目次
私たちが日常生活を送る上で欠かせないのが食料品です。製品の不具合が消費者の安全や人命を脅かす場合、製品の交換や謝罪だけでは済まないこともあります。
時には事業存続の危機となる場合も少なくありません。そのため食料品の品質管理は、私たちが安心安全な生活をする上で重要となるのです。
今回は、食品の品質管理について説明します。
食品の品質管理とは
一般的に品質管理とは、販売する製品の機能や性能と言った品質を保証するものです。ところが食品については、さらに重視しなければならない項目があります。
ここでは、食品の品質管理の目的について説明します。
食品の品質管理と目的
一般的な工業製品であれば、最終的な性能検査を行えば製品の品質を確認することができます。しかし食品の場合は最終検査で合格したものであっても、市場で問題が発生する場合があります。具体的な例としては、アレルギーに関する問題です。アレルギーを引き起こす物質として、以下の特定原材料7品目は食品表示法で表示義務があります。
えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生等、問題は表示なくアレルギー材料が混入した場合です。
人によっては命に関わることもあるでしょう。そのため、食品の品質管理には、製造工程での品質に加えて、原材料に関する管理も行う必要があるのです。
品質管理のやり方
ここまで、食品の品質管理の目的と重要性を説明しました。食品加工業は品質管理も大変ですが、私たちの生活になくてはならない事業です。
実際に食品加工を行う企業では、厳密な品質管理を行っています。ここでは食品の品質管理のやり方について説明します。
原材料の明確化
食品に使用する原材料を明確にします。
明確化する内容は、
- 原材料の原産地
- 加工時に添加した材料(原産地含む)
- 生鮮食品についてはいつどこでどのような方法で収穫・養殖されたか
を明確化します。
施設の整備
食品の種類によっては全ての工程を手作業で加工することもできます。しかし、生産効率は低くコスト高となります。
私たちの豊かな食生活を支えるためには、安価でおいしい食品を豊富に提供してもらいたいものです。そのためには、食品加工施設を整備しなければなりません。
施設に重要なのは、 食品の品質を落とす原因となる、菌や微生物が施設内に入り込まないようにすること。これは容易なことではありません。菌や微生物は私たちの周りに多く存在しており、一度入り込んだら急速に増殖します。
そのため、外部からの持ち込む全てのものを厳密に管理します。食品を加工する設備についても同様です。
設備本体を常に清潔にし、部品に破損や欠損がないことも確認が必要です。
設備の部品が欠損は、欠損した破片が食品に混入した可能性があり、その時加工した材料全てを処分しなければならない場合もあります。
衛生管理
施設や設備を完璧に管理したとしても、原材料に問題があると意味がありません。
それは加工工程で食品を取り扱う作業者も同様にです。原材料は施設に入れる前に、加熱殺菌処理や薬品による消毒処理によって、菌や微生物が入り込まないようにします。作業者についても、素手で直接原材料に触らないことは当然ですが、髪の毛や衣類の糸屑1本も食品に入り込まないようにしなければなりません。そのため、帽子や手袋の着用を義務付けていますが、正しく着用していないと隙間から異物が混入する原因となります。
製品品質のマニュアル作成
食品の品質管理は、これまで説明した内容のどれを怠っても品質を確保できないと考えましょう。食品の品質管理とはそれほど厳しいものなのです。そのため品質管理については、しっかりとした社内マニュアルを作成して運用します。食品安全管理の国際規格としてISO2200があります。
▼ISO22000とは
「消費者に安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムの確立」を狙いとした食品安全管理の国際規格この規格に準拠することによって、国際的な食品の品質管理が行われていることを証明することができます。取得には、品質管理に関するマニュアルを整備する必要があります。
効率的に検査結果を帳表に記入する方法
食品安全管理の国際規格としてISO22000というものがあることを紹介しました。
- 組織の状況
- リーダーシップ
- 計画
- 支援
- 運用
- パフォーマンス評価
- 改善
等の要求事項に対して、品質管理体制が確立されている必要があります。また、規格認証を取得したとしても定期的に審査を受けなければ認証は取り消されます。
よって、品質管理は継続的に行います。そのためには、検査や記録を行うのに負担があっては長続きしません。そこで、品質管理を効率的に行うためにITの活用が重要です
帳票のデジタル化
品質管理の基本は、検査と記録です。合格基準を決めて検査を実施して結果を記録します。検査と記録と言っても食品加工業にとって簡単に行えないケースもあります。先ほども述べましたが、衛生管理上安易に不要なものを持ち込めません。品質管理のために持ち込んだ機器や筆記用具から異物が混入することはあってはならないことです。
また、手書きの帳票を運用するということは、手書きの帳票は作業者が工程内に立ち入ることにもなり、異物混入のリスクに繋がり工数もかかります。そこで、衛生的かつ効率的に検査結果を記録するために帳票のデジタル化をしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
2000年以降、食品の品質管理に関する事件が多く発生しています。
記憶に残っているのは、2001年の牛肉産地偽装事件です。
この事件は、輸入牛肉を国産牛肉として偽装して国から補助金をだまし取っていたというものです。当時輸入牛肉には、牛海綿状脳症(BSE)を発症していた牛肉が含まれている可能性があるとして、国は食の安全を確保するために、海外からの牛肉輸入を禁止しました。ところが、市場に流通しないようにするために輸入牛肉を禁止しているのに、輸入牛肉を国産牛肉として偽装していました。補助金をだまし取った上に、食の安全が脅かされたとして、当時大きな問題となりました。
その後も、中国製冷凍ギョーザ中毒事件や乳業食中毒事件が発生し、健康被害を受けた人もいます。これらの事件は、品質管理以前の問題ではありますが、品質管理ができていないのと同じことです。食品の品質管理に電子帳票を導入することで、食品という日常生活になくてはならない製品の品質管理を衛生的かつ効率的に管理することができます。
さらにデジタル化によって、不正を防止する仕組みも構築することができるのです。
現場帳票研究所の編集部です!
当ブログは現場帳票電子化ソリューション「i-Reporter」の開発・販売を行う株式会社シムトップスが運営しております。
現場DXの推進に奮闘する皆様のお役に立てるよう、業界情報を定期的に配信致しますので、ぜひ御覧ください!