飲食店の経営者が知っておきたい衛生管理|必要性や具体的な実践方法

飲食店にとって、衛生管理は重要な業務の一つです。
汚れた店内で食事をしていては顧客の気分が悪くなるかもしれませんし、古い食材を使った料理を提供すると健康の問題が浮上する可能性もあります。
飲食店の運営に携わるにあたり、衛生管理について深く理解したいと考えている方も多いでしょう。

本記事では、衛生管理が飲食店にとって重要である理由や、具体的な衛生管理の方法を紹介します。
国が定めている衛生管理に関する法律・制度・資格についても解説しているので、安心・安全な飲食店の運営に必要な基本知識を身に付けられるでしょう。

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飲食店における衛生管理の必要性

多くの人は、飲食店にとって衛生管理が大切であることを既にご存知かと思いますが、飲食店における衛生管理の必要性を改めて整理しておきましょう。
衛生管理を怠った場合に発生しうる事態も把握しておくと、店内の清潔さに対する意識をより高めた状態で店舗の運営に携われます。

なぜ衛生管理が必要なのか

飲食店に衛生管理が求められる理由は、顧客に安心して食べられる料理を提供するためです。
細菌・ウイルス・ガラス片・洗剤などが料理に混入することを防ぎ、食中毒や異物、化学物質による健康被害が発生しないよう対策します。

食中毒などの健康被害が発生していない飲食店であっても、店内が不衛生であると顧客の満足度が下がり、リピーターを獲得しにくくなる場合もあります。
顧客に快適に利用してもらうことに加え、お店を存続させるためにも、衛生管理はとても大切です。

衛生管理をやらないとどうなるのか

飲食店で衛生管理を怠ると、顧客の健康を害する恐れがあります。
厚生労働省の発表によると、令和4年に発生した食中毒のうち、約39.5%は飲食店で起こったものでした。
健康被害の内容は嘔吐や下痢の症状のほか、後遺症が残るケースや最悪に場合は死に至るケースもあります。

実際に食中毒が発生した飲食店の中には、業務停止命令が下されたところや、廃業に追い込まれたところも存在します。
顧客の体調を悪化させるだけでなく、賠償・風評被害・廃業など、お店にとっても悪いことばかりであるため、常日頃から衛生管理に対する高い意識を持っておかなければなりません。

飲食店の運営の際に知っておきたい、国が定めていること

飲食店を衛生的に保つため、国は法律を整備したり特定の資格の保有を義務付けたりしています。
国が定めている基準を満たすことは、飲食店における衛生管理の最低ラインであると認識してよいでしょう。
今回は、飲食店の運営の際に知っておきたい国が定めている基準を、5つ紹介します。

食品衛生法

食品衛生法は、飲食による健康被害の発生を防ぐための法律です。
食品の取り扱いや食品衛生管理者の設置をはじめ、飲食店の運営に必要な条件を数多く定めています。
ほかにも、添加物や天然香料の使用、調理に使う器具、容器包装など、定めている事項は多岐にわたります。

食品衛生法に違反した場合、懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
飲食店を新たに開業したり、新しいメニューを考案したりする際は、食品衛生法に照らし合わせながら作業を進めましょう。

食品衛生管理者

食品衛生管理者とは、一定の教育課程を経て食品の衛生管理に関する十分な知識を有すると認められた人を指します。
食品衛生法では、飲食店1店舗につき一人の食品衛生管理者が必要であると定めています。
系列店であっても同じ人が複数店舗を掛け持ちすることは認められていないため、店舗を増やす際はその都度食品衛生管理者を新しく配置しなければなりません。

飲食店の経営者は、食品衛生管理者を置いたあと、15日以内に保健所へ届け出る必要があります。
オープン後に食品衛生管理者を置くことは認められていないため、開業前に資格を取得しましょう。

営業許可制度

飲食店における営業許可制度では、店舗がオープンする際に営業許可証という証明書が発行されます。
営業許可証を持たずに開店するとペナルティが発生し、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科されます。

店舗のキッチンで調理したものを顧客に提供する場合もちろん、ケーキやアイスといった温度管理が必要な食品を販売する場合も営業許可証が必要です。
安心・安全な店舗運営を実現するために必要なものなので、必ず取得しましょう。

営業届出制度

営業届出制度とは、食品等に関わる事業者を把握するため、令和3年6月1日に運用が開始された制度です。
「許可営業」と「届出対象外営業」のどちらにも該当しない事業者は、管轄の保健所に営業届出の提出が求められます。

営業届出の提出は保健所の窓口だけでなく、電子申請でもよいため、早めに手続きを進めておきましょう。
営業届出が必要か否かは、厚生労働省が公表している資料「食品等事業者の皆さまへ」で確認できるため、一度チェックしてみてください。

HACCP

HACCP(ハサップ)とは、国際的に認められている衛生管理の手法です。
安全かつ衛生的な食品を製造するため、日本では食品を扱うすべての事業者に対して導入が求められています
事業の規模や事業内容によって衛生管理の方法が異なり、大規模事業者や畜場などはコーデックスのHACCP7原則に基づいて運営します。

多くの飲食店が該当する「小規模な営業者等」は、各業界の団体が作成した手引書を基に衛生管理を行うのが基本です。
飲食店の経営者は衛生管理計画や手引書の作成、従業員への周知徹底、衛生管理の状況の記録・保存・検証・見直しなどを行います。

飲食店で衛生管理をするための方法

飲食店を運営するうえでの衛生管理について、国はさまざまな制度を設けています。
基本的な衛生管理の方法を理解し、国の制度に対応できるようにしておきましょう。
今回は従業員・店舗施設・調理器具・食品・記録の5点に注目して、管理の方法を紹介します。

従業員の衛生管理

まず大切なのは、従業員の衛生管理です。調理前やトイレに行ったあとに手洗いうがいを行い、人の皮膚に生息している細菌やウイルスによる食中毒事故を防止します。
また、帽子を被る・髪を結ぶ・制服を清潔に保つといった服装規定も欠かせません。食事への異物混入が発生しないよう徹底しましょう。

出勤時の従業員の体調チェックも忘れずに。従業員が感染症を患っていた場合、保有している菌が料理に付着し、顧客に病気をうつしたり、食中毒を起こしたりする可能性があります。マニュアルの作成や意識の共有などを通し、従業員の衛生対策を万全に整えておきましょう。

店舗施設の衛生管理

店舗施設の衛生管理は、顧客に店内で快適に過ごしてもらうだけでなく、ネズミや虫などを寄せ付けないようにするためにもとても大切です。少しの汚れでも蓄積すれば衛生環境の悪化につながるため、こまめな清掃を心掛けましょう。

具体的には床の掃き掃除、テーブルの拭き掃除と消毒、キッチンの定期的なメンテナンスなどが挙げられます。各席に配布するメニュー表の油汚れもきれいに拭き取り、顧客に不快感を与えないよう意識してみてください。

調理器具や食器の管理

調理器具や食器の管理が不適切な状態だと、食中毒の原因菌が増殖し、顧客の体調に影響を及ぼすリスクがあります。被害の状況によっては賠償責任を負うだけでなく、廃業を余儀なくされるケースもあるため、調理器具や食器の適切な維持管理は必要不可欠です。

調理器具を使う前の加熱消毒、一度使用した食器類の洗浄、衛生的な戸棚での保管など、使う前から使い終わったあとまで、網羅的な衛生管理を心掛けましょう。汚れによっては冷たい水だと落ちにくいものもあるため、必要に応じて水の温度を変えることをおすすめします。

食品の管理

適切な形での食品の管理も、食中毒の発生を予防するための重要な要素です。料理に使う食材を仕入れたら、まずは鮮度や温度を検品します。品質が落ちている場合は細菌が増えているかもしれないため、返品か破棄するようにしましょう。食材を調理に使うまでは、適切な温度帯に設定してある冷蔵庫や冷凍庫で丁寧に保管します。

調理する際は食材に応じて使用する調理器具を使い分け、器具を介した汚染の拡大防止を忘れずに。提供する直前にも異物が混入していないか目視で確認し、問題なければ顧客のテーブルに運びます。食品の管理は仕入れから提供まで気を付ける項目が多いため、チェック方法を確立し、従業員同士で共有しておくとよいでしょう。

実施したことの記録

衛生管理がきちんとできているかを把握するため、実施した管理内容の記録も怠らないようにしましょう。日頃からきちんと記録しておけば、万が一店舗で衛生に関する問題が発生した場合でも、原因を探りやすくなります。

飲食店の衛生管理は確認する項目が多いため、チェックリストを作成するのがおすすめです。チェック担当者の名前も記載すると、従業員の衛生管理に対する意識を高められるでしょう。紙ベースだと保管にも場所を取るため、状況に応じて電子帳票システムを導入する飲食店もあります。

衛生管理を徹底して適切な形で飲食店を運営しよう

飲食店での衛生管理は、顧客に快適に過ごしてもらうだけでなく、食中毒の発生や営業停止を防ぐためにとても重要です。
国が定めている法律や制度の確認はもちろん、店舗施設・調理器具・食材などの適切な管理を心掛けましょう。

店舗の衛生管理が大変な場合は、電子帳票システムを導入するのも一つの手段です。
i-Reporterでは、エクセルで作成した帳票を電子帳票に置き換え、タブレット端末などを使用して管理できます。
紙の束を持って確認するよりも手軽に衛生管理ができ、集積した記録の保管場所を省くこともできるため、興味がある方はぜひ、現場帳票電子化ソリューション「i-Reporter」の導入を検討してみてください。

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