在庫を棚卸しする目的とは?起こりやすい問題と解決案

棚卸しとは、倉庫や店舗などにある商品や原材料などの在庫数を調べる作業のことです。
棚卸しで収集したデータは商品を販売する機会の見極めや決算などにも役立てられるため、会社を運営するにあたり、棚卸しの業務は欠かせません。

本記事では、在庫管理の中の棚卸しに関する基礎知識や、作業中に起こりやすい課題と解決策を解説します。
棚卸しを実施する適切なタイミングと評価方法も紹介しているので、記事を読み終わる頃には棚卸しの全体的な流れを把握できているでしょう。
商品・原材料などの管理や棚卸しに関わる方は、ぜひ参考にしてみてください。

在庫管理で行う棚卸しの役割

まずは、在庫管理で行う棚卸しの役割を解説します。
棚卸しをする意味を理解すると、無駄なく適切な対応ができるようになるでしょう。
棚卸しの方式も2種類紹介するので、自社に適した方法を考えながら読み進めてみてください。

棚卸しとは

棚卸しとは、会社の店舗や倉庫内にある商品や資材の在庫が、どのくらい残っているかを確認する作業のことです。
在庫管理の方法には、日々の在庫チェックやデータベースへの反映など、さまざまな種類があり、棚卸しも在庫を把握するための作業の1つといえます。
棚卸しは在庫の品質を評価して商品価値を算出する作業も含んでおり、会社の健全な経営を実現するために重要な業務です。

棚卸しで把握した在庫のデータは、在庫管理表や棚卸表といった一覧表にまとめます。
表にまとめた情報は帳簿との照会に使うケースもあるため、会社の経営にも関わることも。
棚卸しの際は数値や品目の入力ミスが発生しないよう、細心の注意を払いながらの作業が求められます。

棚卸しの目的

棚卸しを行う目的としては、次のようなことが挙げられます。

  • 適切な在庫管理
  • 在庫の品質や状態の確認
  • 販売機会の損失の防止
  • 正確な利益の計算

正確な在庫状況の把握は、会社の健全な経営や、不要な在庫にかかる管理コストの削減などにつながります。
また、在庫の状況に合わせて営業の方針を検討できるため、仕入れたものを最大限活かし、利益を伸ばす効果も期待できます。

棚卸し後、帳簿や会計システム上に記載されている在庫数と実際の在庫数に差異がないかを確認し、より正確な在庫状況を更新することも可能です。
棚卸しは会社の経営状態を正しく把握する目的に加え、コスト削減や利益増加への寄与も目的に行われます。

棚卸しの種類

棚卸しには、大きく分けるとリスト方式とタグ方式の2種類あります。
リスト方式とは、棚卸しの対象を目視で数えながら、在庫管理表に記載してある数量との違いがないかを確認する方法です。
リストに記載されている数量を確認してから実際の数量を数えるため、作業時間を短縮できるメリットがあります。

タグ方式は、棚卸し対象の商品や原材料などの名称と数を1つずつ確認し、情報を記載した荷札を現物に貼り付けて数量を把握する方法です。
先に現物の数量を数えてからリスト上の理論値と比較するため、計上漏れが発生しにくいのが強み。
棚卸しに割ける時間や人員、材質や大きさといった在庫の特性を考慮しながら、自社に合った棚卸しの方法を選んでみましょう。

在庫の棚卸しのタイミングと手順

棚卸しは日々の在庫確認とは異なり、年に1回から数回、決まった時期に実施するのが一般的です。
棚卸しに関する年間のスケジュールの目安と全体的な流れを把握しておきましょう。

棚卸しのタイミング

棚卸しは、「期末」と呼ばれる年度末の決算月に実施する会社が多い傾向にあります。期末は会計上の年度の終わりを指し、会社の1年間の収支をまとめる時期です。
決算と同じタイミングで棚卸しを実施し、棚卸しで明らかになった在庫を資産として決算書に記載します。

ミスなくスムーズに在庫を管理するには、年度初めもしくは期首と期末の、年に2回の棚卸しをするのがおすすめです。
期首の棚卸しでその時点での在庫状況を把握しておけば、期末の棚卸しでは期初の結果と比較すればよいため、効率的に作業を進められます。

棚卸しの手順

棚卸しの手順は、棚卸しの方法によって異なります。今回紹介するのは、実地棚卸と帳簿棚卸の2種類です。

在庫の「置き場所」で行う棚卸しの手順(実地棚卸)

実地棚卸では、実際に在庫を保管している現場に赴いて数量をカウントします。実地棚卸しの手順は次の通りです。

Step1.棚卸しの計画書を作成する
Step2.棚卸しの方法を決める(リスト方式・タグ方式)
Step3.在庫の数や状態を確認する
Step4.帳簿や管理システムと照合する
Step5.差異の原因把握と帳簿の修正する

棚卸しの作業に必要な人員の配置をスムーズに行うため、まずは棚卸しの計画書を作成します。
計画書が完成したら棚卸しの方法も決め、人によって作業内容に違いが発生しないよう認識を共有しておきましょう。

棚卸し方法を決定したあとに行うのが、在庫の数と状態の確認です。
在庫品目・数量・状態などを目視でチェックして、専用の表などに記入します。
保管場所での調査を終えたあとは、帳簿や管理システムの情報に照らし合わせながら、誤りがないかをチェックします。
情報のズレが見つかった場合は、その都度原因を調べて修正を繰り返し、差異がなくなれば実施棚卸の完了です。

在庫を管理している「帳簿」で行う棚卸しの手順(帳簿棚卸)

帳簿棚卸では、在庫を出し入れするたびに専用の帳簿に情報を記入します。帳簿棚卸の手順は以下の通りです。

Step1.出し入れした在庫の数をその都度在庫管理表に記入
Step2.在庫管理表を使って在庫金額や資産額などを計算

商品や原材料の仕入れ、製品の出荷など、出し入れが発生するたびに在庫の状況を在庫管理表に記入します。
棚卸しで在庫金額や資産額を計算する際は在庫管理表を使えばよいため、現地まで赴いて調査する手間を省けるのがメリットです。
ただし、記入内容にミスがあると結果がズレてしまうため、日々の業務では誤りが発生しないよう、より一層気を付ける必要があります。

棚卸しの評価方法

棚卸しの評価とは、期末の棚卸資産の評価額を決定することです。
棚卸資産の評価額は、在庫の総数に売上原価を掛けて算出します。
会社の資産の保有状況を数値化してわかりやすくするために、棚卸しの評価はとても大切な作業です。
今回は主な棚卸しの評価方法である、原価法と低価法を紹介します。

原価法

原価法では、在庫である棚卸資産の取得原価を基に評価額を決定します。原価法には主に6種類の方法があるため、下記の表にまとめました。

評価方法概要
個別法それぞれの在庫の仕入れ時価から評価する
先入先出法先に仕入れた物品から順に払い出されたと仮定する
総平均法年度全体の仕入れ価格の総額を仕入れた物の数量で割って算出する
売価還元法販売価格の総額に原価率を掛けて評価額を決定する
移動平均法仕入れを行うたびにその時点の在庫と仕入れ数から棚卸資産を計算する
最終仕入原価法期末に最も近いタイミングの仕入れで支払った単価を基準とする
原価法

評価する際の手間や正確性がそれぞれ異なるため、自社が扱っている商品や棚卸しに割ける時間と人員に適した評価方法を選びましょう。

低価法

低価法では、原価法によって算定した評価額と期末時点の時価を比較し、低い方の金額を活用して評価します。
低価法で使う「洗替法」は、期末時点の時価で評価したあと、翌期首には逆仕訳をして前期末の取得原価に戻す方法です。

低価法を使用する際は、事前に税務署に届出をする必要があります。
届出の書類には事業の種類や資産の区分などを記載するため、早めに準備を進めましょう。

棚卸しで起こりやすい問題と解決案

棚卸しの作業では一度に数多くの在庫を確認するため、ミスが発生する場合もあります。
棚卸しで起こりやすい問題をあらかじめ把握し、注意しながら業務を遂行できるようにしておきましょう。
今回は、解決案も併せて紹介します。

棚卸しの手作業によって起こる差異

棚卸しで起こりやすい問題としてまず挙げられるのが、手作業によって起こる数値や情報のズレです。
数量が多いもののカウントミス、商品番号や数量の転記の誤りなどは、棚卸しの際によく発生する問題といえます。

手作業によるミスを防ぐには、日頃から保管場所の整理整頓を心掛けて棚卸ししやすい環境を整えたり、担当者を複数人にしてダブルチェックを行ったりするのが効果的です。また、在庫品に貼付した二次元バーコードを読み込む形式にすると、差異の発生を防ぎながら作業の効率化も目指せます。

棚卸しの時間と労力の負担

時間と労力の負担の大きさも、棚卸しの問題の1つです。すべての在庫を確認する必要があるため、棚卸しの際は相応のコストがかかります。在庫の数量が多いほど、棚卸しに要する時間も長くなります。棚卸しは期末に実施するのが一般的ですが、忙しくなりやすい時期に棚卸しも同時に行おうとすると負担がさらに増加するのも課題です。

棚卸しにかかる時間と労力の負担を減らすためには、実務に支障が出にくい計画を立てることが大切です。また、棚卸しを実施する頻度を増やし、複数回に分けて定期的に実施すると、1回ごとの負担を軽減できるでしょう。

在庫管理ルールの不徹底

在庫管理ルールが徹底できていないケースも、棚卸しの際に問題となります。ルールが不徹底のまま放置していると、入出庫の記録が不正確、在庫の置き場が決まっていない、在庫の過不足、使用期限切れといった複数のトラブルに発展する恐れがあります。

棚卸しをする際は早めに在庫管理ルールを見直し、必要に応じて在庫管理システムの利用も検討してみましょう。在庫管理システムを在庫管理ルールの核にすると、在庫のカウントや売上の取りまとめといった一部の作業を省略でき、ヒューマンエラーの防止につながります。

在庫を正確に棚卸しして会社の運営に活用しよう

在庫の棚卸しは、在庫状況の確認だけでなく、販売機会の創出や利益の計算など、会社の運営に関わる重要な作業です。そのため、ミスが発生しないよう、細心の注意を払いながらの実施が求められます。ヒューマンエラーの発生防止や棚卸し作業にかかる負担を軽減したい場合は、在庫管理システムを導入するのも一つの手段です。

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