この記事の要点
- AI活用で「期待した成果が十分に出ている」企業はわずか32.3%|ボトルネックはモデルではなくデータ
- 86.5%が「現場1次情報の構造化はAI活用の前提条件」と回答|業界の総意としての新基準
- 87.4%が「AIモデル選定よりデータ整備の方が重要」と回答|投資優先順位の逆転が始まっている
- 現場1次情報を「AI活用できる形」で整備できているのは2割未満|構造化の遅れが成果を阻む真因
111名調査で見えた、AI活用の成否を分ける一丁目一番地は「現場1次情報の構造化」だった
目次

調査概要
- 調査名称
- 製造業のAI活用におけるデータ整備の重要性に関する実態調査
- 調査主体
- 株式会社シムトップス
- 調査方法
- インターネットリサーチ
- 調査対象
- 製造業のDX・AI推進担当者111名
- 調査実施日
- 〜
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「i-Reporter」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://i-reporter.jp/
はじめに
生成AIの登場以降、製造業においてもAI活用の検討は一気に加速しました。今回の調査でも、本格実装またはPoC段階に取り組んでいる企業は合計89.1%にのぼります。一方で、当初期待していた成果が「十分に出ている」と回答した企業は32.3%にとどまりました。
つまり、「やっている企業は多い、しかし成果まで届いている企業は3社に1社」という状況です。この差はどこから生まれるのか。AIモデルの性能でしょうか。エンジニアの数でしょうか。経営層の理解でしょうか。
本調査が明らかにしたのは、それらすべてに先立つ、より構造的な要因の存在でした。製造業のAI活用の成否を分けているのは、現場で日々生まれる1次情報(作業記録・検査記録・点検記録など)が、AIが学習・分析できる形に「構造化」されているかどうかである、というシンプルな事実です。
株式会社シムトップスでは、現場帳票の電子化ソリューション「i-Reporter(アイレポーター)」の提供を通じて、多くの製造現場のデータ整備課題に向き合ってきました。その知見をもとに、今回、製造業のDX・AI推進担当者111名を対象に実態調査を実施しました。
本コラムでは、調査結果から明らかになった「AI活用と成果の乖離」「データ整備をめぐる業界認識」「今後3年の投資領域」の3つの視点で、データを読み解いていきます。
① AI活用の進捗率は約9割、しかし成果は3割
取り組みと成果の間に生まれている乖離
まず、製造業におけるAI活用の進捗状況を確認しました。

実装またはPoC段階に取り組んでいる企業は合計89.1%。生成AI登場以降のスピード感を裏付ける数字です。
ところが、これらの企業に「当初期待していた成果が出ているか」を尋ねると、景色は一変します。

「ある程度」を含めれば95.9%が一定の成果を認識しているものの、「十分に出ている」と言い切れる企業はわずか32.3%。約7割の企業が、AI活用に取り組んでいながら、期待値とのギャップを抱えています。
注目すべきは、「まったく出ていない」がゼロである一方、「十分に出ている」もまた3割にとどまっているという結果です。多くの企業がAIから「何かしらの成果」は得ているものの、期待していた水準には届いていない。この「あと一歩」がどこで止まっているのかを明らかにすることが、本調査の出発点でした。
② 製造業のAI活用、最大のボトルネックは「データ」にある
課題の上位を「データ起因」が独占
AI活用を進める(または検討する)上での課題を複数回答で尋ねた結果、明確な傾向が見えてきました。

最多の「データの件数不足」(44.1%)、3位の「データに欠損や誤りが多い」(38.7%)、5位の「現場の1次情報が構造化されていない」(24.3%)。いずれも「データ」に起因する課題が上位を占めています。
一方、「AIモデルやツールの選定が難しい」は34.2%、「経営層の理解や予算が不足」は20.7%。これらは無視できない課題ではあるものの、データ起因の課題群と比べると優先度は下がります。
この結果が示すのは、製造業におけるAI活用の真の壁は、AIモデルそのものではなく、そのAIに食わせるデータが「揃っていない」「整っていない」「構造化されていない」という3点に集約されるということです。
世の中のAI議論はモデルの性能やツールの選定に集中しがちですが、現場の実態はその一歩手前で立ち止まっています。「どのモデルを使うか」の前に、「学習させるデータがあるか」を問う必要がある。これが、調査結果が突きつける現実です。
③ 現場1次情報の構造化率は、想定よりはるかに低い
「8割以上構造化できている」企業は14.4%しかない
では、製造業の現場で発生する1次情報(作業記録・検査記録・点検記録など)のうち、AIが活用できる形でデジタル化・構造化されている割合はどの程度なのか。

「8割以上」と回答した企業はわずか14.4%。半数(49.5%)は「5割〜8割未満」にとどまり、「3割未満」と回答した企業も合計9.0%存在します。
つまり、AIに学習させる元データの土台が、業界全体としてまだ整っていないということです。これは多くの企業がPoC段階から本格実装に進めない、あるいは本格実装しても期待した成果が出ない理由の核心を示しています。
データが7割しか揃っていない状態でAIモデルを精緻化しても、精度には上限が生まれます。AIモデルの性能を引き出すのは、その手前にある「データの量と質」なのです。
④ 業界の総意、87.4%が「データ整備の方が重要」と回答
AIモデル選定より、データ整備の方が優先される時代へ
本調査の中で、特に注目すべき結果がここから明らかになります。
「製造業のAI活用において、AIモデルやツールの選定よりも、現場の1次情報を整備・構造化することの方が重要だと思うか」を尋ねたところ、以下の結果となりました。

| 「非常にそう思う」(26.1%)と「ややそう思う」(61.3%)を合わせて87.4%= 9割近くが「AIモデル選定よりデータ整備の方が重要」と回答 |
「全くそう思わない」はゼロ。「あまりそう思わない」も7.2%にとどまります。これは単なる多数派意見ではなく、業界全体のコンセンサスと呼べる水準の合意です。
さらに踏み込んで、「現場の1次情報を構造化することは、製造業のAI活用の前提条件だと思うか」を尋ねた結果が以下です。

合計86.5%が「前提条件である」と回答。「非常にそう思う」だけで36.0%と、前の設問よりも強い同意が見られます。
つまり、「データ整備が重要」を通り越して、「データ整備なしにAI活用は成立しない」という認識が、業界の標準的な見解として形成されているのです。
⑤なぜ「前提条件」なのか
現場の判断ノウハウは1次情報からしか引き出せない
「前提条件である」と回答した96名にその理由を尋ねたところ、以下の結果が得られました。

最多の「現場の判断ノウハウは1次情報からしか引き出せない」(65.6%)は、製造業ならではの本質的な認識です。熟練者の判断、トラブルの予兆、品質のばらつき。これらは現場の1次情報の中にしか存在せず、それがデジタル化・構造化されて初めてAIが学習できる「教材」になります。
逆に言えば、現場の1次情報が紙に書かれて事務所のキャビネットに眠っている限り、どんなに高性能なAIモデルを導入しても、現場の知見は引き出せないということです。
i-Reporterのようなタブレット型の現場帳票システムを使えば、現場で発生した1次情報がその場でデジタルデータとして記録され、構造化された状態でデータベースに蓄積されます。AI活用の前提となる「現場の知見の構造化」を、最も自然な形で実現するアプローチです。
⑥ 投資すべき領域も、データ整備に向かっている
上位3項目はすべて「データ関連」
「AI活用を成功させるために今後3年で特に投資すべき領域」を尋ねた結果も、これまでの傾向を裏付けるものでした。

上位2項目が「データ収集基盤の整備」(47.7%)と「データ品質の向上・クレンジング」(41.4%)。これに「現場帳票のデジタル化」(24.3%)を加えれば、データ関連の投資領域が完全に上位を独占します。
「AIモデルやツールの導入」(38.7%)は3位に位置していますが、データ関連の項目群と比べると、もはや主役ではないことが見て取れます。
これは投資戦略の地図としても重要です。3年後の競争優位を作るために、製造業のDX・AI推進担当者が見据えているのは、「まずデータ、次にモデル、その次に人材」という明確な順序です。データ整備に投資しなければ、その後のモデル投資も人材投資も、十分なリターンを生まないという冷静な判断が、業界に広がっています。
⑦ 現場の取り組みも、すでにデータ整備にシフトしている
61.3%が「データ収集システム」を導入済み
最後に、現場の1次情報の構造化に向けて、各社が現在どのような取り組みを行っているかを尋ねました。

一方で、「エクセルで集約している」(42.3%)という回答が依然として高い水準にあることは、現場のデータ整備がシステム化途中の過渡期にあることも示しています。Excelによる集約は、構造化の第一歩ではあるものの、AI学習用データとしての品質や運用効率には限界があります。
「現場帳票のデジタル化を進めている」(32.4%)が3社に1社の水準にとどまっていることも、製造業全体の伸びしろを示す数字です。1次情報が生まれる「現場の最前線」をデジタル化できているかどうか。ここに今後の競争優位の分かれ目があります。
まとめ:製造業のAI活用は、現場1次情報の構造化から始まる
本調査の結果を整理すると、製造業のAI活用について、次の業界基準が明確に浮かび上がります。
| 製造業のAI活用において最優先で取り組むべきは、AIモデルの選定ではなく、現場1次情報の構造化である。 |
この基準は、以下のファクトによって裏付けられています。
- AI活用で「十分な成果」が出ている企業はわずか32.3%
- AI活用の最大の課題は「データの量・質・構造化」に集中
- 87.4%が「AIモデル選定よりデータ整備の方が重要」と回答
- 86.5%が「現場1次情報の構造化はAI活用の前提条件」と回答
- 今後3年の投資先も「データ収集基盤」「データ品質」が上位2項目
- 1次情報を8割以上構造化できている企業は14.4%にすぎない
これらの数字は、「AI活用は何から始めるべきか」という問いに対する、業界としての明確な答えを示しています。それは、優れたAIモデルを探すことでも、AI人材を採用することでもなく、現場で日々生まれる1次情報を、AIが活用できる形に変えることから始めるべき、という答えです。
そして、現場1次情報の大半は、現場帳票(作業日報・検査記録・点検記録・チェックリスト等)として生まれます。つまり、現場1次情報の構造化とは、実務的には現場帳票のデジタル化にほかなりません。
現場帳票が紙のままである限り、データはキャビネットの中に眠り、AIには届きません。一度PCに転記しても、転記ミスや欠損が混入します。構造化されたデータベースに集約されず、横串で分析することも、AIに学習させることもできません。
逆に、現場で生まれた瞬間にデジタル化され、構造化された形でデータベースに蓄積される仕組みがあれば、その先のAI活用は一気に現実的になります。
i-Reporterで、AI活用の土台となる現場1次情報を構造化する
製造業のAI活用は、現場1次情報の構造化から始まる。本調査が示したこの結論を、実行可能な形にするのが、現場帳票電子化システム「i-Reporter(アイレポーター)」です。
「i-Reporter」は、紙の帳票レイアウトをそのままタブレット上で再現し、現場で直接デジタル入力できるシステムです。入力されたデータはそのままExcel・CSV・基幹システムに自動連携されるため、現場の1次情報が「生まれた瞬間」から構造化された状態で蓄積されます。
| ● 紙と同じ見た目だから、現場への教育コストがほとんどかかりません ● ノーコードで帳票を作成・修正できるため、IT部門に頼らず運用できます ● オフライン環境でも動作するので、電波の届きにくい工場内でも使えます ● 入力データはExcel・CSV・基幹システムに自動連携|AI学習用データの土台になります |
「AI活用に取り組みたいが、まずデータがない」「PoCはやったが本格展開で止まっている」。そうした製造業の課題に対して、最も実効性のある第一歩が現場帳票のデジタル化です。
「まず1帳票だけ試してみたい」というご相談があれば、以下よりお問い合わせください。
▶ i-Reporterの詳細・お問い合わせはこちら
よくある質問(FAQ)
製造業のAI活用において、最初に取り組むべきことは何ですか?
本調査では、87.4%が「AIモデル選定よりもデータ整備の方が重要」と回答し、86.5%が「現場1次情報の構造化はAI活用の前提条件」と回答しました。AIモデルやツールの選定よりも先に、現場で発生する1次情報(作業記録・検査記録・点検記録など)を、AIが学習できる形に構造化することが最優先課題です。
なぜ製造業のAI活用は「現場の1次情報」が重要なのですか?
「現場の判断ノウハウは1次情報からしか引き出せない」と65.6%が回答しています。熟練者の判断、品質のばらつき、トラブルの予兆。これらは現場の1次情報の中にしか存在せず、それがデジタル化・構造化されて初めてAIが学習できる教材になります。
現場の1次情報はどの程度デジタル化・構造化されていますか?
「8割以上が構造化できている」と回答した企業はわずか14.4%でした。半数(49.5%)は「5割〜8割未満」にとどまり、業界全体として現場1次情報の構造化はまだ過渡期にあります。これが、AI活用で「期待した成果」が出ている企業が32.3%にとどまる主因の一つと考えられます。
AI活用で成果を出すためには、どの領域に投資すべきですか?
本調査では、今後3年で投資すべき領域として「データ収集基盤の整備」(47.7%)と「データ品質の向上・クレンジング」(41.4%)が上位を占めました。「AIモデルやツールの導入」(38.7%)よりも、データ関連の投資が優先される傾向が明確に表れています。
現場1次情報の構造化を、具体的にどう始めればよいですか?
現場1次情報の大半は現場帳票(作業日報・検査記録・点検記録など)として生まれます。したがって、現場帳票のデジタル化が構造化の出発点になります。i-Reporterのように、紙帳票のレイアウトをそのままタブレットで再現でき、入力データがそのまま基幹システムやデータベースに連携される仕組みを使えば、現場負担を最小限に抑えながら構造化を進めることができます。

現場帳票研究所の編集部です!
当ブログは現場帳票電子化ソリューション「i-Reporter」の開発・販売を行う株式会社シムトップスが運営しております。
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