【製造業向け】バッチ生産とは?メリットや効率化のポイント

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製造業の現場では、顧客の多様なニーズに応えるため、多品種・少量生産が一般化しています。その中で、生産性と柔軟性の両立を図るために重要な役割を果たす生産方式が「バッチ生産」です。

バッチ生産は、医薬品や食品といった厳格な品質管理が求められる業界で特に活用されていますが、「バッチってロットと何が違うの?」「効率が悪くなりそう」と疑問をお持ちの工場長や生産技術部の担当者もいるでしょう。

本記事では、バッチ生産の定義から、他の生産方式との比較、導入のメリットとデメリット、そして現場で実践できる効率化のポイントまで詳しく解説します。自社の生産体制を見直すための参考にしてください。

バッチ生産とは?

バッチ生産とは、同じ製品や部品を一定数量ずつまとめて生産する方式を指します。

1つの製品を一定数量まとめて加工し終えた後、次の製品の生産に切り替えることを基本とします。多品種中量生産に適しており、需要の変動や製品バリエーションに柔軟に対応できる生産方式です。

バッチ生産とロット生産の違い

「バッチ」と「ロット」は混同されやすい言葉ですが、厳密には異なります。ロット生産はバッチ生産を含む広い概念とされる場合が多いです。一般に「1ロット=複数バッチ」で構成されるケースもあります。

特に、医薬品や化学品業界では、バッチ(一回の仕込みで生産される量)とロット(同じ品質と仕様で連続生産された製品群)を区別しています。食品製造や一般製造業では、品質管理の単位として両者をほぼ同義で使う場合もあります。

バッチ生産と他の生産方式の比較

バッチ生産は「効率」と「柔軟性」のバランスを取る方式です。

 バッチ生産連続生産個別受注生産
生産数量生産数量生産数量生産数量
製品種類製品種類製品種類製品種類
生産柔軟性中程度低い高い
生産効率中程度高い低い
コスト中程度安い高い
製品例医薬品、化粧品、食品石油、鉄鋼、紙、ガラスオーダーメイドの家具、特注機械

連続生産は大量生産に向いていますが、小まめな製品切り替えが難しく、柔軟性が低いです。個別生産は柔軟ですが、効率が低くコストが高くなります。バッチ生産は、連続生産と個別生産の間を埋める生産方式として機能します。
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バッチ生産の活用例

バッチ生産は、厳格な品質管理が求められたり、多品種を扱ったりする以下のような業界で広く活用されています。
• 医薬品
• 化粧品
• 化学品・塗料
• 食品・飲料

医薬品業界では、成分の配合や製造条件が厳密に管理されており、バッチごとに品質試験を行う必要があるため、バッチ生産が不可欠です。

化粧品では、クリームや乳液など、成分の混合や熟成に時間を要する製品を一定量ずつ生産するためにバッチ生産が採用されます。また、化学品・塗料を扱う業界では、特定の色や機能を持つ製品を顧客の要望に応じて多品種生産するため、生産の切り替えが容易なバッチ生産が適しています。

そして、食品・飲料業界では、季節限定商品や味のバリエーションなど、多品種を切り替えながら生産する必要があり、生産の柔軟性を活かせるバッチ生産が有効です。

バッチ生産のメリットとは?

バッチ生産が多くの製造業で採用される理由は、生産の柔軟性と、品質管理における大きな強みです。特に多品種中量生産を行う企業にとっては、経営に直結するメリットが得られます。

高い柔軟性

同じ生産ラインや設備を使って、異なる種類の製品を切り替えながら生産できます。顧客の多様なニーズや需要の変動に柔軟に対応できます。

季節限定商品や味のバリエーションが多い食品・飲料業界などで大きな強みとなり、市場の変化に迅速に対応できます。

品質管理の厳格化

製品をバッチ単位で管理するため、品質検査もバッチごとに行うことが可能です。万が一製品に不具合が見つかった場合でも、影響範囲をバッチに限定して特定できます。

原因究明や製品回収が迅速に行えるため、医薬品や化学品など、高い安全が求められる製品の生産に適しています。

設備投資の抑制

ひとつの製品専用の巨大な生産ラインを必要としないため、連続生産に比べて初期の設備投資を低く抑えられるでしょう。

汎用的な設備を複数の製品で共有できるため、新規事業や製品の立ち上げリスクを低減できます。

バッチ生産のデメリットとは?

柔軟性が高いバッチ生産にも、生産効率や管理の面で特有の課題があります。これらのデメリットを理解し、事前に対策を講じることが、成功のポイントです。

生産効率の低下

バッチ生産の大きな課題は、製品を切り替える際に発生する「段取り時間」です。

機械の洗浄、部品の交換、設定の変更などを行う間、生産ラインは停止します。いわゆる「ダウンタイム(停止時間)」が生産効率を低下させ、1個あたりの生産コストを上げる要因となります。

リードタイムの長期化

段取り替えやバッチが次の工程を待つ時間が発生するため、原材料の投入から製品が完成するまでの生産リードタイムが長くなりがちです。顧客からの注文に対し、製品が完成するまでの時間が長くなることで、需要変化への迅速な対応が難しい場合があります。

生産管理の複雑化

多品種を扱う場合、どの製品を、いつ、どれくらいの量で生産するのかという生産計画が複雑になります。バッチごとに原材料の種類や製造条件が異なるため、計画にミスが生じると、欠品や過剰在庫につながるリスクがあるので注意が必要です。

製造業でバッチ生産を効率化するためのポイント

バッチ生産のデメリットを解消し、柔軟性というメリットを最大化するためには、現場の情報管理と時間の無駄を省く取り組みが不可欠です。

進捗状況の「見える化」

「いつまでに、何が、いくつ完成するのか」が不明確だと、リードタイムの長期化や納期の遅れにつながります。

まず過去の実績データを分析して生産計画の精度を向上させることが大切です。各工程の進捗状況をリアルタイムで把握できる「見える化」が重要です。

計画と実績のズレを即座に発見できれば、問題が大きくなる前に対策を打てるため、生産の安定に貢献します。

段取り時間の短縮

製品を切り替える際の段取り替えの時間の長さは生産性に直接影響を与え、段取り時間を短縮する代表的な手法に「SMED(シングル段取り)」があります。

SMEDは、機械を停止して行う作業(内段取り)を、機械を動かしながら行う作業(外段取り)に切り替えることで、段取りの時間を大幅に削減する手法です。

段取りの時間が短縮されれば、小さなバッチでも効率よく生産可能になります。

製造記録のデジタル化

正確な製造記録は、品質を担保する上で欠かせません。紙の帳票への手書き記録では、記入ミスや転記漏れ、文字が読めないといった問題が起こりがちです。

タブレットなどを活用して製造記録をデジタル化することで人為的ミスを防ぎ、正確なデータを蓄積できます。製品のトレーサビリティも強化できるため、万が一の品質問題にも迅速かつ正確に対応しやすい体制が構築できます。

バッチ生産の柔軟性と効率を両立する現場活用の鍵

バッチ生産は、多品種・中量生産を効率的に行うための有効な手法ですが、「段取り替え」「品質記録」「進捗共有」など、現場での情報管理が煩雑になりやすい方式でもあります。

課題を解決し、バッチ生産のメリットを最大化するためには、現場データをリアルタイムに活用できる環境づくりが必要です。

現場帳票システム「i-Reporter」は、紙やExcelに頼っていた現場の記録をデジタル化するツールです。i-Reporterを活用することで、以下のような効果が期待できます。

• 作業記録や検査データをリアルタイムで共有し、進捗の見える化を実現
• バッチごとの製造履歴・品質データを一括検索・管理
• 帳票作成や報告作業の工数を大幅削減

i-Reporterを導入することで、記録や管理にかかる手間が減り、現場責任者や生産技術の担当者は本来注力すべき生産効率の改善に集中できるようになります。


参考:i-Reporter

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