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多品種少量生産は、さまざまな種類の商品を少しずつ作ることをします。近年、市場の需要が多元化していることに伴い、従来的な大量生産に代わって製造業界で主流になりつつある生産方式です。
今回はそんな多品種少量生産について、メリット・デメリットや実施の最適化に向けた取り組みなどを解説します。製造業でモノづくりに携わる方、管理部門の担当者の方、生産性向上を目指す中小企業の経営者の方などは、ぜひこの記事を参考にしてください。
多品種少量生産の概要
まずは多品種少量生産についての基礎知識をご紹介します。多品種少量生産の意味やニーズの背景、関連用語である少品種大量生産との違いなどを解説するので参考にしてください。
多品種少量生産とは?
多品種少量生産とは、多種類の商品を少ない数量で製造することを指します。幅広い顧客ニーズへの対応を念頭に実施されます。同一の製品をたくさん作るのではなく、いろいろな種類の製品を少量ずつ生産することが特徴です。
さまざまなターゲット層へ多様なモデルやデザイン、オプションを提供することは、自動車メーカーではすでに一般的となっています。多品種少量生産の考え方を初めて提案したのも、トヨタ生産方式で知られるトヨタ自動車です。
少品種大量生産とは?
多品種少量生産と逆の意味を持つ生産方式に、少品種大量生産が挙げられます。
少品種大量生産とは、生産ラインの種類を絞って集中的に多量の製品を生み出すことです。低コストでたくさん製品を作ることができるというメリットを持ちます。そのため、少品種大量生産を実施すれば生産性を高めることができます。
多品種少量生産が求められる背景
過去には少品種大量生産で売れる時代もあったものの、現代は顧客ニーズが多様化・複雑化しています。そのため、大量生産によって安定的に売り上げを維持することが困難になりつつあります。
多種多様な消費者ニーズに柔軟に対応する必要性が増加したことが、多品種少量生産が求められるようになったことにつながっているのです。現在、多品種少量生産は自動車産業のほか、アパレル業界や食品業界など、幅広い分野で採用されています。
多品種少量生産のメリット
多品種少量生産には、主に以下のメリットがあります。
顧客のニーズに対応できる
さまざまな商品を少しずつ製造することにより、品質や機能など、多元な需要に沿った商品を供給できるようになります。幅広い市場ニーズに適応することで、顧客満足度の向上や売上の増加、利益率の改善などの恩恵を受けられます。
在庫を抱えるリスクを軽減できる
個別の需要に合わせて各商品を少しずつ製造するため、過剰なリスクを抱えるリスクを軽減できます。大量生産と比較して、過剰な在庫を抱える危険性を抑えらえるという利点を持ちます。生産数を少なくすることで在庫過多が生じにくく、廃棄の数量も抑えやすくなるのです。
なお、過剰在庫を減らすことは、管理コストや廃棄コストなどのコスト削減にもつながります。また過剰生産抑制は原料のロスや燃料のムダを減らすことにもつながり、SDGsをはじめ環境に配慮する昨今のトレンドにも合致します。
多品種少量生産の注意点
他方で、多品種少量生産には以下のようなデメリットや問題点も想定されるため注意しましょう。
コストが増加することがある
製品の種類が増えることで、初期投資が増えるリスクがあります。各種商品の開発や生産設備の調整など、新しい技術や設備の導入コストが発生する可能性があるでしょう。
また大量生産の場合、資材・部材などを多く仕入れることで原価を抑えられていた面がありますが、少量生産ではそうした割安な仕入れも難しくなります。さらに製造するものの種類が増えると、コスト増加のほか、納期管理や工程管理、設備管理、時間管理など各種管理の手間が増えるという課題もあります。人員不足が問題の昨今、製造工程・生産工程が複雑化してしまうのは、ゆゆしき問題といえるでしょう。
そのため生産管理プロセスの可視化や一元管理ができるシステムを入れるなどの対策が必要不可欠です。
生産効率が低下する可能性がある
各製品の仕様が変わることで、さまざまな調整が必要になります。そのため、調整を行っている間は作業が停止することから、生産効率が落ちてしまうことも懸念材料です。いろいろな品種を作るための生産ラインの切り替えや生産設備の調整などに時間を取られ、生産リードタイムの長期化がする恐れがあります。
なお、多品種少量生産でも生産効率を維持するためには、生産管理システムをはじめとするIT技術の導入によって生産プロセスをデジタル化することが重要です。大規模なIT投資によってプロセス全体を高精度に効率化できれば、大量生産と個別ニーズへの対応を両立させた「マスカスタマイゼーション(多品種大量生産)」の実現も夢ではありません。データとデジタル技術で生産現場にイノベーション(技術革新)をもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)こそが、多品種少量生産の生産効率化のための解決策です。
多品種少量生産を成功させるためのポイント
より良い多品種少量生産の実現には、以下のような取り組みが効果的です。
受注の分析を行う
受注の分析とは、製品ごとに受注のパターンを区分けすることです。多品種少量生産を効率化するために行います。
また受注の分析は、受注の特性を理解して、生産計画を立てるための取り組みでもあります。受注の特徴の理解においては、商品ごとに受注の傾向が変化することから、「頻度」と「ロット」で判断します。ロットとは、同一条件で製造される商品の生産・出荷の最小単位のことです。
適切な生産方法を選択する
できる限り生産コストを抑えるためには、生産方法を最適化することも大切です。受注生産にするのか在庫を持つのかの判断を、製品ごとに行いましょう。
具体的には、受注頻度が少なくロットサイズが大きな「小頻度・大ロット」のケースでは、受注生産にするなどの判断を実施します。
段取り替えの回数や時間を短縮する
多品種少量生産では、製品の仕様によって段取り替えが高頻度で実施されます。よって、段取り替えの頻度やリードタイムを小さくすることで、生産の能率を高めることが可能です。
例えば、ラインを一旦停止して転換する「内段取り」と、ラインを稼働させたまま転換する「外段取り」の二種類に分けて段取り替え作業を実施するなどの取り組みが有効になります。
なお、そもそも段取り替えとは、個別の製品に合わせて生産プロセスをカスタマイズし直すことを指します。具体的には、製造する製品を変更する際に生じる基準の調整や材料・組立部品の切り替えなどです。
多品種少量生産を効率的に実施しよう!
いろいろな製品を少しずつ生産する多品種少量生産は、幅広いニーズへの対応や在庫リスクの軽減などの利点を有します。一方、コスト増や生産効率の低下といったデメリットもあるため、利益率を高めるには意識的な対策や工夫が必須です。
より良い多品種少量生産のための施策として、IoTツールの導入による業務効率化もおすすめです。例えば、現場帳票システム「i-Reporter」では、製造現場の日報・報告書作成や在庫管理・倉庫業務などを、お手持ちのiPadやiPhoneを用いて簡単にデジタル化および効率化できます。
多品種少量生産を始めると多種類の品目を管理しなければならないため、紙の帳票では作業が煩瑣になりがちです。その点、i-Reporterに移行しておけば、記録や転記作業をデジタル処理で自動化できるため、現場に過度な負担を強いることなく多品種少量生産を始められます。 i-Reporterは専用の機器を用いない分、低コストで導入できるので、これを機会にぜひ活用をご検討ください。サービス紹介資料や無料トライアルもご提供しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
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