
Furukawa Automotive Parts (Vietnam) Inc. (FAPV) / 古河電気工業株式会社

Furukawa Automotive Parts(Vietnam)Inc.では「地球にやさしい会社」を理念に紙資料の削減に取り組んでいたが、製造現場では必要な書類をその場で確認できる紙の記録管理が長年根付いていた。加えて、資料ごとに様式がバラバラな既存の紙資料をデータ化するには、入力画面の設計・開発に大きな負担が生じるとの懸念もあり、本格的なデータ化には長らく着手できていなかった。
カイゼン効果!
既存帳票のフォーマットをそのまま活かせるi-Reporterを、一帳票ずつ小さく始めるアジャイルな進め方で導入。電子化を機に既存帳票の棚卸しも実施し、約50種類あった帳票を約30種類まで削減した。大規模展開を最初から目指さず、週単位の改善サイクルを回したことで、無理なくデータ化への一歩を踏み出せた。
紙の帳票が膨大に積み重なる中で必要な資料をすぐに見つけることができなかった。
カイゼン効果!
i-Reporterで入力したデータをOracle Databaseに連携・蓄積し、Grafanaで可視化。現場の大型ディスプレイと管理職のPCの両方でリアルタイムに状況を確認できるようになり、必要書類を探す手間が大幅に削減された。結果として月あたり約1万枚の紙削減にも成功している。
生産実績や工程内不良などの情報が現場から管理職へすぐに共有されず、問題の把握や対応が後手に回りやすかった。
カイゼン効果!
Grafanaによる可視化基盤を活用し、現場の大型ディスプレイと管理職のPCで同じデータをリアルタイムに確認できる体制を整備。現場と管理職の間で状況把握や課題のすり合わせが行いやすくなり、問題の早期発見と迅速な意思決定につながった。

品質本部 本部長 石居行成 氏

製造部 部長 Tran Thi My Linh 氏

システム部 部長 Le Vinh Khanh 氏

SystemEXE Vietnam Sales Leader Duong Huyen Thanh 氏
古河電気工業株式会社のグループ子会社であるFurukawa Automotive Parts(Vietnam)Inc.(以下、FAPV)は、1996年にベトナム・ホーチミン市に設立された。古河電工グループが強みとする素材技術を活かし、主力事業として自動車用ワイヤーハーネスの生産を行っている。
「コネクタや自動車用電線材料など、ワイヤーハーネス製造に必要な各種素材をグループ内で調達・社内製造することにより、素材から最終製品まで一貫して製造できる体制を構築している点が弊社の強みです」(製造部 部長 Tran氏)
基本理念「地球にやさしく、人間性を尊重し、安全・安心な製品を通じて、お客様に喜びと感動を与え続ける会社であること」を軸に、日々の生産活動に取り組んでいる。

FAPVは、企業理念の一つである「地球にやさしい会社」の実現に向け、紙資料の削減に以前から取り組んできた。しかし製造現場では、必要な書類をその場で迅速に確認できるという理由から、紙ベースの記録管理が長年定着していた。加えて、資料ごとに様式が異なる既存の紙資料をデータ化するには、入力画面の設計や開発に過度の負担が生じるのではないかという懸念もあり、本格的なデータ化には長らく着手できていない状況が続いていた。
そうしたなかで、2023年に古河電工グループDX推進部からの紹介をきっかけに、i-Reporterの導入検討を開始。翌年10月から運用を開始するに至った。

紙帳票からデータへの移行を検討するにあたり重視したポイントは、以下の3点だった。
「i-Reporter導入を決めた理由はいくつかありますが、既存の帳票のフォーマットをそのままデータ化でき、これまで使用していた紙の資料と同じ感覚でパソコン上での入力・管理が可能になる点には特に魅力を感じました」(Tran氏)
導入前の説明段階では、現場の作業スタッフからPC入力等に対する戸惑いの声もあったが、現場ファーストの姿勢で丁寧に準備を進めることによって、現場の不安は解消されていった。
日本の古河電気工業株式会社のDX推進部の担当者がベトナムの工場へ来訪し、現場の業務を直接確認しながら、どのようなDXが作業者の負担軽減や業務改善につながるのかを現地スタッフと一緒に検討した。i-Reporter導入に際しても、帳票を実際に作成しながら操作方法を直接指導してもらったことで、具体的な活用イメージや効果を実感しながら、自信を持って導入を進めることができた。
「ベトナムの工場でしか使用していない帳票もあるので、初めて挑戦する部分もありましたが、日本側ですでにi-Reporterを導入しているので、その効果や必要性を現場スタッフに具体的且つ効果的に説明できたと感じています」(品質本部 本部長 石居氏)

長年紙で記録・管理してきた現場スタッフにとって、PC・タブレットでの入力作業は大きな不安要素だった。この不安を解消したのが、ベトナムにおけるi-Reporterの販売代理店であるSystemEXEによる手厚いサポートだ。導入支援からサーバー環境の構築、運用支援まで一貫したサポートを提供している。今回のFAPVのケースでは、管理者向けにi-Reporterの導入目的・使用方法・注意点などについての説明会を、現場作業者向けには使用手順に関する説明会をそれぞれ実施した。
「FAPV様での導入にあたっても、弊社のベトナム人スタッフが、FAPV様の現場スタッフの皆様にベトナム語で直接説明・指導し、理解度と安心感を高められるようにしました」(SystemEXE Vietnam Thanh氏)

「i-Reporterは、何か現場で分からないことがあってもマニュアルを見れば解決できるユーザーフレンドリーな設計にはなっていますが、現場の作業者が円滑に運用できるよう、トラブル発生時の対応方法やIT部門への連絡方法についても十分に情報共有しています。またトライアルを活用し実際に使用してみることで、入力作業が想像以上に簡単であることや、紙の管理・保管の手間がなくなることを、現場のスタッフ全員が自ら実感できたことは、本格運用へスムーズに移行する上で大きなプラスになりました」(Tran様)
海外拠点でのシステム導入では、「日本人が主導しすぎると、日本人がいなくなった後に現場に定着しない」という失敗が起こりがちだ。そこで本プロジェクトでは、現地のナショナルスタッフを中心とした改善専門チームを立ち上げ、現地主導で進める体制を構築した。帳票作成については、既存の帳票や業務フローを最も理解している現地スタッフ自身が中心となり、製造部門やシステム担当と協議しながら帳票定義を作成している。

「日本側は手を動かすのではなく、あくまでサポート役に徹することで、現地にノウハウが残る進め方を重視しました」(石居氏)
また、最初から大規模展開するのではなく、一帳票ずつ小さく始めるアジャイルな改善プロセスを採用。週単位で改善を進め、定期的にレビューを行いながら、伴走型の支援を実施した。
「失敗を許容する文化づくりも大切にしています。『まずは提案してやってみる。うまくいかなければ次を考える』という姿勢を共有し、現地スタッフとの信頼関係を築きながら、継続的な改善を進めています」(石居氏)
FAPVの取り組みは、単なる「紙の置き換え」ではなく、「現場にとって本当に必要な情報は何か」を見極めることから始まった。電子化のタイミングを好機と捉え、既存帳票の棚卸しを実施。約50種類あった帳票を見直し、重複しているものや不要なものを整理した結果、約30種類まで削減(約4割減)することに成功した。
また、既存システムから取得可能なデータは、ConMas Gatewayを活用して帳票上に自動で呼び出せるようにしたことで、重要な目標のひとつであった入力工数の削減も実現できた。
現場作業者がストレスを感じないよう、入力負荷の軽減にも徹底的にこだわった。属人化しがちな文章入力は極力排除し、キーボード入力は数字のみ、その他の操作はマウス操作だけで完結するシンプルで直感的なUIを設計。帳票のレイアウト設計においては視認性も重視し、システムから自動で呼び出される項目、自動計算される項目、作業者が入力する項目を色分けして表示することで、どこに何を入力すればよいかが一目で明確に分かるよう工夫している。
「導入当初は『PC作業』と聞くだけで拒否反応があるような現場スタッフもいましたが、キーボード入力は数字のみに設定するなどの工夫が功を奏し、移行期間は約2か月といえども、実際は1週間程度で皆、操作に慣れたという印象でした」(Tran氏)
生産日報と検査日報をi-Reporterで入力しているが、操作に不慣れなスタッフに対しては各ラインに配置しているラインリーダー(班長)がサポートを行う体制も整えた。「記載内容の修正の仕方が難しい」など導入初期に現場で浮上した小さな課題やリクエストはすぐにIT部門と共有し、より使いやすいシステムになるようブラッシュアップを続けている。
現在、約300名の社員がi-Reporterを利用しており、5名のスタッフがシステムの管理・設定・プログラミングを担当している。
製造現場では、ラインリーダーが日々の生産実績や工程内不良の数値を入力するだけでなく、4M(人・設備・材料・方法)の変化点情報や、発生した問題点・課題についても日報としてi-Reporterに記録している。入力されたデータはOracle Databaseに連携・蓄積され、集計したうえでGrafanaを用いて可視化。製造現場には各班の作業状況を一目で把握できる大型ディスプレイが設置されており、そこにはGrafanaのダッシュボードが表示されている。画面設計を行う際には、現場のスタッフが直感的に理解できるよう馴染みのある言葉を用い、分かりやすい表示を心がけた。
現場スタッフは大型ディスプレイを通じて日々の生産状況や課題を確認しながら作業し、管理職もPCからいつでも生産実績を確認できるため、状況把握や課題のすり合わせが行いやすくなった。その結果、現場からは多くの前向きな声が寄せられている。

「日々の実績記録時間が減り、その分現場を見る時間を増やすことができるようになりました」
「パソコンのフォルダ管理と同様に帳票を種類別に整理・管理できるようになり、紙ベースの時よりも目的の書類を素早くみつけられるようになりました」
「入力作業にかかる工数が減り、現場で使用する紙が大幅に減少しました。その結果、現場の2S(整理・整頓)の面でも大きな効果があり、作業環境の改善にもつながっていると感じています」
「記録の集計が簡単になり、現場の状況を定量的に『見える化』することが、問題の早期発見や意思決定のスピード向上にもつながっていて、日常的な生産管理・改善活動に役立っています」
「以前は現場で多くの紙を使用していましたが、電子データでの運用に切り替えたことで、棚に保管する紙の書類も減り、保管スペースも大幅に削減できています」
「i-Reporter導入により、月1万枚の紙の削減をすることができました」
「ベトナムでは定期的に経理やISOなどの監査がありますが、膨大な量の紙をファイリングで管理していた時は、必要書類を探すのに手間を要しました。その手間が解消されたのは大きいです」
| 項目 | 効果 |
|---|---|
| 紙削減枚数 | 月あたり約1万枚 |
| 帳票種類 | 約50種類 → 約30種類(約4割減) |
| 利用者数 | 約300名(管理・運用担当5名) |
| 移行期間 | 想定約2ヶ月 → 実質定着は約1週間 |
今後の展望について、「帳票同士を横断的にリンクさせることで、さらなる入力工数の削減を図っていきたい」と語る。また設備のPLCから情報を取得できる可能性もあるため、人によるデータ入力だけでなく設備からもデータを収集し、設備状態の「見える化」(Tran氏)にも挑戦していきたいという。
「現在は前日の実績データをi-Reporterで表示していますが、将来的には設備から取得したデータをリアルタイムで表示・可視化し、管理者が常時監視できる仕組みを構築したい」(システム部 部長 Le氏)と話す。

石居氏は「現時点では紙帳票からの移行のみを行っていますが、今後は帳票の呼び出しにもi-Reporterを活用していきたいと考えています。外部データやセンサー情報をi-Reporterの帳票に自動で取り込み・呼び出しできたり、センサー設備と連携してボタン操作で機能するような仕組みを実現できたりしたらいいですね」と今後の可能性について語った。
紙文化からの脱却は、単なる業務効率化にとどまらず、現場の意識そのものを変える大きな一歩となった。FAPVの取り組みは、海外拠点におけるDX推進の一つのモデルケースとなりそうだ。


上記のレビューは、ITreview(https://www.itreview.jp/products/i-reporter/reviews)より引用しています。
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