FSSC22000とは?簡単に解説|メリットやデメリット、認証を取得する手順

食品関連業界で働いているなら、「FSSC22000」についての理解が必要です。FSSC22000とは、食品の安全を確保する仕組みである、食品安全マネジメントシステムの国際規格です。

FSSC22000という言葉は聞いたことがあるけれど、仕組みやくわしい内容を知らない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、HACCPやISO22000との違いやFSSC22000を構成する3つの要素から、認証を取得するメリットや流れまで、わかりやすくご説明します。

FSSC22000とは?

FSSC22000とは、食品安全マネジメントシステムの国際規格です。まずは、FSSC22000がどのようなものなのか解説します。

そもそもFSSC22000とはどのような規格なのでしょうか?

「Food Safety System Certification 22000」の略

FSSC22000とは、「Food Safety System Certification 22000」の略で、直訳では「食品安全システム認証」の意味です。

オランダのFSSC財団によって開発され、国際食品安全イニシアチブ(GFSI)に承認されています。GFSIは、食品関連業界の安全性を確保するための基準を設けており、FSSC22000はこの基準をクリアしています。

ISO22000をベースにしたFSSC22000は、HACCPの衛生管理手法やISO9001の品質管理手法を取り入れたものです。食品の安全性に特化しており、食品の製造過程の管理や従業員の衛生教育など、さまざまな取り組みが含まれます。

また認証を取得できるのは、特定の業界に限定されています。具体的には、下記のような業界が対象です。

FSSC22000の対象となる業界の例
・食品製造業
・動物飼料の製造業
・食品包装および包装資材の製造業
・食品製造向けの化学製品製造業
・食品や飼料の輸送及び保管サービス業
・ケータリング業

食品の安全を確実に保つために、生産者から消費者に提供するまでのすべての段階に関係するカテゴリで、FSSC22000の認証を取得できます。

HACCPやISO22000との違い

食品の安全に関する規格には、2021年に義務化されたHACCPやISO22000がありますが、FSSC22000とどのように違うのでしょうか?

これらの3つの規格はすべて食品安全規格です。国や認証団体によって基準が異なるHACCPに対し、ISO22000はFSSC22000と同じく基準が統一された国際規格です。

ただし、FSSC22000のほうが要求される事項が多いため、取得難易度は高くなっています。

FSSC22000は、HACCPをもとに作られたISO22000をさらに発展させた規格なので、HACCPとISO22000のすべての内容を含んでいることが特徴です。

FSSC22000を構成する3つの要素

FSSC22000の認証を取得するためには、3つの要素を満たす必要があります。それぞれの要素を詳しくご説明します。

ISO22000

ISO22000は、HACCPの衛生管理とISO9001の品質管理を組み合わせた、食品の安全についての国際的な規準です。

前提条件プログラム(PRP)

衛生管理の基本を確立するためのプログラムです。食品に関わる事業向けの前提条件プログラムは「ISO/TS22002」と呼ばれており、特定の産業分野ごとに設定されています。

追加要求事項

食品偽装防止や食品防御、アレルゲンなど、ISO22000に加えて必要とされる追加の項目です。

FSSC22000認証を取得するメリット

FSSC22000の認証を取得することには、さまざまなメリットがあります。

FSSC22000の認証を取得することで得られる4つのメリットをご紹介します。

食品における安全管理の強化

厳しい基準が設けられた認証を取得することで、食品の製造や保管、輸送においての安全管理体制が強化されます。安全管理体制の強化により、食品に関するトラブルやリスクを減らすことが可能です。

信頼性の向上

認証を取得すれば、消費者や取引先に対して、食品安全のマネジメントが徹底されていることをアピールできます。企業のブランドの信頼性向上が期待できるでしょう。

国際取引の促進

FSSC22000は、国際的に認められた食品安全規格です。そのため、認証を取得すれば、海外の取引先や市場でも信頼されやすくなり、国際的なビジネスチャンスが広がります。

業務効率の改善

認証を取得する過程で、業務プロセスを見直すことで効率化が図られます。無駄が省かれるため、業務効率の向上が期待できるでしょう。

FSSC22000認証を取得するまでの流れ

FSSC22000認証の取得企業・組織も増えていますが、取得には多くの準備や審査が必要になるため、すぐに取得できるわけではありません。コンサルタントにサポートを依頼する方法もありますが、自社で取得できるかどうかを把握するためにも、認証の取得方法の流れを知っておきましょう。

FSSC22000認証を取得するまでの流れを、3つの段階に分けてご紹介します。

Step.1 システムの構築と運用

*基本構想の立案
現在の食品安全管理の状況を確認したうえで行うのが、必要な改善点の特定です。FSSC22000の要件に基づき、システム構築の計画を立てます。

*マネジメントシステムの構築
マネジメントレビューを実施し、改善点があればシステムを見直しましょう。システムの構築と運用は、1年~1年半をかけて行います。

Step.2 認証取得

FSSC22000認証を取得するには、2つの審査をクリアしなければなりません。
*一次審査(書類審査):作成した書類やマニュアルなどによる、マネジメントシステムの構築状況の確認。
*二次審査(現地審査):現場の作業や質疑応答による、マネジメントシステムの実施状況と規格への適合性の確認。
*登録証発行:一次審査と二次審査をクリアした場合は審査機関が登録証を発行。
*登録証の有効期限:3年
*不適合があった場合:適切な是正処置を講じたうえで再度受審。

Step.3 システム運用の継続と認証維持

登録書が発行されたあとも、認証を維持するために3つの審査をクリアしなければなりません。。

*第1回定期審査:登録証発行後2年目に実施。1回と2回のいずれかは非通知審査。
*第2回定期審査:登録証発行後3年目に実施。1回と2回のいずれかは非通知審査。
*更新審査:登録証発行後4年目に実施。クリアした場合は有効期限3年の登録証を発行。

FSSC22000認証を取得する際の注意点は?
認証を取得する際にはいくつか注意点があります。スムーズな取得を目指すためにも、注意したいポイントを確認しておきましょう。

・FSSC22000認証取得には費用がかかる
認証を取得するには費用がかかり、取り扱い製品や企業規模などによって費用は異なります。

例:20~30人規模の食品工場
*初回登録:150万円
*2年目と3年目:各60万円
*4年目:80万円 (FSSC22000とISO22000 を同時に取得する場合)

・品質ではなく食品安全に特化した規格
FSSC22000は食品の品質管理ではなく、食品安全に特化した規格です。

・改訂頻度が多い
重大な食品事故が起きると、FSSC22000を承認しているGFSIによって規格が改訂されます。5年単位で改訂するISO規格に対し、FSSC22000の追加要求事項は1年~2年で変わることも少なくありません。

・非通知審査がある
FSSC22000を承認しているGFSIの承認スキームでは、3年に一度の非通知審査の受審が原則です。日常的な食品安全の取り組みを確認するために、審査員が予告なしに訪問して審査を行います。

FSSC22000認証取得の第一歩は品質管理のシステム化から

FSSC22000認証の取得には大きなメリットや効果があるため、認証を取得できれば自社の価値が向上し、顧客の獲得にもつなげられます。

認証の取得を目指すなら、食品工場・食品製造業の品質管理の効率化から取り組みましょう。品質管理の効率化を図るなら、便利な機能が充実した現場帳票電子化システムの「i-Reporter」をおすすめします。

「i-Reporter」を導入すれば、食品安全に関するデータを一元管理できます。必要な情報を迅速に検索・参照できることで効率的な管理が可能で、すべてのプロセスの記録・追跡することでトレーサビリティが向上し、問題が発生した際に迅速に対応できます。

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