ポカヨケとは?得られる効果や導入方法、注意点、よくある質問

ポカヨケ(pokayoke)とは、製造現場などで起こりやすい人的ミスを防止する取り組みです。製造業では、部品の組み立てや機械の操作など、さまざまな作業でヒューマンエラーによって生じる、不良品や事故が問題となっています。これらの問題の解決に効果的なのが、ポカヨケの導入です。

本記事では、ポカヨケの概要や得られる効果から、導入方法や成功事例まで、わかりやすく説明します。

ポカヨケの概要

「ポカヨケ(pokayoke)」はあまり聞きなれない言葉ですが、実は日本語です。ポカヨケは「ポカ」と「ヨケ」の2つの単語を組み合わせた言葉で、それぞれの単語を知ることで意味がわかるでしょう。

ポカヨケの概要を解説します。

ポカヨケとは

ポカヨケとは、作業ミスを物理的に防ぐ工夫や仕組みで、「うっかりミス」を意味する「ポカ」と、「防止・避ける」を意味する「ヨケ」を組み合わせた言葉です。ヒューマンエラーによる検査漏れや異物の混入などを未然に防ぐために、多くの工場などの製造ラインでポカヨケの仕組みが設置されています。

製造ラインでは具体的にどのようなうっかりミスが発生するのか、具体例をご紹介します。

・従業員の状況:工具を使用して部品を締め付ける作業を行っていた
・作業環境:作業手順や進め方、マニュアルやノウハウを熟知していない新人の作業者が1人で作業を行っていた
・従業員が取った行動:トルク設定を確認せずにボルトやネジなどの部品を締め付けた
・結果:部品が適切なトルクで締め付けられずに不良品が発生し、ラインが一時停止した

具体例のケースでは、部品の固定や作業のガイドを行う装置である治具を用いることで、組立する際の部品の締めすぎや取り付け位置のズレなどのミス防止が可能です。

治具はポカヨケの代表的なツールです。専用治具を使って作業を自動化と標準化することで、ヒューマンエラーのリスクを低減するだけではなく、作業の精度も高まるため、作業効率や生産効率の向上にもつながります。

ほかにも、バーコードやRFIDタグの情報を、バーコードリーダーやRFIDリーダーといった無線の小型ハンディターミナルで識別し、ピッキングや在庫管理のミスを防止するなど、さまざまな業務や作業でポカヨケが活用されています。ちょっとした不注意やルール違反などのヒューマンエラーが、重大な事故や多大な損失を招く恐れがあるため、ポカヨケを導入して未然に防がなくてはなりません。

ポカヨケの主な種類

ポカヨケには主に3つの種類があります。

確認型ポカヨケ

確認型ポカヨケとは、ミスが発生する前に作業内容や手順が正しいかを確認し、問題がある場合作業を進めない仕組みです。作業が進む前に確認や検証を行い、エラーを未然に防ぎます。

警報型ポカヨケ

警報型ポカヨケとは、ミスが発生した際に警報音やライトで作業員にお知らせする仕組みです。音と光によってすぐに問題に気づけるため、素早く対処できます。

停止型ポカヨケ

停止型ポカヨケとは、ミスが発生した際に機械や製造ラインを自動的に停止させる仕組みです。ミスやトラブルの発生時に機械や製造ラインを停止し、不良品が製造されることを防ぎます。

ポカヨケを導入して得られる効果

ポカヨケを導入することで、不良品の発生防止だけではなく、作業員の安全確保や生産性向上など、さまざまな効果が期待できます。ポカヨケを導入して得られる4つの効果をご紹介します。

品質の向上

ポカヨケの実施は、製品の品質向上につながります。ヒューマンエラーなどによって不良品が発生するのを抑え、製品の品質が高まったり欠品を減らしたりすることで、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。

生産性の向上

ポカヨケに取り組むと、ミスによる作業の中断が少なくなります。ヒューマンエラーが生じた際に時間と手間がかかる、不良品を調べたり修正したりする時間を削減できるからです。

ミスや間違いが起こりやすい工程を改善するだけで、製造ライン全体の生産性が上がります。

コストの削減

ポカヨケを導入して得られる効果の一つが、コストの削減です。不良品の再加工や廃棄の数を抑えられる可能性があります。

ヒューマンエラーなどによって不良品が発生するのを抑えることで、不良品の処分や追加の加工にかかるコストの削減が期待できるでしょう。

安全性の向上

作業中のポカミスを防げれば、重大事故が起こる可能性を減らすことが可能です。

たとえば、工場での作業中にうっかりミスで誤った化学物質を混合すると、工場内で爆発が発生するなど、重大な事故を招く恐れがあります。ポカヨケを導入することで、作業員がより安全に作業ができるようになります。

ポカヨケの導入方法

ポカヨケの概要や効果が理解できたら、早速導入方法を見ていきましょう。ポカヨケの進め方を4つの手順に分けて解説します。

Step1.ポカを洗い出す

まず初めに行うのが、ポカの洗い出しです。

どのようなポカが生じるのかを把握しなければ、対策方法もわからず対策できません。ポカが起こりやすい工程や作業を探り、事象(ポカ)と原因を洗い出します。

ポカが起きる原因としては、「教育や訓練が不足している」「設備や環境が整っていない」などが挙げられます。製造現場の観察や作業員へのヒアリング、過去のデータの分析などを行い、原因を洗い出しましょう。

Step2.適切なポカヨケの方法を検討する

特定したポカに対して、どのようなポカヨケの方法が効果的かを検討します。たとえば、ミスの内容に応じて、確認型・警報型・停止型などの方法から選びます。

ミスを防ぐための具体的な方法を検討しましょう。

Step3.ポカヨケの装置や仕組みを導入する

選定したポカヨケの方法に基づいて、実際に装置や仕組みを導入します。

たとえば、工具のIoT化により工具の締め忘れなどの誤作業を検知したり、ARと音声で作業ミスを防止したりするなど、AIやARを活用したポカヨケの導入事例が挙げられます。

Step4.テストと改善を繰り返す

ポカヨケ導入後は、実際に運用しながらテストを行い、効果を確認します。必要に応じて改善を繰り返し、最適な状態を目指します。

ヒューマンエラーを防ぐためには、ポカヨケの導入とあわせて、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の5S活動の徹底や、KYT(危険予知訓練)に取り組むことも重要です。

ポカヨケを導入する際の注意点

ポカヨケを導入する際には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。ポカヨケの導入に失敗しないためにも、注意点も確認しておきましょう。

ポカヨケが複雑な仕組みにならないようにする

ポカヨケの導入の目的は、ミスを防ぐためのプロセスの改善ですので、誰もが使える工夫や仕組みでなければなりません。ポカヨケの仕組みが複雑になると、作業員の混乱を招くおそれがあるからです。

作業に携わるすべての人が直感的に使える、シンプルなシステムの構築を目指しましょう。

ポカヨケの重要性を現場に理解してもらう

ポカヨケを導入する際には、現場の作業員にポカヨケの重要性を理解してもらうことが欠かせません。

作業員のなかには、既存のプロセスに慣れているため、作業に変化が生じるポカヨケの導入に抵抗を感じる人もいるでしょう。ポカヨケの装置や仕組みを関係者が適切に使えるようになるための、教育やトレーニングを行うことが大切です。

また、ポカヨケを導入し、作業の手順や教育を統一することで、教育コストの削減も実現できます。

ポカヨケに関するよくある質問

ポカヨケに関するよくある質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

Q1.ポカヨケとQCの違いは?

ポカヨケとQCでは手法の内容が異なります。ヒューマンエラーを防ぐための手法であるポカヨケに対し、QCは製品やサービスの全体的な品質を管理・向上させるための手法です。

Q2.ポカヨケの導入コストは?

ポカヨケの導入にかかるコストは、具体的なシステムや装置の種類などによって異なります。一般的には、ポカヨケ装置の購入にかかる初期費用、装置の設置や設定にかかる設置費用、装置の維持管理やメンテナンスにかかる運用費用が必要です。

Q3.ポカヨケの成功事例はある?

工具のIoT化による誤作業の防止

トルクドライバーやトルクレンチ、プライヤーレンチなどの工具に、データの送信機や受信機を取り付けることで、誤作業の防止が可能です。たとえば、規定の回数を表示したり、空打ち防止のためにロックをかけたりします。

センシング技術を利用したヒヤリハットの可視化

重大な事故につながりかねないヒヤリハットには、センサーを用いて作業状況を見える化するセンシング技術が役立ちます。センシング技術を活用すれば、作業状況をリアルタイムで監視できるため、作業ミスを検知した際に素早い対応が可能です。

デジタルピッキングやアソートシステムによる出荷間違いの防止

製品を出荷する際にも、ポカヨケが有効です。ピッキングやアソートのシステムをデジタル化することで、ヒューマンエラーを削減し、作業の効率化が図れます。

「i-Reporter」でポカヨケの導入と現場DXを実現しよう!

製造業に欠かせない取り組みであるポカヨケの導入には、現場帳票システムの「i-Reporter」が役立ちます。

「i-Reporter」は、製造現場での作業手順やチェックリストをデジタル化し、リアルタイムでの情報共有を可能にするツールです。現場の状況をリアルタイムに把握できれば、作業手順の確認や異常の早期発見が素早く行えるため、ヒューマンエラーの発生を大幅に削減できます。

「i-Reporter」の公式サイトには、製造業やサービス業など、幅広い業種の最新の活用事例をまとめた事例集のほか、関連記事などさまざまな記事を掲載しております。ほかにも、資料のご請求や問い合わせも、フォームにて簡単に行えます。

品質管理や生産管理の課題解決に向けて、ポカヨケの導入や現場のDX推進をご検討中なら、ぜひ一度「i-Reporter」の公式サイトをチェックしてみてください。

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