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事業用の車両を安全に使用するためには、点検によって異常を早期に発見したり、必要に応じて部品の交換や修理を行ったりすることが大切です。事業者は法律上のルールに従って車両点検を実施して、ドライバーが安心して社用車に乗れる状態を整えましょう。
本記事では、事業者向けに車両点検に関する情報をお伝えします。車両点検を実施する時期や、点検方法まで解説するため、ぜひ参考にしてください。
車両の点検の種類
点検には事業用の車両の安全性を維持する重要な役割があります。車両のトラブルを未然に防ぎ安全運転を実現するためにも日頃の点検が不可欠です。点検方法には「日常点検」と「定期点検」の2種類があるため、まずはそれぞれの目的を確認してみましょう。
日常点検とは
日常点検とは、事業者が1日に1回の頻度で、車両の運行前に実施する点検です。一般的にユーザーが自分で確認できる箇所を簡単に点検し、車両の異常を早期に発見する目的があります。万が一、日常点検で異常を発見したら、整備工場に相談して問題を解決することが大切です。
定期点検とは
定期点検(定期点検整備)は、定期的に実施する点検です。「法定点検」とも呼ばれます。部品の故障や摩耗があれば、交換や修理を行います。日常点検よりも詳細な点検であり、専門的な知識や技術を求められることから、国の認証を受けた整備工場に依頼するケースも少なくありません。
事業用の車両(バス・トラック・タクシーなど)の場合、定期点検のタイミングは3カ月ごとに51項目、12カ月ごとに101項目と定められています。マイカーよりもこまめな定期点検が必要となるため、車両管理のご担当者様は押さえておきましょう。
車両の点検項目と方法
ここでは、日常点検や定期点検で確認する項目や、ご自分でできる日常点検の方法を解説します。車両の使用者や管理者の方は、日常的なタイミングで社用車の点検を実施しましょう。
日常点検と定期点検で確認する項目
日常点検で確認する項目
日常点検で確認する項目は、大きく「エンジンルーム」「自動車の周り」「運転席」に分けられます。ここでは、それぞれの箇所を確認するポイントをご紹介します。
【エンジンルーム】
ブレーキオイル | ブレーキオイルのリザーバータンクをチェックして、液量が規定の範囲内であるか確認する。 |
冷却水 | 冷却水のリザーバータンクをチェックして、液量が規定の範囲内であるか確認する。 |
エンジンオイル | オイルレベルゲージを抜き取り、拭き取り後に再度差し込み、エンジンオイルの液量が規定の範囲内であるか確認する。 |
バッテリー液 | バッテリー液をチェックして、液量が規定の範囲内であるか確認する。 |
ウインドウォッシャー液 | ウインドウォッシャー液をチェックして、液量が十分であるか確認する。 |
【自動車の周り】
ランプ類 | エンジンをかけて、ランプ類が全て点灯するか、ランプ類に汚れや損傷がないか確認する。 |
タイヤ | タイヤに亀裂・損傷・異物がないか確認する。 |
タイヤの空気圧 | タイヤの空気圧が規定の範囲内であるか確認する。 |
タイヤの溝 | スリップサインをチェックして、タイヤの溝に適切な深さがあるか確認する。 |
エンジン | エンジンをかけて、スムーズに始動するか、異音がないか確認する。 |
ウインドウォッシャー液 | ウインドウォッシャー液がワイパーの作動範囲に噴射されるか確認する。 |
ワイパー | ワイパーが動作するか、ウインドウォッシャー液を拭き取れるか確認する。 |
ブレーキペダル | ブレーキペダルの踏みしろや踏みごたえが適切であるか確認する。 |
アクセルペダル | アクセルペダルに引っ掛かりがないか確認する。 |
定期点検で確認する項目
事業用の車両(バス・トラック・タクシーなど)の定期点検では、3カ月ごとに51項目、12カ月ごとに101項目の点検を行います。定期点検の項目は多岐にわたるため、ここでは一例をご紹介します。
ステアリング | 走行中にハンドルが左右に取られないか、ハンドル操作が重くないか、ハンドルの戻りがよいか、遊びの量が適切であるかなどを確認する。 |
ブレーキ | スケールを使って、ブレーキペダルの遊びや床板とのすき間が規定の範囲内であるか確認する。 |
走行措置 | タイヤゲージを使って空気圧を測定して、規定の範囲内であるか確認する。スリップサインをチェックし、ディプスゲージを使って溝の深さが規定の範囲内であるか確認する。 |
緩衝装置 | リーフ式サスペンションのリーフスプリングに折損や亀裂がないか、目視で確認する。 |
動力伝達装置 | クラッチペダルを手で押して、遊びが規定の範囲内であるか、スケールを使って確認する。 |
電気装置 | スパークプラグの電極に汚れ・損傷・摩耗がないか、絶縁碍子に焼損がないか、目視で確認する。 |
エンジン | エンジンをかけた状態で、アイドリング時の回転がスムーズに続くか確認する。回転計を使って回転数が規定の範囲内であるか確認する場合もある。 |
エキゾーストパイプとマフラー | エキゾーストパイプとマフラーの取付部や接続部に緩みがないか確認する。 |
日常点検の方法
日常点検は「エンジンルーム」「自動車の周り」「運転席」に分けて行います。まずはボンネットを開けてエンジンルーム内をチェックします。ブレーキオイル・冷却水・ブレーキオイルなどの項目を確認しましょう。続いて車両の周りをチェックして、タイヤにパンクや劣化がないか、ヘッドランプに汚れがないかなどを確認します。最後に運転席に座って、ブレーキペダルの踏み込み具合や、エンジン音などを確認してください。
車両の点検でよくある質問
事業者の車両点検に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。社用車を正常に利用するために、確実にメンテナンスを実施しましょう。
定期点検を依頼する場所や費用は?
定期点検は、自動車ディーラーや整備工場などに依頼できます。点検整備を依頼する業者によって費用が異なります。一例として、12カ月点検で1万円程度が費用の目安です。
車両の点検をしない場合に罰則はある?
事業者の場合、車両の日常点検や定期点検は道路運送車両法で義務付けられています。法定点検を怠り法律に違反すると罰金が科される可能性があるため注意が必要です。
【参考】「点検整備は使用者の義務です 点検整備の種類」(国土交通省)
日常点検や定期点検と車検との違いは?
日常点検や定期点検は車両の状態を確認するための点検です。車両の不具合の発生を防ぐことが目的となっています。それに対して車検は、車両が道路運送車両法で定められた保安基準を満たしているか確認することが目的です。車検に通ると有効期限のある「自動車検査証(車検証)」が交付されます。車検証の有効期限が切れた車両は公道を走行できません。
車両点検を着実に実施して社用車の安全を確保しましょう!
今回は、事業用の車両に欠かせない車両点検について解説しました。車両点検を実施したら、「点検整備記録簿」に点検結果や整備の概要を記録する必要があります。書類は一定期間にわたり保存する必要があり、3カ月点検・6カ月点検の対象車では1年間、1年点検の対象車では2年間の保存が求められます。これらのメンテナンスに関するデータの管理には、「i-Reporter」がおすすめです。
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