「アナログ回帰」の背景に“現場DX疲れ“の兆し?「2025年の崖」の認知度は89.2%と高水準も、製造業の現場は本当に変わっているのか?

〜「DX推進」ではなく「DXリバウンド」?製造現場に“デジタル疲れ“の兆候〜

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この度、製造業(従業員数50名以上)で現場帳票を管理している方102名を対象に、【2025年版調査】製造業の現場帳票に関する実態調査を実施しましたので、お知らせいたします。

なお、本調査では、2022年版の同内容調査(※1)と比較して発表いたします。

調査概要

調査名称:【2025年版調査】製造業の現場帳票に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年4月3日〜同年4月4日
有効回答:製造業(従業員数50名以上)で現場帳票を管理している方102名

製造業の69.6%が、現場帳票を「紙」や「Excel」で管理、2022年から5.9ポイント増加

 「Q1.あなたのお勤め先では、現場帳票を主にどのように管理していますか。」(n=102)と質問したところ、「紙」が20.6%、「Excel」が49.0%という回答となりました。

 製造業における現場帳票の「紙・Excel」管理率は69.6%と、2022年調査(63.7%)から5.9ポイント増加しました。調査対象数(n=102)を踏まえると、統計的には誤差の範囲内とも言えますが、DXが現場に根づかず、足踏みしている様子もうかがえます。2022年当時は「ポストコロナDX」への期待が高まり、帳票の電子化が加速する兆しも見られました。しかし実際には、導入が現場に定着せず、紙やExcelへと回帰するケースも出てきています。ツール選定のミスマッチやUI/UXの不便さが、導入効果を実感できないまま『形だけのDX』にとどまってしまった要因と考えられます。導入済みであっても、運用まで含めて継続できていない「DXの中だるみ」とも言える状態が、一部の現場で起きている可能性があります。

<2025年(n=102)>
・紙:20.6%
・Excel:49.0%

・システム:30.4%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%

<2022年(n=102)>
・紙:18.6%
・エクセル:45.1%

・システム:31.4%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:4.9%

現場帳票を紙で管理している理由、「紙の方が利便性が高いと感じるから」「紙での記録・報告が慣例になっている」など

Q1で「紙」と回答した方に、「Q2.現場帳票を主に紙で管理している理由について、当てはまるものを全て教えてください。(複数回答)」(n=21)と質問したところ、「紙の方が利便性が高いと感じるから」が42.9%、「紙での記録・報告が慣例になっている」が38.1%、「意思決定者の理解が得られないから」が28.6%という回答となりました。

 中には、システムを導入したものの現場になじまず、運用が棚上げされたまま紙に戻ったというケースもあると考えられます。現場にとって『使いやすさ』が欠けていると、形骸化したDXでは継続的な利用にはつながりません。

<2025年(n=21)>
・紙の方が利便性が高いと感じるから:42.9%
・紙での記録・報告が慣例になっている:38.1%
・意思決定者の理解が得られないから:28.6%

・システム導入を推進する人がいないから:23.8%
・システム導入のコストが高いから:23.8%
・社内で現在利用しているシステムと連携がとれないから:4.8%
・システムに関する情報が入ってこないから:0.0%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%

<2022年(n=19)>
・紙での記録・報告が慣例になっている:57.9%
・紙の方が利便性が高いと感じるから:47.4%
・システム導入を推進する人がいないから:26.3%

・意思決定者の理解が得られないから:21.1%
・システム導入のコストが高いから:15.8%
・システムに関する情報が入ってこないから:5.3%
・社内で現在利用しているシステムと連携がとれないから:5.3%
・その他:5.3%
 ー50歳:法令上
・わからない/答えられない:0.0%

現場帳票をExcelで管理している理由、「クラウド化が進んでいないから」や「使い慣れているから」が上位

Q1で「Excel」と回答した方に、「Q3.現場帳票を主にExcelで管理している理由について、当てはまるものを全て教えてください。(複数回答)」(n=50)と質問したところ、「クラウド化が進んでいないから」が52.0%、「使い慣れているから」が50.0%、「Excel以外のツールへの抵抗感があるから」が42.0%という回答となりました。

 対象となった企業には、従業員50名以上の中小製造業も多く含まれており、IT投資に慎重な姿勢やリソースの制約が背景にあると考えられます。こうした事情から、社内インフラの整備が後回しになり、クラウド環境の導入が進んでいない企業も少なくないのではないでしょうか。また、製造工程や検査項目の細分化・複雑化により、新たな帳票が現場でExcelベースで作成され、結果としてExcel依存が強まった可能性もあります。

<2025年(n=50)>
・クラウド化が進んでいないから:52.0%
・使い慣れているから:50.0%
・Excel以外のツールへの抵抗感があるから:42.0%

・レイアウトの修正が簡単だから:38.0%
・関数や条件付き書式が使えるから:22.0%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%

<2022年(n=46)>
・使い慣れているから:67.4%
・クラウド化が進んでいないから:45.7%
・レイアウトの修正が簡単だから:37.0%

・関数や条件付き書式が使えるから:23.9%
・エクセル以外のツールへの抵抗感があるから:21.7%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%

紙・Excelで管理する上での不満、「記録方法や内容が統一されていない」が56.3%で最多、2022年比19.4ポイント増

Q1で「紙」「Excel」と回答した方に、「Q4.紙・Excelで管理する上で、不満を感じることはありますか。(複数回答)」(n=71)と質問したところ、「記録方法や内容が統一されていない」が56.3%、「データの抽出・分析がしにくい」が53.5%、「他ツールと連携ができない」が45.1%という回答となりました。

 帳票の種類そのものが増加していることで、現場ごとにフォーマットや記録方法がばらつき、結果として統一性が損なわれている状況もあるのではないでしょうか。紙やExcelをベースとした現場対応の帳票が増えたことで、記録量の増加と不統一の複合課題が生まれている可能性があります。

<2025年(n=71)>
・記録方法や内容が統一されていない:56.3%
・データの抽出・分析がしにくい:53.5%
・他ツールと連携ができない:45.1%

・現場の状況が掴みづらい:36.6%
・人的ミスが起きやすい:31.0%
・記録後の処理や保管が手間:19.7%
・その他:0.0%
・特にない:4.2%
・わからない/答えられない:0.0%

<2022年(n=65)>
・他ツールと連携ができない:43.1%
・データの抽出・分析がしにくい:41.5%
・人的ミスが起きやすい:41.5%

・現場の状況が掴みづらい:36.9%
・記録方法や内容が統一されていない:36.9%
・記録後の処理や保管が手間:18.5%
・その他:1.5%
・特にない:7.7%
・わからない/答えられない:0.0%

「2025年の崖」の認知度は89.2%

 「Q5.あなたは「2025年の崖」という言葉を知っていますか。」(n=102)と質問したところ、「詳しく知っている」が63.7%、「なんとなく聞いたことがある」が25.5%という回答となりました。

 「2025年の崖」についての認知度は高い一方で、現場ではアナログ管理が依然として主流です。重厚長大な産業に多い鉄鋼・機械・自動車サプライヤーなどの分野では、帳票の電子化に時間がかかっており、紙文化の根強さがデジタル化の足かせになっている現状も背景にあると考えられます。

・詳しく知っている:63.7%
・なんとなく聞いたことがある:25.5%

・知らない:10.8%

「2025年の崖」という言葉について、約半数から「本質をうまく捉えた表現だと思う」との声

Q5で「詳しく知っている」「なんとなく聞いたことがある」と回答した方に、「Q6.「2025年の崖」という言葉について、あなたの印象に近いものを教えてください。(複数回答)」(n=91)と質問したところ、「本質をうまく捉えた表現だと思う」が49.5%、「危機感をあおる印象を受ける」が40.7%、「他人事に感じる」が27.5%という回答となりました。

 

・本質をうまく捉えた表現だと思う:49.5%
・危機感をあおる印象を受ける:40.7%
・他人事に感じる:27.5%

・意味があまりピンとこない:24.2%
・自社にも関係があると感じる:23.1%
・印象に残るが実態がわからない:22.0%
・社会課題として重要だと思う:22.0%
・一部の企業向けの話に思える:9.9%
・その他:1.1%
 ー上層部に危機感が無い
・特にない:1.1%
・わからない/答えられない:0.0%

製造業として「2025年の崖」に備えるべきこと、第1位「IT人材の確保・育成」

 Q5で「詳しく知っている」「なんとなく聞いたことがある」と回答した方に、「Q7.「2025年の崖」について、製造業として備えるべきことは何だと思いますか。(複数回答)」(n=91)と質問したところ、「IT人材の確保・育成」が62.6%、「業務プロセスのデジタル化・自動化」が47.3%という回答となりました。

・IT人材の確保・育成:62.6%
・業務プロセスのデジタル化・自動化:47.3%

・熟練技術者のノウハウの継承・マニュアル化:45.1%
・社内システムの刷新やクラウド化:45.1%
・セキュリティ対策の強化:41.8%
・経営層を含むデジタルリテラシーの向上:29.7%
・サプライチェーン全体の情報連携強化:27.5%
・外部パートナー(ITベンダーやコンサル等)との連携強化:26.4%
・DX推進のための社内体制の整備:26.4%
・その他:0.0%
・特にない/わからない:1.1%

91.5%が、「2025年の崖」に向けて「電子帳票への対応を進めたい」と回答

 Q1で「紙」「Excel」と回答した方に、「Q8.あなたは、「2025年の崖」に向けて、電子帳票への対応を進めたいと思いますか。」(n=71)と質問したところ、「非常にそう思う」が50.7%、「ややそう思う」が40.8%という回答となりました。

・非常にそう思う:50.7%
・ややそう思う:40.8%

・あまりそう思わない:8.5%
・全くそう思わない:0.0%

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電子帳票への対応を進めたい理由、「帳票の記録や報告の効率化ができるから」が約7割にのぼる

Q8で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q9.「2025年の崖」に向けて、電子帳票への対応を進めたいと思う理由について、当てはまるものを全て教えてください。(複数回答)」(n=65)と質問したところ、「帳票の記録や報告の効率化ができるから」が69.2%、「資源や人件費などのコストカットにつながるから」が55.4%、「保管や管理の手間を削減できるから」が44.6%という回答となりました。

・帳票の記録や報告の効率化ができるから:69.2%
・資源や人件費などのコストカットにつながるから:55.4%
・保管や管理の手間を削減できるから:44.6%

・現場の状況がリアルタイムに分かるから:38.5%
・人的ミスの発生が防げるから:27.7%
・その他:0.0%
・わからない/答えられない:0.0%

「作業場所への異物混入となりうる筆記具の持ち込みを抑制出来るため」や「環境システム対応のため」などの理由も

Q9で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q10.Q9で回答した以外に、「2025年の崖」に向けて、電子帳票への対応を進めたいと思う理由があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=65)と質問したところ、「作業場所への異物混入となりうる筆記具の持ち込みを抑制出来るため」や「環境システム対応のため」など21の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>

  • 作業場所への異物混入となりうる筆記具の持ち込みを抑制出来るため。
  • デジタル化を進めて管理を楽にしたい。
  • 進めるのはよいが人材がついてこられるかが問題である。こちらも満たしつつ進めてゆきたいと考えている。
  • 環境システム対応のため。

まとめ

 今回は、製造業(従業員数50名以上)で現場帳票を管理している方102名を対象に、【2025年版調査】製造業の現場帳票に関する実態調査を実施しました。

 まず、製造業の69.6%が、現場帳票を「紙」や「Excel」で管理しており、2022年から5.9ポイント増加していることがわかりました。また、現場帳票を紙で管理している理由では、「紙の方が利便性が高いと感じるから」(42.9%)、Excelで管理している理由では、「クラウド化が進んでいないから」(52.0%)などが挙げられています。一方で、紙・Excelで管理する上での不満としては、「記録方法や内容が統一されていない」が56.3%(2022年比19.4ポイント増)で最多でした。さらに、現場管理者の「2025年の崖」認知度は89.2%で、製造業として「2025年の崖」に備えるべきことでは、「IT人材の確保・育成」(62.6%)や「業務プロセスのデジタル化・自動化」(47.3%)が上位になっています。最後に、現場帳票を紙・Excelで管理をしている現場管理者の91.5%が、「2025年の崖」に向けた「電子帳票への対応」に意欲を示し、その理由について、約7割が「帳票の記録や報告の効率化ができるから」と回答しました。

 今回の調査では、製造業における現場帳票のDX推進が依然として大きな課題であることが明らかになりました。現場帳票のアナログ率は、2022年版調査に比べてむしろ増加しており、現場でのDXが定着せず、形だけに終わってしまうケースも少なくないと考えられます。一方で、「2025年の崖」に対する認知度は89.2%と高く、電子帳票への対応意欲も91.5%と非常に高い水準にあります。にもかかわらず、実際には約7割の現場で紙・Excelによる運用が続いています。つまり、業界全体として『わかっているのに変えられない』という矛盾した構造が浮かび上がったと言えるでしょう。危機感や意欲があっても行動が伴わない背景には、現場に根差した運用設計の不足、導入後の定着支援の弱さ、現場リソースの限界といった課題が複合的に絡んでいます。帳票の電子化を「導入」で終わらせず、「定着」と「実感のある効果」にまでつなげていく仕組みづくりが、今後ますます求められます。

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今回の調査で明らかになったように、多くの製造業が電子帳票に前向きです。
でも、実際に動き出せない現場も多い。
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