外観検査にカメラを導入するメリットは?種類や自社に合った選び方

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製品や部品の品質を安定して保つためには、外観上の欠陥を見逃さない「外観検査」が欠かせません。近年では、目視による検査に代わり、カメラを用いた外観検査が、多くの製造業や品質管理の現場で導入されています。カメラによる外観検査とは、製品の表面状態を高精度のカメラで撮影し、得られた画像を解析して、キズ・汚れ・欠け・変形といった欠陥を自動的に検出する検査手法です。

カメラによる外観検査は、一般的に以下の手順で実施されます。
1.撮影:対象物をカメラで撮影
2.画像処理:画像を解析し欠陥を判断
3.判定:結果をもとに基準を満たしているか判定

外観検査にカメラを用いることは、熟練作業員の判断に頼らず、検査精度の標準化・効率化を図るうえで、大きな強みとなるでしょう。本記事では、外観検査にカメラを用いるメリットから、カメラの種類や自社に適したカメラの選び方までくわしく解説します。

外観検査にカメラを用いるメリットは?

製造現場の外観検査にカメラを導入することは、品質管理のプロセスを効率化し、生産性の向上やコスト削減に大きく貢献します。外観検査にカメラを使用することで得られる、具体的なメリットをご紹介します。

検査精度の向上

従来の目視検査では見逃しやすい微細な傷や欠陥も、高画素の産業用カメラを使うことで、高い精度で検出できます。例えば、万画素クラスのカラーカメラやモノクロカメラといった、高解像度の画像検査を導入すれば、製品表面のわずかなキズや異物混入なども見逃しません。

また、高速シャッターやグローバルシャッターを備えたカメラを使えば、ライン速度が速い現場でも、画像のブレを抑えて安定した撮像ができるため、正確な検査が可能です。さらに、LED照明やカメラの照射角度を最適化することで、検査対象物の表面状態をさらに鮮明に捉えることができ、検出精度の向上につながります。

検査作業の効率化

カメラによる外観検査の自動化は、検査にかかる工数や時間を大幅に削減します。作業者の負担を軽減できるため、人手不足が深刻化する製造現場でも、安定した稼働が実現できるでしょう。

また、24時間連続での稼働や、大量生産ラインにも柔軟に対応できるため、生産性の向上とコスト削減の両立が可能です。AIを搭載した画像処理システムと組み合わせることで、より高度な自動化も実現できます。

最近では、カメラの接続や設置もUSBなどで比較的容易に行える製品が増えており、導入ハードルも下がっています。

一貫性の保持

人による目視検査では、作業者の熟練度やその日の体調によって、検査結果にばらつきが生じることが課題でした。しかし、カメラを用いた外観検査であれば、常に一定の基準で製品をチェックできるため、品質のばらつきを防止できます。

さらに、検査データは画像処理システム上で記録・蓄積されるため、品質のトレーサビリティを確保しやすく、検査履歴の確認や改善活動にも役立ちます。また、検査基準のデジタル化と標準化が容易になるため、安定した品質管理体制の構築に大きく貢献するでしょう。

外観検査に用いるカメラの主な種類

代表的な外観検査用カメラとしては、「エリアスキャンカメラ」と「ラインスキャンカメラ」の2つの種類があります。それぞれのカメラの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

エリアスキャンカメラ

【特徴】
エリアスキャンカメラは、一度のシャッターで2Dの画像全体を取得できるカメラです。目視に近い画像が得られ、設定や設置も比較的簡単なため、導入しやすい外観検査カメラとして広く利用されています。

画素数の高いモデルであれば、微細なキズや欠陥も検知できます。また、価格帯も比較的リーズナブルで、コストパフォーマンスに優れている点も魅力です。USB接続に対応したスマートカメラなどもあり、シンプルな検査システムを構築できるでしょう。

【用途】
主に、小型の検査対象物や、静止物体の検査に最適です。例えば、電子部品や基板、パッケージの表面検査などに用いられます。

【注意点】
エリアスキャンカメラは、撮影時の照射環境が均一でないと、光ムラが発生すると欠陥を見逃すリスクがあります。検査品質を安定させるには、LED照明などの均一な照射が可能な光源の選定や、拡散板などの利用が有効です。

ラインスキャンカメラ

【特徴】

ラインスキャンカメラは、検査対象物が移動することによって、二次元の画像を構成する撮像方式を採用したカメラです。高速で移動する広範囲な検査対象物を途切れることなく捉えられ、ライン方向に沿って均一な高画質を提供します。

【用途】

主に、フィルムや金属板、紙やシートなど、長尺かつ連続して流れる製品の欠陥検査に最適です。製造ライン上で高速に流れる製品でも正確にチェックでき、製造現場での不良品流出を防止する強力なソリューションとなります。

【注意点】

ラインスキャンカメラを導入する場合、検査対象の速度制御やライン同期が必要です。検査対象の移動速度を正確に制御したり、カメラとのタイミングを正確に合わせたりする仕組みが不可欠なため、システム構築がやや複雑で、初期導入コストが高くなる傾向があります。

また、ケーブルの選定や接続も、高速なデータ転送に対応したものを用意しなければなりません。

自社に適した外観検査カメラの選び方

外観検査カメラと一口にいっても、規格や寸法、CCDなどのセンサーや仕様に違いがある、豊富なラインアップが用意されています。カメラの導入で成果を得るためには、製造現場の特性や検査対象、求める精度や対象のワークなどのニーズに応じて、最適なカメラを選ぶことが重要です。

自社に最適な外観検査カメラを選定するうえで、チェックすべき5つのポイントをご紹介します。

1.検査対象の形状と動きを確認する

まずは、検査したい製品の形状と、静止かライン上を流れるかといった動き方を明確にしましょう。

例えば、立体的な形状の部品であれば、全方向からの検査を可能にするために、複数のエリアスキャンカメラを設置したり、3Dカメラを導入したりする必要があるかもしれません。一方、高速で連続して流れる製品の全表面を検査するのであれば、ラインスキャンカメラが効率的です。

また、カメラの設置場所や検査対象との距離、撮影角度も、製品の形状によって最適なものが変わってくるため、事前に現場の環境を詳細に調査し、機種とレンズをあわせて選定しましょう。

2.検出したい欠陥の種類を明確にする

次に、「具体的にどのような不良を検出したいのか」を明確にすることが、適切なカメラの種類や必要な仕様を決定するうえで非常に重要です。単にキズや汚れといった一般的な欠陥を検出したいのか、異物混入や微細なクラックなどの特殊な欠陥を検出したいのかによって、必要な解像度や照明の種類が異なります。

一般的に、検出したい欠陥のサイズが小さいほど、より高精度なカメラと照明環境が求められます。

3.カメラの性能(解像度・fps・シャッター方式など)を見極める

外観検査カメラの性能は、主に画素数・フレームレート(fps:1秒あたりの撮影可能枚数)・シャッター方式によって決まります。

例えば、解像度が高いほど細かい欠陥を検出しやすくなりますが、同時に画像データのサイズが大きくなるため、画像処理システムへの負荷も増加してしまいます。また、動きのある検査対象を撮影する場合には、対象物の速度に合わせて十分なフレームレートを持つ画素カメラを選定しなければなりません。

他にも、高速で移動する物体を歪みなく捉えるためには、ローリングシャッター方式よりもグローバルシャッター方式を採用したカメラが適しています。検査対象の速度や求められる検査精度、画像処理システムの処理能力を考慮して、性能をバランス良く見極めましょう。

4.レンズ・照明・システム全体との相性も考慮する

外観検査カメラの導入においては、カメラ本体の性能だけでなく、レンズ・照明・画像処理ソフトウェアなど、システム全体のバランスが極めて重要です。例えば、高解像度カメラを導入しても、照明が不均一であれば、キズや汚れが正しく検出されない事例もあります。

レンズについては、焦点距離や画角、被写界深度などが、対象物に合っているかを確認しなければなりません。また、LED照明の種類や照射角度によっても、検出性能は大きく変わります。

さらに、画像処理システムとの連携も無視できません。AIを活用した画像処理ソフトを導入すれば、不良品の自動分類や学習による精度向上も期待できるでしょう。

検査システム全体で最適化されているかを意識することが、安定した運用につながる鍵となります。

5.導入コストとメンテナンス性をバランス良く判断する

外観検査カメラの選定においては、初期費用だけでなく、導入後の運用にかかるメンテナンスのしやすさや、トラブル発生時に即日対応してもらえるサポート体制も確認しなければなりません。また、現場の作業者が困難なく操作できるか、設定変更がしやすいかといった操作性や設定のしやすさも、長期的な利用を考えると重要な要素となります。

導入価格だけでなく、長期的な視点でメンテナンス性やサポート体制、操作性をバランス良く判断することが、費用対効果の高いカメラ選びにつながるでしょう。

外観検査カメラとi-Reporterで実現する次世代の品質管理

製造業における品質管理の現場では、製品の品質向上や生産性の効率化、コスト削減が常に求められています。外観検査にカメラを導入することは、これらの課題を解決するための有効な手段となり、検査精度の向上や作業効率の改善、そして一貫性のある検査体制の確立に大きく貢献します。

外観検査の効率化をさらに推し進め、品質管理プロセス全体を最適化するソリューションとして注目されているのが、現場帳票システム「i-Reporter」です。「i-Reporter」は、外観検査をはじめとする品質検査や点検業務における、記録・報告・改善といった一連のサイクルをサポートします。

「i-Reporter」を活用すれば、測定したカメラの検査データをスムーズに電子帳票化し、タブレットやPCでリアルタイムな記録・共有が可能です。この仕組みは、現場の属人化を防ぎ、製造現場のDX推進を後押しする重要な役割を果たします。外観検査カメラの導入と「i-Reporter」の活用は、企業の製造現場における品質管理を新たな段階へと引き上げるための強力な組み合わせといえるでしょう。

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