i-Reporter これまでとこれから

【前編】i-Reporterの歩み。はじまりから今へ。

紙の現場帳票を電子化し、様々な業務課題を解決してきたシステム『i-Reporter』、通称アイレポ。導入実績4,500社以上、国内シェアNo.1を誇る『i-Reporter』はどのようにして生まれたのか。そしてAI時代を迎えた今、どのような未来を描いているのか。アイレポの開発者であり株式会社シムトップス取締役会長の水野氏と、代表取締役CEOの奥畑氏の対談から、『i-Reporter』のこれまでを紐解きながら、"現場データ"が持つ可能性と、その未来に迫っていく。

※出典:富士キメラ総研 2026年2月17日発刊『業種別IT投資動向/DX市場の将来展望 2026年版 DX投資編』
IV-13 現場帳票ペーパーレス化ソリューション 市場占有率46.5%(2024年度のベンダーシェア・数量)

プロフィール

  • 株式会社シムトップス 取締役会長 水野 貴司

    株式会社シムトップス 取締役会長 水野 貴司

    商社にて、メカトロニクスおよびFA関連設備の営業、海外工場の移転業務に従事したのち、株式会社シムトップスに入社。2002年に取締役、2005年に代表取締役社長に就任。2026年に取締役会長に就任。個別受注生産における生産スケジューラや工程・生産管理システム、現場帳票のペーパーレスアプリなど、現場の作業者を支援する製品・サービスの企画・設計・開発・導入支援を牽引している。

  • 株式会社シムトップス 代表取締役CEO 奥畑 和行

    株式会社シムトップス 代表取締役CEO 奥畑 和行

    組み込みエンジニアとしてキャリアをスタートし、指紋認証などバイオメトリクス技術の研究開発に携わる。2000年代にHRテック企業を立ち上げ、2023年に上場を経験。2013年からシンガポールに拠点を移し、多国籍エンジニアチームのマネジメントを確立する。2023年にシムトップスに参画し、2026年に代表取締役CEOに就任。現場DX領域におけるグローバル展開と次世代成長戦略を推進している。

国内シェアNo.1の『i-Reporter』は
現場の声から生まれた。試行錯誤の最中にiPadが登場。

CIMTOPSは1992年に汎用スケジューラ『DIRECTOR』をリリース。工機、試作、生産設備、重工業などの個別受注・多品種少量生産に特化したスケジュール管理システムとして現在もサービスを提供している。その特徴は、「計画」と「実績」の両方を管理できること。スケジュールを立てて終わりではなく、現場の実績を取り込みながら、リアルな生産計画を更新していく。この"現場データ"へのこだわりが、のちの『i-Reporter』へとつながっていった。

水野

普通スケジューラというと、計画だけのシステムが多いんです。でも私たちは、最初から"実績"を重視していました。ただ、当時はスマホもタブレットもなく、現場の人は一度紙にメモをして、あとからPCに入力していたんですね。これがとにかく面倒だった。PDAも試しました。でも、画面が小さい、入力しづらい、結局紙の方が早い。新しいシステムをつくっては使われない、そんな経験を何度もしました。

だから一時は『やっぱり紙が最強だな』と思っていたんです。そんな時にiPadが出てきた。"これだ"と思いましたね。紙と同じように、iPadで実績を入力できるプロトタイプをつくって現場の方に試してもらったら結構好評で。それが『i-Reporter』のはじまりです。2012年には、紙の帳票なら何でもペーパーレス化できるサービスとしてリリースされました。

紙の帳票は美しい。
紙をリスペクトする『i-Reporter』のこだわり。

『i-Reporter』は当初Webアプリとして開発を進めていた。しかし現場では、"遅い"という課題が致命的だった。

水野

現場の人にとって、反応しないとか入力が遅いってのは致命的なんです。紙の帳票に記入する速さに勝てなかった。だからネイティブアプリへ切り替えました。

それと、帳票って長年改善されてきた"現場知識の塊"なんですよ。複雑な情報をA4一枚に整理している。あれは本当に美しい。だから私たちは紙をリスペクトしているんです。

奥畑

実は私も、CIMTOPSに来る前はそこまで紙にこだわる必要があるのか分かっていなかったんです(笑)

でも実際に現場の方々と話すと、『形が変わると見づらい』『昔の帳票と同じ形で比較したい』という声が非常に多い。紙の帳票って、現場の改善活動の歴史そのものなんですよね。

そして今、その"現場帳票"の価値はAI時代になってさらに高まっていると思っています。

AIは、データがなければ現場を理解できません。つまり、現場帳票は単なる記録ではなく、"AIが現場を理解するための入口"になっていくと思っています。

『i-Reporter』は入力番長。
だからこそAI時代に強い。

『i-Reporter』の強みはどこにあるのでしょうか?

水野

『i-Reporter』の思想は"入力番長"です。生産管理システムは全部入りにしたくなるものですが、うちは現場で確実に入力できることに絞ってきました。入力の先は、ERPや生産管理、BIなど他システムと連携すればいい。つまり最初から、"現場データの入口"になることを意識していたんです。

奥畑

この入口が、AI時代の価値になります。AIは"現場のリアルなデータ"がなければ判断できません。だから『i-Reporter』は単なる帳票アプリではなく、現場データをAIにつなぐ基盤へ進化できる。そこに大きな可能性があると思っています。

記録が終点ではなく、起点になる世界。

奥畑

私が目指しているのは、記録が終点ではなく、起点になる世界です。現場で入力されたデータがAIで解釈され、次の行動提案として現場に返る。"残すための帳票"から、"改善を生む帳票"へ変わっていく。

例えば、ある工場で発生した設備トラブルの対応履歴が分析され、別の工場で同じ兆候が出たときに"次に何をすべきか"を提案できる。そんなふうに現場知識が循環する世界をつくれると思っています。

水野

AIも結局、現場を助けるために使われるべきなんですよね。うちは昔から"現場の人を支援する"という思想でやってきたので、そこはAI時代になっても変わらないと思っています。

AI時代でも変わらない。
"現場ファースト"という思想。

奥畑

AIが注目されていますが、私たちがやりたいのは"AIで現場を置き換える"ことではありません。現場で働く人の負担を減らし、判断を支えるためにAIを使う。例えば、見たものを帳票へ転記する作業を、写真だけで反映できるようにする。異常判断を補助する。しかもオフライン環境でも使えるようにする。そういう"本当に現場で使えるAI"をつくりたいんです。

奥畑

私たちはLLMそのものを作る会社ではありません。最先端AIを、ノンデスクワーカーが使える形に実装する会社です。AIそのものを作るのではなく、AIを"現場で動かす"。そこに私たちの役割があると思っています。

『i-Reporter』は推し活。
愛される現場プラットフォーム。

奥畑

『i-Reporter』って、愛され方が普通のSaaSと違うんですよ。熱狂的なファンがいるアイドルのコミュニティーみたいな(笑)『愛レポ』って書く人もいますし、『うちはこんな使い方をしています』とユーザー同士で共有し合っている。こんなシステム、あまり見たことがないです。

水野

アイレポ好きな変な人ばかり来るんですよ(笑)

奥畑

でも、それって本当に現場のことを考え続けてきた結果なんだと思うんです。現場帳票カイゼン部』というコミュニティー活動も始めたのですが、0からスタートして2年で1,500名以上が参加してくれています。ユーザーの皆さんが、自分たちで改善事例を共有している。これって実はすごく重要で、AI時代では"現場の知見"そのものが価値になっていくと思うんです。どういうデータを残すか、どう改善したか、どう判断したか。そうした現場知識が蓄積されることで、AIもより現場を理解できるようになる。つまり『i-Reporter』は、単なる入力ツールではなく、"現場知識が集まるプラットフォーム"にもなっていくと思っています。入力データが増えるほど、提案の精度が上がり、改善事例がさらに集まる。この循環が回るほど、現場での価値は強くなっていくはずです。

※「2年で1,500名以上」の参加者数は2026年5月28日時点。

奥畑

現場で働く人たちの知恵が、AIによって業界全体の財産になっていく。そういう世界を作りたいと思っています。

現場を第一に考えてきたから生まれた『i-Reporter』。
開発当時から変わらないこだわり、そして愛。
前編では『i-Reporter』の歩みと思想を振り返ってきた。
後編では、現場と経営の空白をどう埋めるのか、そして現場OSをどう実装していくのかという観点から、
CIMTOPSが描く"未来"について二人が語る。

後編を読む >

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