APQPとは?導入の目的や5つのフェーズ、成功のポイント

APQPとは、プロダクト開発の上流から下流までの諸プロセスを、品質保持の点から考えたプランのことです。「Advanced Product Quality Planning」の略で、「先行製品品質計画」と訳されます。

この記事ではそんなAPQPについて、導入に役立つITツールも含めて解説します。自動車産業ほか、製造業での品質向上に関心のある方はぜひ参考にしてください。

APQPの概要

まずはAPQPを理解するために重要となる基本的な事柄について解説します。

APQPの目的とは

APQP導入の目的は、クライアントの要望に沿った製品を開発すること、諸リスクを小さくすること、業務効率化などです。また全米自動車産業協会(AIAG)では、APQPの目的は「顧客を満足させる製品またはサービスの開発を助ける製品品質計画を作ること」と規定されています。

APQPは製品を設計して製造工程を作り、製品計画に反映していく作業です。適切なAPQPな実施は製品の売れゆきのほか、トラブルを生じさせないことにもつながります。とくに失敗のリスクが高まる新製品のリリース時や新しい製造プロセスの導入時にAPQPは重要です。

IATFとの関係性とは

APQPは自動車産業の品質マネジメントに関する国際規格「IATF16949(旧ISO/TS 16949)」でコアツールのひとつに含められています。コアツールは、プロダクトの品質管理にとりわけ重要な手段、方法のことです。IATF16949のコアツールはほかに、PPAP(生産部品承認プロセス)、FMEA(故障モード影響解析)、MSA(測定システム解析)、SPC(統計的工程管理)があります。

IATF(=International Automotive Task Force)は、「国際自動車産業特別委員会」と呼ばれます。 IATF16949は、IATFが策定した組織全体の品質マネジメントシステムを構築するための指針です。APQPはIATF16949の基幹となる手法の一つとして、製品開発における品質管理を支えます。

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PPAPとの違いとは

APQPとPPAPは、名称こそ類似があるものの内容は似て非なるものです。APQPは製品実現のプロセス、PPAPは顧客に製品を承認してもらうための手続きを指します。どちらもIATF16949におけるコアツールであることは同様です。

PPAP(=Production Part Approval Process)は、「生産部品承認プロセス」と訳されます。。PPAPは、生産部品が顧客の要求に沿っていることを証明するための文書提出と承認の手続きです。PPAPを通じて、顧客はプロダクトの品質が要求通りのものかを確認して承認します。PPAPは、製品の品質保証において重要な役割を果たし、顧客とサプライヤー間の信頼関係を構築するのに役立ちます。

APQPの5つのフェーズ

APQPには5段階のフェーズがあります。フェーズとは、進行中の仕事や作業の段階を意味する言葉です。

APQPでは、以下の5つのフェーズを段階を追ってクリアするることで、顧客満足度の高い製品を開発・量産しやすくなります。

1. プログラムの計画と明確化

クライアントが求めることを明確にして、製品の仕様や品質の目標を決定する段階です。顧客固有要求事項(CSR)や市場調査の結果、企業の事業計画などのデータ(インプット)をもとに、全体の計画書(アウトプット)を作成します。はじめに目指すべき方向を明確にすることで、開発作業を効率化することが可能です。

2. 製品の設計・開発

事前計画に基づき、詳細な製品設計を策定するフェーズです。具体的にはデザインや機能、許容差、特殊特性などを決定します。

このフェーズでは、プロトタイプ(試作品)によるテストも行います。ツールには、DFMEA(設計故障モード影響解析) やDVP&R(設計検証計画とレポート )などが便利です。製品設計での諸リスクを解析し、事前に対策を講じます。

3. プロセスの設計・開発

新製品の仕様が決まったら、次は量産に向けてより良い生産プロセスを企画する段階です。具体的には製造技術や測定方法などを決定し、プロセスのフロー図やコントロールプランなどを策定します。またPFMEA(プロセス故障モード影響分析)などの手法により、製造工程に関するリスクも洗い出します。

4. 製品・プロセスの妥当性のチェック

策定されたプロダクトや工程の計画が適切であるかを検証するフェーズです。設計をもとに量産試作を行い、できあがった製品の品質や量産体制の合理性・信頼性などを評価します。

APQPと並ぶIATF16949のコアツールであるPPAP(生産部品承認プロセス)やMSA(測定システム解析)、SPC(統計的工程管理)もこのフェーズで実行されます。プロセスの評価には、CPやCPKなど工程能力を定量化した指標も有用です。

5. 製品の量産・改善

新製品の量産開始後、現場や顧客からのフィードバックをもとに製造プロセスに継続的改善を加えていくフェーズです。製造品質や工程管理のばらつきなどの課題に対処し、品質をより良いものに向上させていきます。このフェーズでのトライアンドエラーは、次なる新製品のAPQPにも活かされます。

APQPを成功させるための主なポイント

APQPを成功させるには、以下の観点が重要になります。

段階的に継続的な改善を行う

APQPにおける製品やプロセスの改善は、段階的かつ継続的に行うことが重要です。回数を重ねることでさまざまな視点を盛り込みながら改善を実施でき、より良い品質を実現できます。具体的には顧客要求の満足、不適合製品の予防、工程の効率化など観点で改善を繰り返します。

製品に求められる要求を検証する

APQPでは、クライアントが要求する性能を仕様書などに落とし込んでいく必要があります。そのためには、顧客の要求事項をクリアしているかどうか確かめるために、試作品を作り検証することが重要です。実験によって得られた結果を設計に反映させ、より良い設計に仕上げていきます。

顧客ニーズを把握する

第一に顧客の声を十分にヒアリングし、ニーズを把握することが大切です。顧客が自社製品に対して何を求め、何を期待しているかを理解することで、より良い製品の開発や顧客満足度の向上につながります。顧客の声を知るには、アンケート調査やインタビュー、意見交換会などのツールを活用することが効果的です。

ソフトウェアを活用する

近年はさまざまなメーカーからAPQPの合理化に役立つアプリケーションが出ています。ITツールで業務を自動化すれば、ミスを防止でき、分析や改善の精度を高めることも可能です。そのため、ソフトウェアの導入は、顧客満足度も高まり、時間やコストの削減にもつながります。自社に合ったソフトウェアを選び、活用するのがおすすめです。

APQPを充実させるにはITツールの活用を!

APQPは、製品開発プロセス全体を管理し、プロダクトの品質を守るための強力なコアツールです。APQPを導入することで、企業は顧客満足度の向上、市場投入までの時間短縮、コスト削減、競争優位性の強化など、多くのメリットを得られます。

限られた人員、時間でより良いAPQPを実現し、顧客満足度を向上させるにはITツールを上手に活用するのがおすすめです。例えば、物流・倉庫業務の効率化には、現場帳票電子化システム「i-Reporter」をお試しください。

i-Reporterは、入出庫や棚卸、ピッキングなどの業務を省人・効率化するのに便利なツール。それら業務の工程管理における記入ミスや記入漏れ、形式のばらつきなどを改善できます。また帳票の設計や管理、入力後の集計・報告・分析などの工程も自動化が可能です。i-Reporterはお手持ちのiPhoneやiPad、Windowsで使えるので低コストで導入いただけます。

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