあり、その多くがPLCの内部情報として持っているため、データを収集するもっとも効率的な方法と言えるでしょう。

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