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「目視検査」は、製品や部品の品質や安全性をチェックする基本的な手法です。作業の自動化が進む現代でも、機械やAIと併用する形で実施している会社が多く、検査の質を向上させるには目視検査の見直しが欠かせません。
本記事では、目視検査の概要や主な役割、検査の種類、効果的に行うためのコツを解説します。目視検査で使用する帳票の管理に役立つソリューションもご紹介しますので、企業の品質管理の担当者様はぜひ参考にしてください。
目視検査の役割
製造業の品質管理では、カメラを使った画像検査や外観検査装置を用いたチェックなど、自動化が進んでいるものの、目視検査も依然として多くの企業で活用されています。そこでまずは、目視検査の概要や役割について確認し、目視検査の重要性を理解しましょう。
目視検査とは
目視検査とは、人の目で製品や部品などの品質をチェックする作業のことです。製造現場の途中工程や最終工程で行う検査方法で、「官能検査」の一部とされます。官能検査とは、人間の五感を使って品質を確認する検査手法の総称です。視覚や聴覚、嗅覚、味覚、触覚を用いて検査品の欠陥や異常を発見します。このうち、目視検査は視覚を駆使した検査方法です。特別な検査機が必要なく、人材を雇用することで実現できるため、製造工場の規模に関わらず導入しやすいメリットがあります。
目視検査を実施する際は、全商品を検査する、もしくはロットからサンプルを選んだうえで抜き取り検査を行うのが基本です。抜き取り検査は、全数検査に比べて検査にかかる人件費や時間を減らせる傾向にあります。ただし、一部の製品や部品しか検査できないため、すべての製造品の品質が保証できるわけではない点に注意しましょう。
また、目視検査とよく似た言葉に「外観検査」があります。外観検査とは、人の目や専用の装置などを使って不良品を判別する検査手法です。目視検査は外観検査の一種であり、判定基準の定量化が難しく、機械でのチェックに適さない検査項目を点検する際に実施されます。
目視検査の役割
目視検査が果たす役割は大きく分けて2つあります。1つ目は、製品や部品の品質を保証、維持、向上し、企業や商品の信頼を確保することです。目視検査を通じて製品が安全かつ高品質であることを保証することで、顧客満足度が向上し、長期的な顧客関係の構築に役立ちます。
2つ目は、不良品が市場に流出するリスクを減らすことです。市場に不良品が流出すると、企業の信頼性やブランドイメージの低下だけでなく、法的な問題に発展する可能性もあります。これらのリスクを回避するためにも、目視検査を実施して事前に不良品を取り除く必要があります。
【検査手法別】目視検査の実施概要
目視検査は、主に「インライン検査」と「オフライン検査」の2種類に大別できます。こちらでは、それぞれの検査の概要やメリット・デメリットを簡単に解説します。
インライン検査
インライン検査とは、製造ラインの中に組み込まれた検査のことです。製品が製造ラインを流れる中で、画像認識システムなどを使用した機械による検査と目視検査をセットで実施します。
インライン検査の最大の利点は、検査スピードが速い点です。検査工程が製造ラインに組み込まれているため、製造の流れを止めずに効率的に検査を実施でき、生産性を低下させることなく全数検査を行えます。生産効率を高めて大量生産を行う必要のある工場でも導入しやすいでしょう。一方で、人力による全数検査には限界があるため、検査効率の向上には機械の導入が必須となり、イニシャルコストがかかりやすい点はデメリットです。
オフライン検査
オフライン検査とは、製造ラインとは別工程で行う検査を指します。製造ラインから製品や部品を抜き取り、検査基準やマニュアルに沿って作業員が検査を実施します。
オフライン検査は、ラインの流れ具合と関係なく検査を行うことから、時間のかかる検査や精密な検査を実施しやすいのが特徴です。必要に応じて拡大鏡や顕微鏡などの器具を活用し、インライン検査では確認が困難な箇所までチェックします。
オフライン検査のデメリットとしては、検出精度が作業者の技術に依存するため、担当者ごとにばらつきが生じやすい点が挙げられます。また、検査時間がかかりやすい点にも留意しましょう。
目視検査を効果的に行うコツ
目視検査は幅広い検査に利用しやすい一方で、教育コストがかかる、ヒューマンエラーが発生しやすいなどの課題点もあります。そこで続いては、これらの課題を改善するためのポイントをご紹介します。
検査環境を整える
目視検査の精度は、検査員がどれだけ集中力を持って取り組めるかに大きく左右されます。そのため、検査員が集中しやすい環境を整えることが重要です。例えば、照明は明るすぎず暗すぎず、適切な明るさに調整することで、視認性を確保し、長時間の作業でも疲れにくくなります。そのほかにも、作業環境の温度や湿度が適切になるよう空調を調整したり、作業音を抑える工夫をしたりするのも良いでしょう。
検査員の負担に配慮する
長時間の作業や同じ姿勢を続ける作業は、作業員の身体に負担を与え、ミスの発生につながります。疲労による不良品の見逃しや検査ミスの発生を防ぐためには、検査員の負担に配慮する必要があります。具体的には、検査スピードを重視しすぎない、連続して検査を行う時間を短くするなどの工夫が重要です。
機械による検査を併用する
検査のスピードや精度の向上を図るには、機械による検査の併用も検討しましょう。例えば、カメラセンサーを使用した画像検査は、人の目では判別できない微細なキズや汚れ、色ムラも瞬時に検知でき、業務の効率化につながります。また、AIを活用した自動検査では、学習によって精度を高めることで、より複雑な判定も可能です。費用面などを考慮して可能な範囲から導入し、併用することで検査員の負担や人件費の削減が期待できます。
マニュアルを作成する
検査員同士の判断基準や品質水準を統一するためには、検査内容や手順を記載したマニュアル(基準書)を作成するのがおすすめです。マニュアル化することで、熟練検査員のノウハウや知見を現場に共有しやすくなり、作業員の育成や教育コストの削減にも役立ちます。
目視検査の効率化には「i-Reporter」のご利用がおすすめ!
今回は、目視検査の役割や種類、主な課題の解決方法についてお伝えしました。目視検査は、製品や部品の品質をチェックし、顧客からの信頼の獲得や不良品の流出防止の役割を果たす重要なプロセスです。検査対象となるアイテムの性質に応じて適切な検査手法を選択し、検査環境やマニュアルを整備して目視検査の効果を最大化しましょう。
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